OSSデータベース取り取り時報

第7回 MySQLとPostgreSQLのユーザーグループ合同セミナー2件開催,PostgreSQL 9.5.1リリース,Apache Cassandra 3.3 リリース

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2016年2月にはMySQLとPostgreSQLのユーザーグループが合同で,全文機能関連のセミナーと最新バージョン関連のセミナーの2件が開催されました。MySQLは2016年2月5日にMySQL 5.7のマイナー・バージョンアップによってセキュリティ関連の仕様変更と機能追加が行われました。また分散型クラスタのMySQL Clusterは次期バージョンMySQL Cluster 7.5の最初の開発途上版(DMR)がリリースされました。

PostgreSQLは2016年2月11日にマイナー・バージョンアップが行われ,最新版9.5.1がリリースされました。

Apache Cassandraのチック・タック・リリース) は,2016年2月9日に最新バージョン3.3がリリースされました。

※)
チック・タック・リリースとは,マイナー・バージョンアップのリビジョンが偶数(v3では3.2, 3.4, 3.6,…)の場合は新機能追加リリース,奇数(v3では,3.1, 3.3, 3.5 …)の場合は不具合修正バージョンとする,Apache Cassandraが採用している毎月のリリース・スケジュール明確化プロセスのこと。

[MySQL]2016年2月の主な出来事

2016年2月5日にマイナー・バージョンアップが行われ,MySQLの最新バージョンは5.7.11となりました。マイナー・バージョンアップではありますが,セキュリティ関連を中心に重要な仕様変更と機能追加が複数行われています。

MySQL 5.7.11でのセキュリティ関連の仕様変更と機能追加

当連載の第6回でもご紹介していますが,Oracle ACE(MySQL)のyoku0825さんから寄せられた機能要望のバグレポートをきっかけとして,MySQL 5.7.11からパスワード有効期限のデフォルト値が360日から無期限パラメータ名 default_password_lifetimeに変更になりました。MySQL 5.7.9および5.7.10はパスワード有効期限がデフォルトでは360日となっているのでご注意ください。

MySQL 5.7.11での重要な機能追加として,InnoDBの表領域ファイルを暗号化するInnoDB Tablespace Encryptionが利用可能になりました。このInnoDB Tablespace Encryptionによって,アプリケーションを一切変更することなく自動的にデータを暗号化してデータファイルに格納できます。これによって不正にファイルシステム上のデータファイルにアクセスされてもデータ自体は暗号化されているため読み取ることができません。本機能はコミュニティ版および商用版ともに利用可能です。MySQL 5.7.11の時点では,暗号化の鍵の管理機能などは実装されていないためPCIやFIPSなどのセキュリティ標準の要件を満たすことができませんが,今後のバージョンでの対応を検討中です。

MySQL Cluster 7.5のリリース

MySQLには共有ディスクを必要としない分散型のデータベースクラスタ製品MySQL Clusterが,MySQLサーバーとは別の開発ツリーで開発されています。このMySQL Clusterは全ノードがアクティブノードとして稼働するクラスタリング構成で,動的にノードの追加も可能な高い可用性と拡張性,そして耐障害性を兼ね備えたデータベースクラスタ製品です。同時にキーバリュー型やnode.js向けなど複数のNoSQL APIを持つため,トランザクション対応のNoSQLとしての機能も提供するハイブリッド型のデータベースです。

このMySQL Clusterの次期バージョンに向けた最初の開発途上版(DMR)であるMySQL Cluster 7.5.0がリリースされました。MySQL Cluster 7.5ではSQL文の処理を行うSQLノードがMySQL 5.7ベースとなり処理性能が大幅に向上したほか,MySQL 5.7の各種新機能もMySQL Clusterで利用可能になる予定です。またMySQLサーバーよりも先に,各種メタデータの管理でのMyISAM依存箇所を排除することができました。

先月のMySQL関連イベントやセミナー,ユーザ会の活動のレポート

MySQLとPostgreSQLと日本語全文検索
日本語全文検索に焦点を絞ったMySQLとPostgreSQLの合同セミナーが,2016年2月9日に東京・恵比寿にて開催されました。MySQL関連では株式会社クリアコードの須藤氏によるMySQL・PostgreSQLでGroonga(Mroonga・PGroonga)を使って日本語全文検索とn-gramとmecabベースの全文検索機能が搭載されたMySQL 5.7について日本オラクル株式会社の山崎氏によるMySQL 5.7 InnoDB 日本語全文検索の2つの講演が行われました。
第2回 MySQL・PostgreSQLユーザーグループ(MyNA・JPUG)合同DB勉強会 in 東京
2016年2月20日には東京・赤坂にて,第2回 MySQL・PostgreSQLユーザーグループ(MyNA・JPUG)合同DB勉強会 in 東京が開催されました。MySQL関連ではyoku0825さんによるMySQLのレプリケーションのアーキテクチャや実践的なTipsなど満載のイルカさんチームからゾウさんチームに教えたいMySQLレプリケーションに始まり,瀬島さんによるMySQL 5.6のデータ圧縮の仕組みやそのチューニングパラメタをソースを見ながら語るInnoDB Table Compressionや,MySQLユーザなら資料は必見のYahoo! JAPANのDB Administration 黒帯の三谷氏によるヤフー社内でやってるMySQLチューニングセミナー大公開など,幅広く濃い内容となっていました。当日の雰囲気はtogetterのまとめでもご覧いただけます。

