サイバーエージェントを支える技術者たち

第11回 “デザイナーからエンジニアへの華麗なる転身”─Ameba事業本部 クリエイティブグループ 高岡哲也

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ユーザが自身そっくりに作成したアバターである「ピグ」を使って着せかえやお部屋の模様替え,たくさんの人と交流したり,イベントに参加するなど,さまざまな遊び方で楽しめる仮想空間サービスとして,600万人以上の利用者を抱える「アメーバピグ」⁠⁠釣り」「カジノ」などのソーシャルゲームも提供されており,他のユーザとリアルタイムでコミュニケーションを図りながら遊ぶことができます。

高岡哲也氏

高岡哲也氏

今回は,アメーバピグにおいて釣りゲームの開発に取り組む,Ameba事業本部クリエイティブグループの高岡哲也氏にお話を伺いました。

Flashの描画速度を高速にしてユーザに快適に遊んでもらう

―― まず,現在担当されているサービスを教えてください。

アメーバピグ上で提供している釣りゲームを開発するプロジェクトに所属しており,そこでFlashのオーサリングとプロデューサー業務を担当しています。現状,釣りゲームでは1ヵ月に1つくらいのペースで機能の追加を行っており,現在はその開発を中心に作業しています。

最近では,一定期間内で釣った魚の数や大きさを競うことをユーザに楽しんでもらえる「大会機能」と,これを実装する上で必要となった釣果によって変動する「ランキング機能」を追加しました。⁠大会機能」はとても好評で釣りゲームの活性化につながっています。

―― アメーバピグの釣りゲームでは,1エリアに4人までという制限がありますが,これはどういった理由があるのでしょうか。

理由として大きいのは,Flashの描画速度です。クライアントPCとサーバの通信は人数が増えても対応できますが,人数を増やすとFlashの描画速度が遅くなります。釣りゲームはタイミングゲームなので,描写速度の遅延は致命的です。ですので,現状では4人を上限ということにしています。ただ,4人でも動作が鈍いと感じる場面もあるので,できる限り高速に描画できるような工夫も重ねています。

―― 具体的にはどういった工夫をされているのでしょうか。

たとえばベクターデータとビットマップデータの使い分けです。アメーバピグでは基本的にベクターデータを使っていますが,すべてそれで描画しようとすると処理がすごく重くなってしまうので,Flashに搭載されているビットマップキャッシュの機能も使っています。このビットマップキャッシュは,ラスタライズしたベクターデータをビットマップデータとしてキャッシュしておくという機能で,これによって描画を高速化しています。

さらにアメーバピグの釣りゲームでは,ベクターデータのラスタライズの負担を軽減するため,そもそも拡大や縮小を行わないようにしています。

とくにタイミングが重要になるゲームでは,描画速度がゲーム性に直結します。ただ,Flashというプラットフォーム上の制約もあるほか,そもそも描画速度はユーザが利用しているPCのスペックにも左右されてしまう難しさもあり,一筋縄では解決できない問題とも言えるでしょう。今後どういった手段でレスポンスを改善されていくのか注目したいところです。

さて,後半ではゲームバランスについてや,高岡氏の経歴などについて伺いました。

運営側が積極的に携わっている姿勢を見せ続けることが重要

―― ゲームの開発では,どういった部分に難しさを感じていますか。

アメーバピグの釣りゲームでは,魚自体にヒットポイントやスピード,レア度,特殊能力などさまざまなパラメータがあり,さらに竿やえさにも同様にパラメータがあります。このパラメータの組み合わせで釣りやすさなどを決めているのですが,そのバランスの設計はやっぱり大変です。

あと,運営側が積極的にゲームに携わっているという姿勢を見せることが重要だと感じています。実は釣りゲームをリリースした当初は多くのユーザに遊んでいただいたのですが,その後2~3ヵ月で目に見えてユーザ数が減ったということがありました。それで,あるときにちょっとした機能を追加したのですが,それでまた多くのユーザに遊んでもらえるようになりました。そこでソーシャルゲームは運用がとても重要だと感じましたね。

―― 現状の開発はどういった形で進められているのでしょうか。

現時点のメンバーは6名です。スケジュールは開発するものの規模にもよりますが,3日ぐらいで企画を詰めてしまって,1週間でモックの制作,もう1週間でサーバとFlash側のつなぎ込みをして,というイメージですね。そういう意味では,スケジュール的にはかなり頑張って開発しています。

―― サイバーエージェントにはどういったきっかけで入社されたのでしょうか。

もともとWeb,Flashの派遣技術者としてFlashのオーサリングやデザインを担当していました。

サイバーエージェントに興味を持ったのは,広告代理店でありながら制作チームもあるということで,クライアントの声も聞けるというのは面白そうだなと感じたことからです。それでサイバーエージェントに転職し,2年ほど広告のキャンペーンページ・タイアップなどの制作に携わった後,アメーバピグの開発部隊に異動することになりました。

アメーバピグの部隊には社内でもとくに優秀なメンバーが多かったので,自分も成長できるのではないかという期待もあり,異動の話はとても嬉しかったですね。実際,アメーバピグに携わるようになったことで自分のスキルを伸ばすことができたと感じています。

―― 興味を持たれていることや,今後勉強していきたいことなどがあれば教えてください。

もともとFlashに興味を持ったのは,自分でデザインしたものを動かしたいという気持ちからでした。それは今でも変わっていなくて,インタラクティブデザインに非常に興味があります。

そうしたところから,現在はC++のツールキットとして公開されている「openFrameworks」を使ったインタラクションのあるデザインを個人的に勉強して,色々と作ったりしています。

―― 最後に,今後の目標を伺わせてください。

アメーバピグの釣りゲームに関しては,ユーザを増やしてサービスを成長させながら,事業としても成功させたいと考えています。それが目標に到達したら,また別のソーシャルゲームを作ってみたいですね。

広告キャンペーンサイトの制作からアメーバピグの開発と,業務の内容が大きく変わる異動でありながら,自分のスキルが伸ばせるチャンスと前向きに捉えていたという高岡氏の姿勢が印象的です。その高岡氏の手により,アメーバピグの釣りゲームがどのように進化するのか,今後の展開に目が離せません。

サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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