こんな夜中にOpenFlowでネットワークをプログラミング!

第3回 ネットワーク業界の地殻変動,そして次世代のクラウドへ

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はじめに

OpenFlowはネットワークの動作をプログラムにより制御できる技術です。今回はOpenFlowが業界に与えるインパクトや,クラウドへのOpenFlow の適用例について説明します。

OpenFlowが業界に与えるインパクト

OpenFlowが業界に与えるインパクトを説明するため,まずは従来のスイッチとOpenFlowスイッチの違いを説明します。

従来のスイッチは,1台のスイッチの中にパケット伝送機能,パケット制御機能,設定機能が実装されています図1)⁠一方,OpenFlowではパケット制御機能と設定機能がスイッチから分離されOpenFlowコントローラに集約されるため,複数のスイッチの一元管理が可能になります図2)⁠

図1 従来のスイッチのスタック構成

図1 従来のスイッチのスタック構成

図2 OpenFlowのスタック構成

図2 OpenFlowのスタック構成

OpenFlowの世界では,OpenFlowのスイッチの動作やスイッチとコントローラ間の通信はすべて標準で規定されるため,各ベンダが販売するOpenFlowスイッチ間に大きな機能差はなくなります。このようなネットワーク機器の標準化の動きを「ネットワーク機器のオープン化」と呼びます。サーバのオープン化によりメインフレームの大部分はIAサーバに置き換わりました。ネットワーク機器も,OpenFlowによりコモディティ化が進む可能性があります。

従来のネットワーク機器販売ビジネスは,ハードウェアの調達やプロトコルスタックの整備が必要で,ソフトウェアベンダが容易に参入できる分野ではありませんでした。しかし,OpenFlowが市場に浸透すると,ソフトウェアベンダでもOpenFlowコントローラの開発を行い,ネットワークビジネスに参入することが可能になります。また,OpenFlowコントローラの設定をGUI化すれば,ベンダごとに異なる機器設定を覚えずに,絵を描く要領でネットワーク構築や設定変更ができます。このように,一般的なネットワーク知識さえあれば誰でもネットワーク設定を安全に実施できる環境が整うと,ネットワーク構築ビジネス自体が縮小していく可能性もあります。

OpenFlowは運用を劇的に変えるかもしれま

せん。第2回で説明したとおり,OpenFlowはスイッチの三重化,四重化が容易なため,ネットワーク機器を多重化しておき,故障してもスイッチの交換はしないという「運用保守レス」も可能です。

OpenFlowでは,OpenFlowコントローラがすべてのネットワーク制御を行います。よって,サーバ側からOpenFlow コントローラ経由でネットワークをオンデマンドに変更するような新しいサービスも実現できます。

OpenFlowに対してはさまざまな見方が存在しますが,筆者は,従来のネットワーク機器では不可能であったサービスを実現し,サービス全体の付加価値を向上させると考えています。

クラウドへのOpenFlowの適用

続いて,OpenFlowを適用したクラウドアーキテクチャの例について,従来型のクラウドと比較して説明します。ここで紹介するアーキテクチャは,筆者が所属するNTTデータのR&D部門で検討されている方式の一例です。

従来型クラウドのアーキテクチャ

従来型クラウドでは,クラウドセットを複数並べることで全体をスケールアウトさせる構成が主流です図3)⁠クラウドセットを複数並べる理由はいくつか考えられます。たとえば,クラウドセット内で利用するVLAN(VirtualLAN)の数がプロトコルで規定される上限に達した場合は,新規にクラウドセットを追加する以外に大規模化する方法はありません。また,従来型クラウドは仮想マシン上にソフトウェアをインストールすることでロードバランサ機能や故障監視機能を実現している点も特長です。

図3 従来のクラウドアーキテクチャ

図3 従来のクラウドアーキテクチャ

著者プロフィール

樋口晋也(ひぐちしんや)

(株)NTTデータ 技術開発本部

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