[PostgreSQL]2016年2月の主な出来事

2016年2月11日にマイナー・バージョンアップが行われ,PostgreSQLの最新バージョンは9.5.1となりました。このマイナー・バージョンアップでは,主に正規表現の構文解析とPL/Javaの権限に関する二つのセキュリティの脆弱性が修正されています。コミュニティはできる限り早急なシステムの更新を勧めていますので,ダウンタイム等を利用して早めに対応すべきでしょう。なお,PostgreSQL9.5.0から9.5.1への移行(システムのマイナー・バージョンアップ)では,論理的なダンプやリストアは不要です。このマイナー・バージョンアップは各メジャー・バージョンに対して実施されており,それぞれ9.4.6,9.3.11,9.2.15,9.1.20がリリースされています。

また,JPUG(日本PostgreSQLユーザ会)から,PostgreSQL9.5.0の日本語訳マニュアルがリリースされました。英語の原文と日本語訳が併記されたマニュアルも公開されています。

先月のPostgreSQL関連イベントやセミナー,ユーザ会の活動のレポート

MySQLとPostgreSQLと日本語全文検索
日本語全文検索に焦点を絞ったMySQLとPostgreSQLの合同セミナーが,2016年2月9日に東京・恵比寿にて開催されました。PostgreSQLに関連する話としては,次の二つの講演が行われています。一つ目の講演は,pg_bigm(PostgreSQLに日本語全文検索機能を提供するモジュール)の開発メンバーである株式会社NTTデータの澤田氏によるPostgreSQLでpg_bigmを使って日本語全文検索 ~pg_bigmで全文検索するときに知っておくべき8のこと~です。ここではpg_bigmの開発に至った経緯から,その仕組みや利用手順に至るまでを詳細に解説されました。

2つ目の講演は,MroongaとPGroonga(オープンソースの全文検索エンジンのMySQL用プロダクトとPostgreSQL用プロダクト)の開発者である株式会社クリアコードの須藤氏によるMySQL・PostgreSQLでGroonga(Mroonga・PGroonga)を使って日本語全文検索です。InnoDBのN-gramやMecab,pg_bigmとの性能差や利用例を解説され,MroongaおよびPGroongaの有用性を紹介されました。

なお,これらの講演資料は,当該セミナーのWebページから閲覧することが可能です。

第2回 MySQL・PostgreSQLユーザーグループ(MyNA・JPUG)合同DB勉強会 in 東京
2016年2月20日には東京・赤坂にて,第2回 MySQL・PostgreSQLユーザーグループ(MyNA・JPUG)合同DB勉強会 in 東京が開催されました。

ここでは,日本HPの篠田氏によるPostgreSQL9.5の新機能の紹介やJPUGの国府田氏によるPostGISを用いたデータ解析の実演同じくJPUGのぬこ氏によるJSONB型の機能紹介や性能比較そしてMyNA(日本MySQLユーザ会)のいとう氏によるPostgreSQL版LinkBenchに対するパラメータチューニングなど,PostgreSQL関連の話だけでも大変ボリュームのある勉強会が行われました。

オープンソースカンファレンス2016 Tokyo/Spring
本誌執筆時点ではまだ未開催ですが,2016年2月26日と27日の二日間で,オープンソースカンファレンス2016 Tokyo/Springが開催される予定です。様々なOSSプロダクトの講演が行われる中,PostgreSQLに関連する講演は,日本HPの篠田氏によるPostgreSQL 9.5 新機能紹介とLinux-HA Japan Projectの竹下氏によるPacemaker + PostgreSQL レプリケーション構成(PG-REX)の運用性向上 ~スロットの覚醒~の2つが予定されています。

著者プロフィール

梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。


岡野慎也(おかのしんや)

株式会社メトロシステムズ

OSSプロダクトを扱う専門チームに所属し,PostgreSQLに関連する業務は10年以上担当。R&DでPostgreSQLの知識を日々深めつつ,国内有数の大手企業のシステムに対してPostgreSQLを導入する案件に複数参加している。
最近はPostgreSQLの書籍の執筆等も手掛けている。


原沢滋(はらさわしげる)

DataStax Inc

Apache Cassandraの商用版DataStax Enterprise(DSE)を販売するDataStaxの日本におけるビジネス・ディベロップメント担当。Oracle,Netezza等のリレーショナル・データベース業務に担当後,今はApache Cassandraの普及活動に力を入れている。

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