継続は力なり―大器晩成エンジニアを目指して

第7回 1 on 1で何を話すのか

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

マネージャーは何を話すのか

さて,次はマネージャーの立場で何を話すべきかを説明していく。ソフトウェアエンジニアとはかなり立場が違うので注意してほしい。

マネージャーは通常,チーム内のプロジェクトの進捗管理や,エンジニアのキャリアマネジメントに責任を負っている。それを念頭に置きつつ話を聞こう。上でも述べたが,1 on 1はマネージャーの時間ではなくエンジニアのための時間だと考えよう。特にチームミーティングなどであまり発言する機会のないエンジニアの話をじっくり聞こう。目安としては8割ほどの時間を相手が話す時間に使うべきだ。

もし相手が口下手なエンジニアだとしても,できれば自発的に話し始めるのを待つ。もしくは「最近どうですか?」⁠何か困ったことある?」と広い質問をしよう。くれぐれも,⁠ABCプロジェクトはうまくいっている?」などと話題を最初から限定しないように。

先述したように,マネージャーとエンジニアは1:Nだ。だからといって一人一人のエンジニアを軽視してはいけない。エンジニアが1:1の関係であると錯覚できるようにケアしよう。

1 on 1で話した重要なことは箇条書きでよいのでメモをとろう。EvernoteやGoogle Docsを利用して,エンジニアごとにドキュメントを残しているマネージャーも多い。また,助けを求められたりフォローアップのアクションが必要だったりした場合はただちに実行し,忘れない工夫をしよう。勇気を出して相談してもらったのに,忘れたり放置したりしたら意味がない。

マネージャーM氏

筆者は前職のサンフランシスコの会社で,数年間で15人以上のマネージャーと働いたが,その中でもM氏はすばらしかった。

まず,1 on 1に必ず時間どおりに現れる。これは意外と難しいことだ。取締役とのミーティングには時間どおりに行くのに1 on 1やチームミーティングだと油断して時間にルーズになるマネージャーが多い。しかし彼は時間どおり現れる。自分が尊重されているのを感じた。

M氏は行動も早かった。筆者がほかのチームとの交渉で困っていると1 on 1で相談したのだが,1 on 1が終わって30分後には解決していた。そのチームのマネージャーと話してベストな着地点に持っていったのだった。問題把握,解決能力がずば抜けて高い。

そのうえ人の扱いが上手であった。筆者もそうなりたいものである。

パフォーマンスマネジメント

パフォーマンスマネジメントもマネージャーの大事な仕事の一つである。1 on 1で定期的に,そのエンジニアが期待されている役割やパフォーマンスを一緒に見ていこう。よくできている部分,改善できるポイントを指摘しよう。よくできている部分は大げさなくらいほめるべきだ。マネージャーは「できていない」部分を指摘しがちだが,きちんとバランスをとるようにしよう。そうでないと毎回改善すべき点ばかりになってしまい楽しくない。また,できていない部分を指摘するときには,⁠できていない」という否定の説明ではなく,⁠もっと良くなる」という肯定的な説明をしよう。肯定的な改善ポイントから説明することで,エンジニアが落ち込まずに次のアクションを取ることができる。改善の進捗を見ていくので,毎回ドキュメントにメモをとりながら進めると良いだろう。

どうしても時間が余ったら

マネージャーとして聞きたいことは,なんでも聞いてみよう。筆者はマネージャーとして自分が改善できる点はないかを聞いていた。

FAQ

最後に,1 on 1に関するよくある質問をまとめてみる。どれも実際に筆者が質問されたものである。

頻度はどれくらい?
1~2週間に1回。それ以上空くと頻度が少なすぎて情報の遅れなどが生じる
かける時間はどれくらい?
30分程度。それ以上だとマネージャーの負担が大きい
話すことがないので頻度を減らしたい
1 on 1をスムーズに行うための工夫を見直してほしい。頻度を減らすと1 on 1のメリットが急激に減るので注意しよう

まとめ

1 on 1を導入する組織,会社はこれからどんどん増えていくと思う。その過程でこの文章が役に立てば幸いである。

WEB+DB PRESS

本誌最新号をチェック!
WEB+DB PRESS Vol.112

2019年8月24日発売
B5判/168ページ
定価(本体1,480円+税)
ISBN978-4-297-10787-1

  • 特集1
    React/Vue.jsで実践!
    コンポーネント設計
    モダンフロントエンドの構造化と分割の新提案
  • 特集2
    RDBMS徹底比較
    PostgreSQL,MySQL,SQL Server,Oracle Database
  • 特集3
    実践Scala
    オブジェクト指向×関数型
  • 一般記事
    自作キーボードのススメ
    デザイン,配列,打鍵感……自由自在

著者プロフィール

ひげぽん(Taro Minowa)

Software Engineer.

Mona OS/Mosh Scheme

URL:http://www.monaos.org/
技術ネタ:http://d.hatena.ne.jp/higepon