OSSデータベース取り取り時報

第10回 MySQL Innovation DayとPostgreSQLエンタープライズコンソーシアムセミナー開催,Apache SparkとSpark SQLの最近の動向ご紹介

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MySQLは最新の開発動向を紹介するイベントMySQL Innovation Dayを開催。PostgreSQLはエンタープライズコンソーシアム(PGECons)が2015年度の活動成果を公開しました。また今回は,OSSコンソーシアム データベース部会より,Apache SparkおよびSpark SQLについてもご紹介します。

[MySQL]2016年5月の主な出来事

MySQLは,4月に現行メジャーバージョンの最新版MySQL 5.7.12のリリースと同時に,MySQLをドキュメントデータベースとして利用するためのMySQL Document Store用のX Dev APIに対応した接続部品群などをリリースしています。またMySQL 5.7.11で実装された透過的データ暗号化についても,商用版のMySQL Enterprise Editionにて暗号化鍵の管理のためにOracle Key VaultなどKMIP 1.2対応の鍵管理ソリューションとの連携が可能になっています。これらのリリースや今後のロードマップの一端を紹介するイベントMySQL Innovation Dayが開催されました。

先月のMySQL関連イベントやセミナー,ユーザ会の活動のレポート

MySQL Innovation Day 東京&大阪

5月10日東京,16日に大阪にて,MySQL Innovation Dayが開催されました。このイベントは4月25日に米国のオラクル本社にて開催されたイベントをスタートとして,日本では東京と大阪,欧州ではパリやローマで開催されています。東京での開催にはMySQL製品の開発ロードマップや仕様を管理するプロダクトマネージメント部門から,セキュリティとMySQL Document Storeの担当責任者であるMike Frankが来日し,新機能群の狙いや次のMySQLサーバのメジャーバージョンの重要機能について多数の言及がありました。

午前はMySQL Document Storeの概要と具体的な実装としての新しい通信プロトコルX ProtocolやJSONドキュメントとテーブルに対してSQLを使わずにアクセスするCRUDスタイルのAPIであるX Dev APIやCRUDメソッドとSQLに両対応したクライアントプログラムMySQL Shellの詳細が紹介されました。イベント終了後には,日本MySQLユーザ会の会長であるとみたまさひろさんのブログにも解説記事が掲載されました。

午後は透過的データ暗号化(TDE: Transparent Data Encryption)やMySQLのセキュリティ機能について解説,その後のQ&Aの時間には非常に多くの質問が行われていました。

さらに次のMySQLサーバのメジャーバージョンについては,バージョン番号がMySQL 5.8ではなくMySQL 8になること,開発が進みながらもMySQL 5.7には含まれなかったInnoDBベースのデータディクショナリを組み込むことなどを紹介していました。同時にMySQLコア機能のプロダクトマネージャのブログMySQL開発チームのブログバグデータベースなどを経由してのご意見ご要望を募集している旨が繰り返し強調されていました。

MySQL 5.7入門セミナーシリーズ SQLチューニング編

5月30日東京にて,2015年夏から開催し毎回大好評をいただいているMySQL入門セミナーシリーズがMySQL 5.7に対応。今回はSQLチューニング編を開催しました。なお原稿執筆時点では開催前のため来月レポートを掲載する予定です。

MyNA(日本MySQLユーザ会)会 2016年5月

5月30日東京にて,上記MySQL 5.7入門セミナーの夜の時間帯に開催される日本MySQLユーザ会のイベント。なお原稿執筆時点では開催前のため来月レポートを掲載する予定です。

[PostgreSQL]2016年5月の主な出来事

PostgreSQLは,5月12日にアップデートが実施され,バージョンはそれぞれ9.5.3,9.4.8,9.3.13,9.2.17,9.1.22となりました。今回のアップデートでは,これまでに累積されたバグの修正が行われています。

また,同じく5月12日に9.6 Beta1がリリースされています。シーケンシャルスキャン,JOIN,Aggregationの並列実行や,同期レプリケーション先へのWAL反映完了を待つremote_applyパラメータの追加,外部テーブルに対するソート,JOIN,DML(UPDATE/DELETE)直接実行といった新機能が実装されており,いち早く体験することが可能です。

先月のPostgreSQL関連イベントやセミナー,ユーザ会の活動のレポート

第14回PostgreSQLエンタープライズコンソーシアムセミナー

5月13日に日立製作所品川事業所で,PostgreSQLエンタープライズコンソーシアム(PGECons)の2015年度活動成果報告会が開催されました。

WG1(性能WG)からは,PostgreSQL 9.5におけるマルチコアCPUでのスケール性の性能検証,Parallel vacuumとBRIN インデックスの性能検証,プラットフォームにRedhat Enterprise Linuxの6と7を用いた場合の性能検証の結果が紹介されました。

WG2(移行WG)からは,DBの選定基準としてRDBMSに求められる技術・品質要件と,PostgreSQLの対応状況に関する調査結果,PostgreSQLに固有機能の調査結果が紹介されました。

WG3(設計運用WG)からは,運用用途に使える周辺ツールの調査結果と,暗号化や監査に関するツールの調査結果がそれぞれ紹介されました。

当日の講演資料と2015年度の活動成果物はいずれもPGEConsのWebサイトからダウンロードすることができます。

著者プロフィール

中西剛紀(なかにしよしのり)

TIS株式会社

TIS(株)においてOSSの技術コンサルティングや保守サポートに従事。過去にさまざまなデータベースと苦楽を共にしたが,現在は日本PostgreSQLユーザ会,PostgreSQLコンソーシアムといったコミュニティでの技術検証や講演を通じて,PostgreSQLの普及活動に力を注いでいる。


倉又裕輔(くらまたゆうすけ)

株式会社 日立ソリューションズ

金融系SEとしてシステム基盤の設計・構築を担当後,現在はOSSのビッグデータ関連技術の調査・検証業務に従事。NoSQL・Hadoop・Sparkなど分散DB・分散処理技術に興味を持ち活動中。


梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。

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