エンジニアのスキルを試すコードパズル ─この問題,あなたは解けますか?

第11回 小川卓からの問題(第4回)解説編

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改善施策の考え方

優先する流入元が決まったら,後はそれらの数値を元に改善施策を考えていくことになります。以下,1つずつ見ていきましょう。

自然流入

主要キーワード群ごとの各指標を確認する。その中でも購入率が高いものがあれば,それらのキーワードにマッチするコンテンツを作成し,さらなる流入数の増加を目指す。逆に,ボリュームが多いキーワード群で購入率が悪いものがあれば,サイトとしてそのワードに対してコンテンツを提供するかを決める。提供する場合は,コンテンツを作成し,購入率を改善する。

メールマガジン

メールマガジンの登録数を大量に増やすのは難しい(ポイントサイトなどで増やすことはできるが,直帰率の増加や,単価の低下が想像できるため⁠⁠。そのため,購入率をさらに上げることを考えたい。そのためには,まずメールマガジンごとの配信数・開封数・クリック数・購入率を確認する。数値が高い場合は,どのような内容やクリエイティブで配信しているかを確認し,メールの配信に役立たせる。

また,単価が高い理由を突き止めるために,購入商品・同時に購入数などを確認する。特に人気が高い商品があれば,サイト内でも大々的に取り上げる。

その他無料流入

「直帰率が高く,購入率も高い」という,通常だとありえない組み合わせになっている。それは,効果が高い流入元と低い流入元が混在しているためと考えられる。そのため,流入ドメイン単位で数値を確認する。そして,効果が高いものに関しては,そのサイトでのクリエイティブを横展開,さらなる流入アップを実現するためのタイアップや記事投稿などの施策を実施する。

数値が悪いものに関しては,同じようなクリエイティブを自社内で利用していないか確認し,改善する。

上記が私の回答になります。

流入ページのデータを確認する

では,次に質問1の後半部分である,流入ページのデータを確認してみましょう。こちらも,いくつかかんたんな集計をしたほうが違いが見やすいため,以下の計算を行います。

  • 詳細ページ到達率=詳細ページ到達数÷流入回数
  • 購入完了率=購入回数÷流入回数
  • 購入単価=売上÷購入回数
入口ページ流入回数直帰率詳細ページ到達数詳細ページ到達率商品購入完了回数購入完了率売上購入単価
詳細直接流入69,67732.20%69,677100.0%4780.7%¥1,151,671¥2,409
TOP流入54,95318.60%12,46022.7%1490.3%¥319,837¥2,147
一覧流入62,91423.70%43,88069.7%4100.7%¥1,103,438¥2,691
特集流入39,39842.30%5,09412.9%190.0%¥33,052¥1,740
その他流入60,51227.50%12,87621.3%820.1%¥181,606¥2,215

先ほどと同じように,それぞれの特徴を確認してみましょう

詳細直接流入

ボリューム多く,全体的に数値が優秀。流入ページがゴールに近いことが大きな要因として考えられる。若干,直帰率が高いところが懸念点。

TOP流入

直帰率が低い。ほかの数値はすべて平均的な値となっている。

一覧流入

詳細流入と似たような数値になっている。しかし,直帰率は詳細流入より数値が良い。購入単価がもっと高い。

特集流入

全体的に数値が悪い。購入完了率も低く,単価も安い。

その他流入

購入や売上の数値が悪い。しかし,それ以外は平均的な数値。

流入ページの改善策を考える

先ほどの優先順位の観点から,対象を2つ選んでみました。

  • ①特集流入⇒ 数値が全体的に悪い,かつ特集は作成の手間もあるので見直し対象
  • ②詳細+一覧流入⇒ 数値が全体的に多く,さらに流入を増やしたい部分でもある

考えられる施策は以下のとおりです。

特集流入

流入元とのかけあわせを行い,自然検索流入の割合を把握する。割合が全体の1/3未満であれば,SEO効果も少ない。売上以上に作成のコスト(人件費)がかかっている場合は,特集の作成を辞める,あるいは効果がある特集だけ残し,ほかのリソースを割り当てることを考える。割合が大きい場合は,特集ページのレイアウトや内容を見直す。特に直帰率が高いため,まずは直帰率を減らすような施策から実施する。

詳細+一覧流入

どちらも入口ページとしては優秀なため,こちらも同じように流入元とかけあわせて分析する。ボリュームが多く効果が良いもの・悪いものを見つけ,改善施策のネタ出しに活かす。

どちらもほぼ同じ効果なため,大きく修正する必要はない。しかし,さらに効果を高めるために,一覧から詳細の遷移率(69.7%)をさらに改善するために,一覧ページに対してA//Bテストを実施する。

以上が「質問1」の回答になります。

回答ピックアップ

回答いただいた方の中から「これはいいな!」と思った回答をピックアップさせていただきました。分析+施策がセットになっているもの,施策がイメージしやすいものを中心に選んでみました。

