デジタルコンテンツを日本から世界へ―MyCommerceで始める越境EC

第2回スムーズなグローバル展開を実現する手段

ダウンロード販売の普及で開かれたグローバルへの扉

自社で販売しているソフトウェアの売上をさらに伸ばしたいと考えたとき、より大きなマーケットに打って出るのも考え方の1つでしょう。日本だけで販売するのではなく、アメリカやヨーロッパなど、グローバルにソフトウェアを展開することで売上を高めるという戦略です。

従来、諸外国でのソフトウェア販売には、流通網の整備という大きな壁が立ちはだかっていました。いくらソフトウェアがあっても、そのパッケージが店頭に並ばなければ買ってもらうことはできません。その店頭に並べるために、どのようにパッケージを流通させるかといった段階から検討しなければならなかったのです。

しかし現在では、インターネット上でソフトウェアを提供するダウンロード販売が普及し、多くのユーザーがこの方法でソフトウェアを購入し始めています。つまり、パッケージの流通網を整備するという、ソフトウェアのグローバル販売における大きな障壁がなくなったと言えるのです。このような状況の中、苦労して開発したソフトウェアを日本の中だけで販売するのは、あまりにももったいないのではないでしょうか。

ソフトウェア販売のグローバル展開をサポートするMyCommerce

ただ実際にソフトウェアをグローバルで販売するためには、販売地域で使われている言語や文化に合わせたソフトウェアのローカライズが必要なのはもちろんですが、それに加えてダウンロード販売を行うWebサイトの整備も欠かせません。

このWebサイトでは、それぞれの国・地域のユーザーが慣れ親しんだ言葉で商品説明などを読めるように多言語対応が求められるほか、さまざまな決済手段にも対応する必要があるでしょう。さらにソフトウェアのダウンロード販売であれば、購入したユーザーのメールアドレス宛にライセンスキーを送るといった仕組みも必要です。

これらの仕組みを備えたWebサイトを自社だけで整えるのは容易ではなく、仮に構築できたとしても膨大なコストが発生してしまいます。そこで活用したいサービスがデジタルリバーのMyCommerceです。

多くのソフトウェアベンダーに対し、グローバルでのダウンロード販売のためのインフラやソリューションを提供してきたデジタルリバーの強み
多くのソフトウェアベンダーに対し、グローバルでのダウンロード販売のためのインフラやソリューションを提供してきたデジタルリバーの強み

ベンダーとユーザー双方にメリットがあるサブスクリプション販売にも対応

MyCommerceはソフトウェア販売に特化したサービスであり、最小限の負担でグローバルに自社のソフトウェアを販売するためのeコマースサイトを立ち上げることができます。具体的な機能としては、まず多言語対応と多通貨対応が挙げられます。たとえばソフトウェアを販売する国・地域ごとに個別にeコマースサイトを立ち上げた場合、1つのソフトウェアをそれぞれのシステムに個別に登録していく煩雑な作業が生じてしまうでしょう。またシステムが異なればデータも別々になり、統合的に売上を管理するといったことも難しくなります。

これに対し、MyCommerceは1つの商品に対して複数の言語と通貨を登録することが可能であり、国・地域に合わせてシステムを使い分ける必要はありません。もちろん、どの国・地域のユーザーが購入したのかにかかわらず、販売データなどはすべて一元的に管理されているため、グローバル全体ですばやく自社ソフトウェアの販売状況を把握することが可能です。

ソフトウェア販売のための機能が充実していることもMyCommerceの大きなメリットになっています。購入したユーザーがソフトウェアのインストール時などに入力するライセンスキーを送付するための仕組みを備えているのはもちろん、昨今広まりつつあるサブスクリプション販売にも対応しています。

ソフトウェアのサブスクリプション販売とは、ソフトウェアを一定期間だけ利用する権利を提供する販売モデルです。マイクロソフトが「Office 365 Solo」としてOffice 2013/2016のサブスクリプション形態で提供し、大きな話題となったことは記憶に新しいでしょう。また、アドビシステムズも「Adobe Creative Cloud」などとしてサブスクリプション販売に力を入れています。

このようにサブスクリプション販売が広まる理由の1つとして、ユーザーとソフトウェアベンダーの双方にメリットがあることが挙げられます。ユーザーは低コストでソフトウェアを使い始められる上、不要になれば契約を解除することで無駄なコストを削減できます。これによってソフトウェア購入の敷居が低くなり、これまで購入をためらっていたユーザーを取り込めることがソフトウェアベンダーにとってのメリットです。

すでに大手ソフトウェアベンダーが取り組み始めていること、ユーザーにとっても魅力的な販売形態であることを考えると、今後サブスクリプション販売が広まる可能性は高いでしょう。こうした販売形態に対応できることも、MyCommerceの大きなアドバンテージです。

