CakePHPで高速Webアプリ開発
第14回 CakePHP 1.2を使いたくなる5つの新機能
約1年ぶりとなった本連載。これから数回にわたり,最新バージョン1.2にフォーカスして,技術動向をお届けします。
2009年1月,Cake PHP 1.2登場
前回の連載記事から約1年ぶりとなりました。この間,150人規模のCakePHPのイベントが開かれたり,多数のCakePHPの書籍が発売されたり,公式サイトのトップページが日本語化されたりと日本におけるCakePHPの「普及期」であったと言えるでしょう。
そして2009年の1月にはCakePHP 1.2のバージョン表記に待望の「Stable」表記が付けられました。Stableとは直訳で「安定した」という意味で,同一のバージョン系列上では互換性を大きく損なうような仕様変更は行われず,バグが無い状態を保っていることを(少なくともCakePHPでは)示します。なので,alphaやbetaとは安心感が格段に違います。今までに1.1を使ったことがあっても,新規開発については強い理由がなければ1.2を利用するのがよいでしょう。
というわけで,CakePHP 1.2が使いたくなるような5つの新機能を紹介します。
CakePHP 1.2を使いたくなる5つの新機能
1.Pagination(ページネーション,自動ページ繰り)
「Paginationのために1.2に乗り換えたい」と言う人がいるほど,この新機能は魅力的です。商品リストなどのページ繰りが必要な部分(次のページやページ番号の複数表示)の開発工数をかなり削減することができます。1.1の頃はPaginationはCakePHP本体には導入されておらず,Bakeryから追加で導入する必要がありました。
1.2でCakePHP本体に導入されたことでよりアクセスしやすく,本体と密に動作するようになっています。マニュアルも用意され,既に有志の手によって日本語化されており,導入の敷居は格段に下がっています。まだ使ったことが無ければぜひ利用を検討してみてください。
2.強力なValidation(バリデーション)
CakePHPにはModel内で値を検証する機能が,1.1では本体が用意したフォーマットと独自に作成した正規表現が利用できました。しかしこれだけではDBを利用するようなアプリケーションでは不十分で,DBの参照が必要なバリデーションを行う場合にはControllerを介するしかありませんでした。 1.2からはValidationルールとしてModelに定義したメソッドを呼び出すことができるようになり,自由度が格段に向上しました。PHPコードを自由に書けるので,よほどのことがない限りModel内で済ませることができるでしょう。
3.Shell(シェル)
CakePHPはWebアプリケーション用のフレームワークですが,Webアプリケーションのバックエンドとしてコマンドラインから処理させたい場合も少なくありません。1.1の頃はWebアプリ用の初期化を自前で書くことで無理矢理実行するしかありませんでしたが,1.2からはコマンドライン用のControllerともいえるShell機構が実装されました。
ShellからはModelを呼び出すことができます。Componentは利用できません。Viewも無いので,Helperも利用できません。Shellを使う場合は,アプリケーションの重要な部分をComponentやViewに定義しないように気をつけてください。
4.Behavior(ビヘイビア)
Behaviorとは,プラグイン的にModelに追加メソッドを定義したり,コールバックを定義したりできる機構です。ちょうどControllerに対するComponent,Viewに対するHelperのようなものです。AppModelでも同様のニーズは満たせることはありましたが,AppModelに書いた場合,すべてのModelから継承されているため影響範囲を限定することができませんでした。
AppModelに何か書こうと思ったときは,Behaviorでの実装を検討することをお勧めします。
5.より強力なエラー表示
CakePHPはエラー表示がやたら親切であることをこの連載の初回で紹介しました。この方針は1.2においても健在で,PHPのエラー表示が大幅に拡張されています。
たとえば,NoticeやWarningが発生したときは,標準のファイルと行番号とエラー原因の表示に加えて,画面上のクリック操作でエラー箇所の数行のコードとバックトレース(そのコード位置までの関数やファイル呼び出し履歴)を表示することができます。さらにviewオブジェクトのメンバ変数一覧も表示することもできます。
エラー表示サンプル
Notice (8): Undefined variable: hoge [APP\views\fuga\index.ctp, line 8]
<?php echo $hoge ?>
include - APP\views\fuga\index.ctp, line 8
View::_render() - CORE\cake\libs\view\view.php, line 662
View::render() - CORE\cake\libs\view\view.php, line 376
Controller::render() - CORE\cake\libs\controller\controller.php, line 799
Dispatcher::_invoke() - CORE\cake\dispatcher.php, line 230
Dispatcher::dispatch() - CORE\cake\dispatcher.php, line 194
[main] - APP\webroot\index.php, line 88
うまく使いこなせば,var_dumpデバッグすることなく問題を解決することができるでしょう。
他にも1.2には多くの改善点や拡張がありますので,ぜひCakePHP 1.2を利用してみてください。