流入元データから,「メールマガジンによる流入を増やす」ことを改善案として提案する
[提案の根拠]
売上/商品購入完了回数 の比をとったものを見るとメールマガジンの値は\4,134となっており,他の流入経路よりも高く(平均は\2,583),高額な商品の購入または一度に沢山の購入であると考えられる。

売上の上位を占める,自然検索とノーリファラ(おそらくブックマーク)からの流入について,直帰率が低いことから,ドックフードなどの消耗品を定期的に購入するユーザが一定以上存在し,このサイトの売上を占めている思われる。

また,メールマガジンからの流入について,購入単価(売上÷商品購入完了回数)が高いことから,消耗品以外の比較的単価の高い(推測ですが)ペット用の洋服が売れている傾向が見られる。消耗品については競合も多く,他社との価格競争に陥りやすく差別化も難しい。そのため,比較的差別化しやすく,単価の高いペット用の洋服の売上を増やすために,メールマガジンおよびメールマガジンからのランディングページなどを改善していくことで,長期的に売上を増やすことができるのではないかと考える。

流入元データから,

  • 1購入完了あたりの売り上げ金額を流入元ごとに計算する……A
  • 流入回数を分母として購入完了回数のCVRをそれぞれ求める……B

AにBをかけて1流入当たりの売上期待値を求めると,メールマガジンが最大となっている。

入口ページデータから,

  • 1購入完了あたりの売り上げ金額を入口ページごとに計算する……C
  • 流入回数を分母として購入完了回数のCVRをそれぞれ求める……D

CにDをかけて,1流入当たりの売上期待値を求めると,一覧ページが最大となっている。

上記2つの指標から,メールマガジンからの誘導を増やして,メールマガジンからの誘導先を一覧ページにすることが効果的と想定される。メールマガジンについては,件名,メール文面,配信タイミングなど工夫する。

流入元では,メールマガジンの売上単価(売上単価=売上/商品購入完了回数)の高さに着目したい。メールマガジンの発行対象ユーザは,ロイヤルユーザ(既存顧客,リピーター)であることが想定される。

ここでは,ロイヤルユーザによる売れ筋商品やレビューをサイトコンテンツに反映させる取り組みを行いたい。商品のユーザレビューやソーシャル機能による拡散の仕組みを実装したいところである。

ロイヤルユーザが投稿したくなる,他ユーザに教えたくなる企画を立てて,CGM施策を図りたいところである。たとえば,取扱商品が犬に関連する商品(犬の洋服,ブラシ,ドッグフード等)ということでお散歩ファッションやトリミングのビフォーアフターなど,ちょっと人に自慢したい,見てもらいたいという欲求を満たすようにしたい。

商品購入完了をコンバージョンとして,商品購入完了回数÷詳細ページ到達数で割合を見たところ,TOP流入,一覧流入が高く,特集流入が低いことがわかりました。また,売上÷商品購入完了回数を見ると,⁠一覧流入」が若干高めですが,⁠特集流入」が低いことがわかります。

以上から,下記の5つを提案できます。

  • メールマガジンの内容をバナー広告やリスティングの文章に生かせないか検討する。
  • その他の流入によるランディングするページを確かめ,可能ならコンテンツの内容を改善する(⁠⁠その他」としてひと括りにされているため,単一ページの対応だけでは難しい?⁠⁠。
  • メールマガジンの効果が高いので,可能ならバックナンバーを表示するか,特集ページにメルマガへの登録をメリット(メルマガ会員限定の商品があるなど)つきで促すようにする。
  • 購入完了後にメールマガジンへの登録を促すようなメッセージをメリットとともに表示する。
  • せっかく特集ページを設置しているのにも関わらず,大きな効果を得られていないため,訪問者のニーズを把握して特集ページを改善後,リスティング広告などのランディングページとして購入に誘導する。
特集流入の直帰率が高く,CVRが低い
  • →ランディングページを一覧に移す
  • →特集ページのコンテンツ改善
TOPページとその他流入の詳細ページへの到達率が悪い
  • →ナビゲーションの改善
リスティングの直帰率が高く,詳細到達後のCVRが低い
  • →ランディング先を一覧にする(現状は恐らく詳細ページが多い)
バナー広告とその他無料流入のCVRが高いのに詳細到達率が低い
  • →詳細ページへの導線強くする
  • →直接詳細か一覧に飛ばす

著者プロフィール

小川卓(おがわたく)

株式会社サイバーエージェント アメーバ事業 課金戦略室 データコンサルティングチーム

ウェブアナリストとしてサイトの分析や施策の提案などを行っている。個人としても,ブログ「リアルアクセス解析」を運営したり,定期的に都内および地方で講演活動などを行っている。著書に『ウェブ分析論:増補改訂版』『ウェブ分析レポーティング講座』『クチコミページと社長ブログ,売上に貢献しているのはどちら? 〜マンガでわかるウェブ分析』などがある。
趣味はピアノ・風呂・サッカー。最近はまっているものは入浴剤。

ブログ:http://d.hatena.ne.jp/ryuka01/
Twitter:@ryuka01