ダウンロード販売に必要なストレージやネットワークも提供

MyCommerceではソフトウェアのダウンロード提供を行うためのストレージスペースやネットワークもサービスに含まれています。これらはクラウドサービスを利用することで手軽に確保することが可能ですが、費用面で問題となりやすいのがネットワークにかかるコストです。

多くのクラウドサービスではネットワーク利用料は従量課金制であり、転送したデータ量に応じて料金が発生する仕組みとなっています。つまりユーザーがソフトウェアをダウンロードすると、その分だけクラウドサービス側へ支払うネットワーク利用料が発生し、それがコストにつながってしまうのです。

しかしMyCommerceであれば、ストレージやネットワークで追加コストが発生することはなく、安心してソフトウェアをダウンロード提供することができます。このような点も、ソフトウェア販売に特化したMyCommerceならではの強みであると言えます。

多数の決済手段への対応で機会損失を防ぐ

グローバルでのソフトウェアのダウンロード販売では、各国の事情に即した決済手段の提供、そして税制への対応も求められます。これらの負担を軽減できることも、MyCommerceを使ってダウンロード販売を行う利点の1つです。

まず決済手段について、日本市場の感覚ではクレジットカード決済に対応していればおおむね問題ないと言えるのではないでしょうか。しかしグローバルでは、インターネット上でのクレジットカード利用が進んでいない国・地域もあります。たとえばロシアではYandex.Moneyなどの電子マネー、ドイツではデビットカードであるGirocardが普及しており、クレジットカードが決済に利用されるケースは多くありません。つまり、これらの決済手段に対応していなければ、機会損失に直結するわけです。

また自社でクレジットカード決済に対応する上では、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠も考えなければなりません。これはクレジットカード情報、取引情報を保護するためにクレジットカード業界が定めたセキュリティ基準であり、クレジットカード情報の保存や処理、伝送する企業に準拠を求めています。当然、準拠するためには相応のセキュリティ対策が必要であり、コスト負担につながります。

電子決済でもう1つ意識しなければならないのは、個人情報の漏洩リスクや不正利用への対応です。日本と同様、グローバルにおいても個人情報の漏洩は重大な事件として扱われ、損害賠償につながることも当然考えられます。またクレジットカードなどの不正利用も大きな問題です。国によっては不正取引が全体の数十パーセントにも及ぶケースがあるため、重大なリスクとして認識して適切に対応しなければなりませんが、自社のリソースだけでそれを実現するのは困難でしょう。

クレジットカード情報が漏洩すれば、信用の失墜に加えて大きなコスト負担も発生する可能性が高い。MyCommerceを使えば、これらのリスクに対応できる
クレジットカード情報が漏洩すれば、信用の失墜に加えて大きなコスト負担も発生する可能性が高い。MyCommerceを使えば、これらのリスクに対応できる

各国の税制への対応もデジタルリバー側で実施

もう1つ、見逃しがちなのが各国の税制への対応です。たとえばEU諸国では、2015年から国境をまたがるデジタルコンテンツ販売における付加価値税(VAT:Value Added Tax)を消費者の所在地に応じて徴収することになりました。つまり外国販売者はソフトウェアを販売するユーザーの国・地域を把握し、その国の税率に応じてVATを徴収した上で納税する必要があります。このVATの税率は国・地域によって異なるほか、納税処理もそれぞれで行う必要があるため、ソフトウェアを販売する企業にとって大きな負担になります。日本では2016年10月1日にEU同様に税制改正が行われ、他国でも順次展開されていきます。

EU諸国では、2015年から消費者の所在地に応じた税率でVATを徴収して納税しなければならないなど、税法が改められている。MyCommerceを使えば、こうした税法への変化に対応する負担も解消可能だ
EU諸国では、2015年から消費者の所在地に応じた税率でVATを徴収して納税しなければならないなど、税法が改められている。MyCommerceを使えば、こうした税法への変化に対応する負担も解消可能だ

これらに対してMyCommerceでは、クレジットカードや各種電子マネー、デビットカードなど幅広い決済手段に対応しているほか、サービス自体がPCI DSSに準拠、そして不正取引を検知する仕組みを備えているため、ソフトウェアベンダー側で新たな対策を講じる必要もありません。VATをはじめとする税金の処理もMyCommerceを提供するデジタルリバーによって行われるため、負担を最小限に抑えてグローバルにダウンロード販売を展開することが可能です。

なおMyCommerceは収益をサービス提供者であるデジタルリバーとソフトウェアベンダーで分配する、レベニューシェア型で提供されています。このため、ソフトウェアが実際に購入されなければコストはかからず、初期負担なしで使い始められることも大きなポイントになっています。自分たちのソフトウェアが本当に海外で売れるのか十分に確信が持てないといったケースでも、レベニューシェア型のMyCommerceであれば思い切ってチャレンジできるのではないでしょうか。

次回は、実際にMyCommerceを使ってソフトウェアを販売するための手順を解説します。

MyCommerceの導入事例等、詳細はコチラ

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