サイバーエージェントを支える技術者たち

第29回 研究課題レポート運営プロジェクト[前編]

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サイバーエージェントには,社内のエンジニアからレポートを公募し,それを評価して表彰する「研究課題レポート」と呼ばれる制度があります。レポートの内容はエンジニアの自由に任されており,毎回さまざまなレポートが応募されるとのこと。この研究課題レポートとはどのような制度なのか,このプロジェクトの運営に携わるアメーバ事業本部Ameba Technology Laboratoryの鈴木俊裕氏,深澤宏仁氏にお話を伺いました。

(左から)深澤宏仁氏,鈴木俊裕氏

(左から)深澤宏仁氏,鈴木俊裕氏

エンジニアの技術力向上を支援する取り組み

エンジニアとして働いていくうえで重要なことの1つに,新しい技術に興味を持ってチャレンジすることが挙げられるでしょう。しかし実際に働き始めると,仕事が忙しくて新しいテクノロジについて勉強する時間がなかったり,あるいは現在の仕事に関係ない分野にはなかなか手が回らなかったりすることが多いのではないでしょうか。こうした課題を解決するべく,サイバーエージェントにおいて実施されているのが「研究課題レポート」と呼ばれる制度です。

これは毎年2回,サイバーエージェント社内のエンジニアからレポートを募り,それを評価して「最優秀賞」「優秀賞」といった形で表彰するという取り組みで,研究課題として取り上げる内容は自由なので,その時点で自分が興味を持っているものについて書けばよいことになっています。これまでに7回開催されており,すでにサイバーエージェントの中では恒例行事の1つとして定着しているようです。

この研究課題レポートの運営に携わる鈴木氏は,この制度の目的を次のように説明します。

「この研究課題レポートの目的は3つあります。1つめは技術者の成長で,自ら見つけた研究課題に対して調査,検証する中で,エンジニアとしてのレベルアップにつながればと考えています。2つめは技術者間でのナレッジの共有です。受賞したレポートは製本して配布したり,PDFデータで社内に公開したりしていますが,実際によく読まれているようです。3つめはサイバーエージェントの技術力の対外的なアピールです。たとえばエンジニアを採用する際,サイバーエージェントの技術的な側面とカルチャー・環境を理解してもらうための資料としてもレポートを活用しています(鈴木氏)⁠

受賞レポートは各回ごとに製本して配布される

受賞レポートは各回ごとに製本して配布される

会社からの積極的なバックアップ

エンジニアの技術向上を目的として,社内で勉強会やセミナーを開催する企業は増えつつあります。しかし,こうした取り組みは定着する前に自然消滅してしまうケースも少なくありません。その理由の1つとして挙げられるのが,携わっている業務が忙しくて勉強会のための資料を作る暇がない,あるいは参加したくても時間がとれないなど,勉強会やセミナーのために十分な時間を割けないというものです。サイバーエージェントの研究課題レポートでは,こうした問題をどのように回避しているのか,鈴木氏と同じく運営に携わる深澤氏に伺ったところ,次のような答えが返ってきました。

「サイバーエージェントでは,この研究課題レポートのために48時間まで業務時間を使ってもよいというルールがあります。仕事が忙しくなると時間の調整がたいへんになりますが,会社として決められたルールなので周囲の理解も得やすいですね。時間の取り方は人それぞれで,丸々1週間を研究課題レポートに費やすという人もいます(深澤氏)⁠

いくら技術力向上につながるといっても,個々のエンジニアの自主性だけに任せているようでは,このような制度を定着させるのは難しいでしょう。そこでサイバーエージェントでは,こうした取り組みを会社としてもバックアップしているわけです。

またおもしろいのは,研究する対象は個々のエンジニアに任されているという点です。このため,これまでに最優秀賞や優秀賞,佳作に選ばれたレポートの内容もバラエティに富んでいます。会社としてバックアップしつつエンジニアの自主性も尊重する,このバランスが研究課題レポートを恒常的な取り組みとして定着させることができた理由の1つとして挙げられそうです。

さて,次回はこの研究課題レポートの運営の流れやレポートの評価基準などについて伺っていきます。

これまでの受賞レポートの例
前回受賞
レポート(第7回)
「Galera Replication」に関する調査レポート
OpenCVによる顔認識システムの開発
サーバの構築作業や運用管理を自動化する「Chef」を使うためのチュートリアル
Jenkins+Unityで構築するスマフォアプリビルドサーバ
関連芸能人推薦の方法
node.jsの紹介とnode.js module作成レポート
前々回受賞
レポート(第6回)
WebGLによる3Dアプリケーションに関するレポート
MPJoinを用いた類似データ抽出
Kinectを入力デバイスとしたアバターのリアルタイム制御
サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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