データ発見隊

第4回 長いIDと短いID

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はじめに

写真1 チングルマ

写真1 チングルマ

ものを区別するためには一般に名前が利用されます。「高山によく生えている,白い花びらが5枚あって真ん中が黄色い小さな花」などと言うよりも「チングルマ」写真1と言ったほうが話が早いですし,私のことを表現するには属性をいろいろ表現するよりも「増井俊之」と言ったほうが簡単でしょう。計算機の中ではデータを区別するためにファイル名が使われていますし,計算機を区別するためにはドメイン名や計算機名が使われています。実世界の花も人間も,ネット上の情報もサービスも,適切なIDを付けて管理するのが人間社会の常識になっています。

Gyamp ─ 短いIDを活用する

最近はWeb上の情報を特定するためのIDとしてURLが広く利用されていますが,URLは長くなりがちなので各種の「URL短縮サービス」が利用されています。一時はTinyURLがよく使われていましたが,現在はBit.lyのような,より短い名前のサービスがよく使われているようです。これらのサービスは長いIDを短いIDに変換してくれるので便利ですが,短い名前はシステムに勝手に決められてしまうところが困ります。

Bit.lyのサービスを使うと,秋葉原の地図を示すhttp://maps.google
.co.jp/maps?ll=35.698683,139.774219&spn=0.018959,0
.027766&z=15
のような長いURLをhttp://bit.ly/c1f2fqのような短いURLに短縮できますが,「秋葉原」「c1f2fq」であるということを覚えておくことは難しいですし,一時的にでも「c1f2fq」という文字列を覚えることは難しいので,人間が利用するにはあまり役に立ちません。TinyURLを利用するとhttp://tinyurl.com/akibamapのような短いURLをユーザが指定することもできますが,このようなIDはあらゆるユーザで共有されるため自由に選べるわけではありませんし(実際http://tinyurl.com/
akihabara
は登録ずみでした),一度登録したものを変更できないので不便です。

筆者は,ユーザが自分だけの短いURLを自由に利用できるようにするため,Gyampというサービスを運営しています。Gyampのサービスを利用すると,TinyURLやBit.lyと同じように,長いURLの代わりにhttp://Gyamp.com/ユーザ名/IDのような短いURLを利用できるようになります注1)。たとえば上述のURL はhttp://Gyamp.com/test/akihabaraのような別名で登録できるので,「test」および「akihabara」という単語を覚えておけばどのブラウザからでも簡単に秋葉原の地図を参照できるようになります。

TinyURLやBit.lyとは異なり,Gyampでは同じIDに異なるURLを再登録できるようになっています。たとえば秋葉原の地図の代わりに秋葉原駅の情報をhttp://Gyamp.com/test/akihabaraに登録しなおすこともできます。

注1)
Gyampは以前は3memo.comという名前でサービスを行っていました。IDとして3文字のキーワードを推奨していたのでこのようなサイト名を利用していましたが,3文字にこだわる理由があまりないのでサイト名を変更し,3文字を特別扱いしないようにしました。

Gyampの利用法

Gyampへの登録

GyampはTinyURLのような利用法をメインに考えています。URLにhttp://Gyamp.com/test/akihabaraという別名を付けたい場合,http://Gyamp.com/test/akihabara!のように最後に「!」を付けたURLにアクセスすると,図1のような登録画面が表示されて長いURLを登録できるようになります。

図1 Gyampの登録画面

図1 Gyampの登録画面

登録後にブラウザからhttp://Gyamp.com/test/akihabaraにアクセスすると,登録したアドレスにリダイレクトされます。筆者は本棚.orgや天気予報などよく使うサイトのURLを「hon」「tenki」のような名前で登録してブックマーク的に利用しています。

同じIDの再利用

Gyampでは同じIDに異なるURLを登録しなおすことができるので,目的地の地図を常にhttp://Gyamp.com/test/mapのようなアドレスに登録しておくことにすれば,常にこのアドレスにアクセスすることで現在の目的地を表示できます。

筆者はパソコンのデスクトップやiPhoneのホーム画面にこのアドレスを登録しています。知らない場所に行くとき,行先の地図のURLをこのGyampアドレスに登録しておくことにより,パソコンやiPhoneから簡単に目的地の地図にアクセスできるようになります図2)。

図2 iPhoneからhttp://Gyamp.com/test/mapにアクセス

図2 iPhoneからhttp://Gyamp.com/test/mapにアクセス

文字列の登録

GyampではURL以外の文字列も登録できます。たとえば買い物リストをhttp://Gyamp.com/test/buyというアドレスに記録しておくことにすれば,買い物リストにパソコンやケータイから簡単にアクセスできるようになります。

この方法を使うとさまざまなマシンから同じ情報に簡単にアクセスできるようになるので,異なるマシン間の文字列のコピー&ペーストに利用できます注2)。マシンAに表示されている文字列をマシンBで利用するのは意外に面倒なものですが,マシンAの文字列をhttp://Gyamp.com/test/tmpのようなアドレスに登録し,これにマシンBからアクセスすることにすれば,簡単にマシン間で文字列をコピー&ペーストできます。

筆者はGyampを数年にわたり重宝しており,生活に欠かせない機能になっています。Firefoxでは検索窓に任意の検索システムを組み込むことができるようになっているので,Gyampを検索窓に登録しておくことによって「map」「tenki」などと打つだけで目的のページに飛ぶことができるようになります図3)。このため筆者はブラウザのブックマーク機能はほとんど利用しなくなってしまいました。

図3 Firefoxの検索窓にGyampキーワードを入力して地図を表示

図3 Firefoxの検索窓にGyampキーワードを入力して地図を表示

ネット上にブックマークを登録して共有する「ソーシャルブックマーク」が最近広く利用されていますが,ブックマークしたページにあとでアクセスするには結構手間がかかります。Gyampは他人との共有についてはあまり考慮していませんが,個人的にネット上でブックマークを利用するには非常に便利です。

注2)
「増井俊之の「界面潮流」第23回 ネットコピペ

著者プロフィール

増井俊之(ますいとしゆき)

慶應義塾大学教授。ユビキタス時代のインタフェース技術の研究開発に従事。

本棚.orgGyazoQuickMLFeedTVなど各種のネットサービスを運用中。

http://www.pitecan.com/

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