エンジニアのスキルを試すコードパズル ─この問題,あなたは解けますか?

第11回 小川卓からの問題(第4回)解説編

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「絶対の正解」がない中でポイントになること

今回の問題は,30名近くの方に回答いただきました。たくさんのご回答ありがとうございます。

この質問は絶対の正解があるわけではありません。

  • 「数値をどういう観点で見るか」
  • 「そこからどういう気づきが見つけられるか」
  • 「その気づきを施策に転換できるか」

という部分がポイントになります。

今回いただいた回答には,私が想定していなかったような回答もたくさんありました。私自身,非常に勉強になった部分が多数ありました。

では,私の回答および気になった皆様の回答をピックアップして紹介していきます。

指標をどのように活用すればいいか

質問1は,以下のような内容でした。

流入元と入口ページをどのように改善しますか?

以下が「質問1」の前半部分です。流入元のデータからどのような改善施策を考えるかを見てみましょう。

流入元流入回数直帰率詳細ページ到達数商品購入完了回数売上
自然検索112,11729.4%52,469353¥852,495
リスティング39,32535.3%31,002151¥407,266
バナー広告21,54222.7%9,857123¥224,352
ノーリファラー60,56418.6%24,686234¥643,225
メールマガジン8,54220.1%4,98629¥119,892
その他無料流入38,16944.7%17,570216¥476,486
その他有料流入7,19429.5%3,41732¥65,888

それぞれの指標をどのように活用するかを見てみましょう。

訪問回数

流入元のボリュームを表します。通常は,ボリュームが多い流入元を改善の優先順位を高めます。というのは,同じ1%の変化でも,改善する「実数」が大きいからです。

直帰率

1ページだけ見て離脱してしまう割合です。1ページだけ見て購入完了まで行くことはできないので,直帰率が高いページは優先的に改善する必要があります。

詳細ページへの到達数
商品購入完了数

これらはそのままの数値を利用するというよりは,⁠流入のうち,何%がたどり着いたか」を見て,サイト内の改善施策に反映させるために重要な情報です。

売上

「訪問回数」と同様に,売上金額が高い流入施策が大切になります。また,売上だけ見るのではなく,購入完了あたりの平均売り上げを算出することで,改善効果が大きい施策を見つけることができます。

計算して出すべき数値もあわせた表が以下になります。数値が良いものを「青」⁠悪いものを「赤」で分けています。

流入元流入回数直帰率詳細ページ到達数詳細到達率商品購入完了回数購入完了率売上売上÷購入回数
自然検索112,11729.40%52,46946.8%3530.31%¥852,495¥2,415
リスティング39,32535.30%31,00278.8%1510.38%¥407,266¥2,697
バナー広告21,54222.70%9,85745.8%1230.57%¥224,352¥1,824
ノーリファラー60,56418.60%24,68640.8%2340.39%¥643,225¥2,749
メールマガジン8,54220.10%4,98658.4%290.34%¥119,892¥4,134
その他無料流入38,16944.70%17,57046.0%2160.57%¥476,486¥2,206
その他有料流入7,19429.50%3,41747.5%320.44%¥65,888¥2,059

流入施策の特徴を洗い出す

それぞれの流入施策の特徴を洗い出してみましょう。

自然流入

流入や売上は高いものの,購入完了率は最も低い。

リスティング広告

流入・購入完了率・売上などは平均的。自然流入と比べて直帰率が高いのが気になる。詳細到達率は非常に高い(ランディングページが詳細ページのものが多いと考えられる)⁠

バナー広告

購入完了率は高いものの,単価(売上÷購入回数)は最も低い。比較的安い商品が売れていることがわかる

ノーリファラ

直帰率が低く,売上も2番目に高い。詳細到達率は低いが,ノーリファラの1つでもある「ブックマーク」で詳細ページではないページをブックマークしている可能性が考えられるため,結果的に低い可能性がある。

メールマガジン

全体的に数値は低調なものの,購入単価は最も高い。ただしボリュームは少ないため,売上のシェアは低い。

その他無料流入

直帰率が高いが,購入完了率も高い。内訳の中に,効果が悪い流入元と,効果が良い流入元が混在していることが想像される。

その他有料流入

ボリュームが最も少ない。売上単価も2番目に少ない。

施策を考える時の2つのポイント

上記の結果を元に改善施策を考えていくのですが,全部の施策を書き出すというよりは,優先順位が高い施策を考えてみましょう。

その時考えるべきことが2つあります。

1.どの指標を改善するか

数値を改善するには,おもに2つの考え方があります。1つは「良い数値をさらに良くする,あるいはほかの施策に転用する」というもの。もう1つは「悪い数値を改善する,あるいは影響を低くする」というものです。

どちらが正解ということはありませんが,片方だけにならないようにしましょう。

2.どの施策を優先するか

施策の優先順位は,次の3つの要素で決めましょう。

  • ボリューム⇒ 多いほうが良い
  • 平均からのズレの大きさ⇒(マイナスであれプラスであれ)大きいほうが良い
  • 思いつく施策の数と実施難易度⇒ 低いほうが良い

上記の観点から,どの流入施策を優先的に改善するかを3つピックアップしてみました。

  • ① 自然流入⇒ ボリュームが多く,購入完了率が悪い
  • ②メールマガジン⇒ ボリュームは低いものの,単価が高く,直帰率が低い
  • ③その他無料流入⇒ ボリュームや単価は平均的だが,直帰率が高く,購入完了率も高いという極端に平均から数値がずれている

ノーリファラは,売上が2番目に多く直帰率も低いため,気になる流入元です。しかし,⁠思いつく施策の数と実施難易度」という観点から,3つの中には入れることができませんでした。

リスティングは,自然検索より直帰率が高いので,クリエイティブやランディングページの見直しだけはやっておきたいですね。

著者プロフィール

小川卓(おがわたく)

株式会社サイバーエージェント アメーバ事業 課金戦略室 データコンサルティングチーム

ウェブアナリストとしてサイトの分析や施策の提案などを行っている。個人としても,ブログ「リアルアクセス解析」を運営したり,定期的に都内および地方で講演活動などを行っている。著書に『ウェブ分析論:増補改訂版』『ウェブ分析レポーティング講座』『クチコミページと社長ブログ,売上に貢献しているのはどちら? 〜マンガでわかるウェブ分析』などがある。
趣味はピアノ・風呂・サッカー。最近はまっているものは入浴剤。

ブログ:http://d.hatena.ne.jp/ryuka01/
Twitter:@ryuka01

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