Javaはどのように動くのか~図解でわかるJVMの仕組み

第2回 ヒープが再利用される仕組みを理解する

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不要なオブジェクトを回収するしくみ~ガベージコレクタ

前回の最後で触れたように,あるオブジェクトに対する参照をすべて削除すると,そのオブジェクトへはたどり着くことができなくなるため,プログラム中で使用できなくなります。このようなオブジェクトが増えていくと,二度と参照されることのないオブジェクトがヒープを占有してしまい,ヒープが枯渇してしまいます。

図1 不要なオブジェクトであふれたヒープ

図1 不要なオブジェクトであふれたヒープ

日常生活では,建物内にゴミが溜まってしまい,足の踏み場がなくなっても,週1~2回あるゴミの日にまとめて捨てれば部屋はきれいになります。しかし,不要なオブジェクトでヒープが占有されてしまったJVMは,どうすれば良いのでしょうか?

JVMでは,このような不要なオブジェクトを「ゴミ」として回収し,不要なオブジェクトが使用していたヒープを解放することで,ヒープが枯渇することを防ぎます。その仕組みが「ガベージコレクタ(GC)⁠です。

GCは,まずはじめにゴミとなるオブジェクトを見つけます。その後,そのオブジェクトを回収し,そのオブジェクトが使用していたヒープを解放します。

ゴミとして回収の対象となるオブジェクトの条件は,⁠オブジェクトに対する参照が存在しないこと」です。つまり,どの変数やオブジェクトからもそのオブジェクトにいっさいたどり着くことができない場合,そのオブジェクトはゴミとして回収の対象となるわけです。

ただし,不要なオブジェクトがGCの対象となっただけでは,メモリ空間は解放されません。その後の処理でオブジェクトが回収されて,そのオブジェクトが使用していたヒープが解放されます。

図2 ガベージコレクタの働き

図2 ガベージコレクタの働き

GCはJVMが自動的に実行してくれる

GCは,ヒープの残り使用量が少なくなるなどして,JVMがGCする必要があると判断されたタイミングで実行されます。このタイミングはプログラマが制御できず,JVMが自動的に実行しますが,プログラム中でSystem.gc()メソッドを実行することで,プログラマが任意に実行させることもできます。

ただし,最近のJVMは非常に賢いので,プログラマが任意のタイミングでGCを実行するのではなく,JVMで自動で実行させたほうが,無駄なGCを行わずに済むためオススメです。

図3 GCによるオブジェクトの回収

図3 GCによるオブジェクトの回収

C++など,これまでの多くのプログラミング言語では,アプリケーション開発者がメモリの割り当てや解放などを管理する必要がありました。

たとえばC++では,new演算子で使用したメモリ空間は,delete演算子で明示的に解放しなければ,メモリ空間を占有したままになります。delete演算子でメモリを解放し忘れて,参照を削除してしまった場合は,プログラム終了までメモリを占有したままとなります。

そのようにオブジェクトを明示的に解放する必要がないことがJavaの大きなメリットと言えます。

図4 C++によるオブジェクトの生成と削除

図4 C++によるオブジェクトの生成と削除

オブジェクトが生成されてからGCの対象となるまでの流れ

ここで,あるオブジェクトがGCの対象となるまでの流れを,Javaのソースコードとオブジェクト,参照,変数の関係から見てみましょう。

図5 参照の例

図5 参照の例

1行目のnew Object()が処理されると,ヒープ上にObjectオブジェクトが作成されます。そして,Objectクラスへの参照を格納できるaという名前の変数によって,このオブジェクトへ参照できるようにします。

2行目では,変数aで参照できるオブジェクトに,変数aと同様にbという名前の変数でも参照できるようにしています。この段階では,変数aと変数bの2つから,同じObjectクラスのオブジェクトへ参照しています。

3行目では,変数aにnullを代入することで,オブジェクトへの参照を消去します。この段階では,変数bからオブジェクトへ参照されているため,GCが発生してもこのオブジェクトはGCの対象となりません。

4行目では,変数bにもオブジェクトへの参照を消去しています。この段階で,このオブジェクトに対する参照がすべてなくなります。そのため,次にGCが行われるときに,このオブジェクトが使用していたヒープが解放されます。

著者プロフィール

伊藤智博(いとうちひろ)

日本オラクル(株)コンサルティングサービス統括所属。アプリケーションアーキテクトやM/Wコンサルとして,Javaに限らずさまざまな言語での開発/支援を経験。アプリ ケーションだけでなくミドルウェア,データベース,OS,ハードウェアにも興味アリ。現在,以下のコミュニティの活動に協力している。

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ブログ:http://chiroito.blogspot.jp/
Twitter:@chiroito

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