ソフトウェア開発の必須アイテム,BTSを使ってみよう

第6回 運用の開始

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約束事を決める

ただ漫然とBTSを使い始めると,いろいろな混乱が起こります。操作に慣れなくてはいけないことに意識が向きがちですが,BTSの概念に対する認識のズレも問題になりやすい所です。複数人で共有するものですから,細かく認識を合わせておく必要があるでしょう。

まずはBTSを使った作業の「約束ごと」を決めておく

まずはBTSを使った作業の「約束ごと」を決めておく

処理フローを決める

チケット処理の流れについて,誰がどんな役目を果たすか決めておく必要があります。大まかには以下のような流れになりますが,細かいバリエーションがつけられます。

NEW報告されたばかりの問題で,まだ検証されていない
ASSIGNED修正担当者に割り当てられた
RESOLVEDバグは修正されて確認待ちになった
VERIFIED修正が確認された
REOPENEDバグが再発した
CLOSED完了した
SUSPENDED何らかの理由により保留となっている

社内プロジェクトの場合

  • チケットの割り当てはメンバーで調整してよいか,プロジェクトマネージャのみに限るか?
  • 重要度,優先度の変更はメンバーも調整してよいか,プロジェクトマネージャのみに限るか?
  • 修正の確認は起票したテスト担当者かプロジェクトマネージャに限るか?
  • クローズできるのはプロジェクトマネージャのみに限るか?

などを決めていくと良いでしょう。

受託開発の場合

受託開発であれば,クライアントが自分でチケットを立てられるようにしておくと,苦情整理の手間が少なくなって便利です。

チケットの確認やクローズの権限をクライアントのアカウントに付与する形もよくあります。クライアントにとって不必要な部分は閲覧のみできるようにしておきましょう。いずれにせよ,上手く情報を公開することで秘密主義よりもフレンドリーにバグ修正を進められるでしょう。

処理ルールを決める

メンバーはアサインされたチケットを優先度に従って処理することになりますが,

  • コメントをどの程度書くか?(最低限,後から見直してもわかるくらい書くのがオススメです)
  • 「緊急」のものは原則当日中に処理するか?

など,具体的な運用ルールについて話し合っておくべきでしょう。

認識のズレやすい点について

処理方法(結果)

一番ズレやすいのが,closeのときに選択する処理方法(結果)の選別かと思います。

処理方法は大体以下の通りです。

NOT FIXABLE解決方法が見つからないので修正不可能
INVALIDこの問題はバグではない
WONTFIX修正しない
DUPLICATE他のチケットと重複している
WORKSFORME'Works for me.'「私の所では動作した」のことで,問題を再現できなかった場合に使います。

特定の処理方法(VERIFIED,DUPLICATE以外)は判断しにくいものですので,マネージャが判断すること決めるとブレがなくなるかもしれません。そんな細かいところまで気にしなくても,いずれにせよ問題は解決したのだから処理方法などどうでもいいと感じるかもしれませんが,正確に記録しておくと後で統計を取り利用することができます。

BTSの使われ方やプロジェクトの状態を示すデータが取れますので,特に専門のQAの方はここをきちんと整理しておくと良いでしょう。

重要度と優先度

明確に区別しにくいのが重要度と優先度です。ほとんどの場合重要であれば優先度も高いので,軽い使い方であれば片方あれば十分かもしれません。一致しない例としては,サーバを乗り換えた時の旧HDDのデータ削除などですと重要度は高く優先度は低いでしょう。クライアントの要望はすぐ修正するように,軽微な改修でも優先度を上げておく,などの使い方が一般的でしょうか。

心理的な障壁を取り去ろう

BTSを使うとき,最初はなにやら野暮ったく面倒そうな印象を受けるものです。そういった心理的な障壁を解消するポイントがいくつかあります。BTSをメンバーに見せる前に一呼吸置いてカスタマイズしておくといいでしょう。

プロジェクトのロゴマークを入れる

多くのBTSでロゴマークの設定ができます。ぜひプロジェクトのロゴに入れ替えましょう。親近感がわくとともに,複数プロジェクトを取り扱っている場合取り違えにくくなります。

背景を入れ替える/CSSを設定する

配色をコーポレートカラーなどにすれば,違和感を感じさせずに導入できるでしょう。

一言メッセージを設定する

Bugzillaでは,ヘッダに一言メッセージをランダムに表示できるようになっています。労わりのメッセージやジョークを入れてみましょう

まとめ

今回は運用の開始時に行うべきことをご案内しました。物事は最初が肝心とも申しますので,しっかり準備して良いスタートを切ってください。次回は,日々の運用のコツについてお話したいと思います。

著者プロフィール

山本健(やまもとたけし)

ウノウ株式会社 QAエンジニア。パーソナルコンピュータ黎明期にPCを使い始めるも,若気の至りか芸術の道へ大きく寄り道し東京芸術大学大学院で油画を専攻。在学中から始めたサイト制作・携帯コンテンツ運営などを経て2003年より株式会社BEATにて受託開発のテスト業務に携わる。2006年4月よりウノウに参戦し,より早くより深いWebアプリケーションの品質管理を目指して奮闘中。画家としても活動しており,見た目からは連想できない繊細な画風で世間の注目を集めている。白日会会員。