サイバーエージェントを支える技術者たち

第59回 アドネットワークを支えるビッグデータ解析

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サイバーエージェントでは,インターネット広告事業を展開するグループ企業の開発部隊を横断する組織「アドテクスタジオ」を新たに立ち上げました。今回は,⁠株)AMoAdのエンジニアである木村衆平氏に,同社で行っているビッグデータ解析などについて伺いました。

Amazon Redshiftを活用してビッグデータ解析基盤を構築

広告主の出稿業務を自動的に効率化するDSP(Demand-Side Platform)⁠そしてメディア側の利益を最大化するための基盤であるSSP(Seller-Side Platform)の登場,さらにリアルタイムに広告枠を売買するRTB(Real-Time Bidding)の普及など,アドテクノロジーの進化によってインターネット広告の世界は大きく変化しています。さらに最近では,ビッグデータと呼ばれる大規模データの解析技術が進化したことで,ユーザのニーズに合致したきめ細かい広告配信が可能になったことも見逃せないでしょう。

このビッグデータ解析において,昨今注目されているのが「Amazon Redshift」です(図1)⁠データ解析を行うDWH(Data WareHouse)の機能を提供するクラウドサービスであり,従来のDWH製品と比べて圧倒的な低価格でデータ解析を行えることが特徴です。

図1 AMoAdで利用しているAmazon Redshift。ペタバイト規模のデータウェアハウスをAmazonのクラウド上に構築できるサービス

図1 AMoAdで利用しているAmazon Redshift。ペタバイト規模のデータウェアハウスをAmazonのクラウド上に構築できるサービス

サイバーエージェントグループの1社であり,スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイス向けのアドネットワーク事業を展開する⁠株⁠AMoAdでは,このAmazon Redshiftをデータ集計および解析の基盤として利用しているとのこと。同社のエンジニアである木村衆平氏は,Amazon Redshiftを採用した理由を次のように説明します。

「実はAmazon Redshiftを利用する前は,Amazon Elastic MapReduceを使ってデータの集計や解析をしていたんです。データの解析では,やろうと思ったときにすぐできることが重要です。しかしAmazon Elastic MapReduceでは,解析の前にその処理を実装するという手間がありました。一方,Amazon Redshiftなら,SQLが使えればデータにアクセスして必要な処理が行えるので無駄な開発を減らせます(木村氏)⁠

実際に使い始めて感じたのは使い勝手のよさだったと言います。

「とにかく簡単に使えるのがよかったですね。Amazon Redshiftは行指向ではなく列指向なので一般的なデータベースとは少し違いますが,それほどハードルは高くない印象でした。また,クラウドサービスでハードウェアを持つ必要がないのもメリットです(木村氏)⁠

また木村氏は,オンプレミスでの運用に比べて大幅にコストが低減できることを挙げ,ハードルを低く抑えて大規模データ解析ができるのは大きな利点だと続けます。

木村衆平氏

木村衆平氏

「ビッグデータ解析が話題になっていますが,それをオンプレミスでやろうとすると膨大なコストが発生してしまうでしょう。Amazon Redshiftであれば圧倒的な安さで解析基盤を作れます。ビジネスサイドから考えると,解析基盤を導入した効果というのは当然求められるわけですが,Amazon Redshiftであればハードルが非常に低い。またクラウドサービスなので,不要になったらすぐにやめられるのもポイントですよね(木村氏)⁠

グループ内のエンジニアが集結したアドテクスタジオ

サイバーエージェントでは,2013年10月にグループ内のアドテクノロジー分野のサービスを提供している企業の開発部門を横断する「アドテクスタジオ」という組織を立ち上げました。AMoAdでエンジニアとして働く木村氏も当然参加しており,グループ内での技術の標準化などに取り組んでいきたいと意気込みます。

「アドテクスタジオはまだ立ち上げて間もないのですが,積極的に勉強会などを開催して交流を深めていきたいですね。また技術の標準化にも取り組んでいきたいと考えています。現状はそれぞれ各社が個別にシステムを開発し運用していて,当然各社の事業に最適化されているわけですが,人の流動性といったところまで考慮すると,ある程度のところまでは標準化しておく意義があると思います(木村氏)⁠

なおAMoAdでは現在積極的にエンジニアを募集しているとのことで,どういった人が求められているか聞いたところ,次のような答えが返ってきました。

「ぜひ来ていただきたいのはアーキテクトができるエンジニアです。インターネット広告に対する知識も必要ですし,当然ですが技術的な理解も求められるので難しい部分ではあるのですが,AMoAdはそういったエンジニアが力を発揮できる職場なので,ぜひ積極的に応募してほしいと思います(木村氏)⁠

現在木村氏は,リターゲティング広告のさらなる進化などを見据えて,リアルタイムの集計基盤の開発に取り組んでいると話します。このように最新のアドテクノロジーの開発に取り組めるAMoAdは,エンジニアにとって非常に魅力的な職場だと言えるのではないでしょうか。

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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