アンケートご協力のお願いgihyo.jpでは,2010年度に向けて豪華プレゼントが当たる読者属性アンケートを実施しております。ご協力ください。

gihyo.jp » DEVELOPER STAGE » 連載 » なぜPHPアプリにセキュリティホールが多いのか? » 第13回 最後のPHP4 ── PHP4.4.9リリース

なぜPHPアプリにセキュリティホールが多いのか?

第13回 最後のPHP4 ── PHP4.4.9リリース

PHP4の最後のリリースとなるPHP 4.4.9が8月7日にリリースされました。筆者は「PHP4のメンテナンス状態はよくないので,可能な方は早くPHP5に移行すべき」と啓蒙してきました。しかし,大規模なシステムの場合,PHP4からPHP5への移行は簡単ではありません。筆者もgihyo.jpに比較的詳細な移行の注意点を解説させていただいています。

現在ではオンラインマニュアルの移行ガイドもかなり充実しています。

ビジネスユーザの場合,サービスを安定的に提供するために互換性のチェックやコードの修正が不可欠です。移行作業をしっかり行うにはかなりのコストが必要です。さらにPHP5はPHP4に比べバージョンアップが頻繁です。バージョンアップが頻繁であることはコストアップに直接つながります。このため,PHP4からPHP5に移行するためだけに予算を組むことは合理的な判断と言えませんでした。この結果,現在でもPHP4で運用しているビジネスユーザが多くいます。

PHP4をより安全に利用するTIPS

データベースクエリ用の文字列エスケープには専用関数を利用する

PHP4用のアプリケーションは古い物も多いので,データベースクエリ文字列のエスケープにaddslashes関数が利用されている物も少なくないと思います。addslashesによるエスケープでは文字エンコーディングベースのSQLインジェクションに脆弱になる場合があるので,pg_escape_string関数,mysql_real_escape_string関数を利用してエスケープしなければなりません。

MySQLを利用する場合,SET NAMESを利用しない

PHP4のMySQLはmysql_set_charset関数がバックポートされていません。このため,文字エンコーディングをSET NAMESで変更すると文字エンコーディングベースのSQLインジェクションが可能となる場合があります。SET NAMESを利用していても,文字エンコーディングが変更されていない場合は影響を受けません。

PostgreSQLを利用する場合,クライアント文字エンコーディングを変更しない

PHP4のPostgreSQLモジュールのpg_escape_string関数はデータベース接続引数が指定できません。利用するPostgreSQLのバージョンによっては文字エンコーディングベースのSQLインジェクションが可能になります。

入力文字のエンコーディングをmb_check_encoding関数で検証する

auto_include_file等を利用し,すべての入力文字列が正しい文字エンコーディングであることをチェックします。auto_include_file設定を利用すれば,PHPソースを変更しなくても文字エンコーディングを検証できるようになります。PHP 4.4.9以下, PHP 5.2.6以下のmb_check_encoding関数はヌル文字攻撃に脆弱なので文字列中に不正なヌル文字が含まれていないかもチェックします。

バンドル版のlibgdを利用しない

バンドル版のlibgdは脆弱性を含む古いコードが含まれています。PHPをソースからビルドしている場合,configureオプションで--with-gd=/usr等と利用するシステム上のlibgdライブラリを利用すれば,より安全にGDモジュールを利用できます。

セッション管理にクッキーのみを利用する

PHP4のsession.use_only_cookiesはデフォルトで無効に設定されています。セッション管理はクッキーのみを用いて行わないとなりません。

セッションモジュールにパッチを当てる

PHPのセッションモジュールはセッションアダプション(Session Adoption)と呼ばれる脆弱性があります。セッション管理にクッキーのみを利用していてもセッションアダプションの影響を受ける場合があります。

筆者のWikiにPHP5用のパッチ(※1)とMasugataさんがポートされたPHP4用のパッチを掲載しています。

※1
Stefan Esser氏がPHP5.1用に書いたパッチに筆者がSQLiteサポートを追加し,PHP5.2.6対応したパッチ

商用サポートを利用する

SRA OSS Incでは商用のPHP4延長サポートサービスを提供しています。

このサービスを利用するとPHP5で発見された新しい脆弱性がPHP4にも影響する場合,パッチ提供が受けられます。現在のところ,上記の脆弱性すべてに対応しています。PHP5ではサポートされているセキュリティ設定であるallow_url_include設定もサポートされています。

ビジネスユーザはPHP5に移行するならPHP6とも互換性が高いPHP 5.3がリリースされるまで待ちたい場合,商用サポートの利用を検討するのもよいでしょう。

著者プロフィール

大垣靖男(おおがきやすお)

University of Denver卒。同校にてコンピュータサイエンスとビジネスを学ぶ。株式会社シーエーシーを経て,エレクトロニック・サービス・イニシアチブ有限会社を設立。
オープンソース製品は比較的古くから利用し,Linuxは0.9xのころから利用している。オープンソースシステム開発への参加はエレクトロニック・サービス・イニシアチブ設立後から。PHPプロジェクトでは,PostgreSQLモジュールのメンテナンスを担当している。

URLhttp://blog.ohgaki.net/

著書

  • Webアプリセキュリティ対策入門〜あなたのサイトは大丈夫?

    Webアプリセキュリティ対策入門〜あなたのサイトは大丈夫?

  • [改訂版]PHPポケットリファレンス

    [改訂版]PHPポケットリファレンス

コメント

コメントの記入

パスサポ

多数の情報処理技術者試験対策書籍の発行実績を誇る技術評論社がお届けする,資格試験合格サイト「めざせ! 情報処理試験 パスサポ」が開設されました。

ピックアップ

サクセスストーリーに続く,快適サーバー運用管理のヒント!

データの増大,煩雑な管理,システムダウン,セキュリティなど,迫りくる課題からシステム管理者の負担を軽くするポイントを解説します。

gihyo.jp インフラエンジニア情報局

ネットワークやITにかかわるあらゆる業種で必要とされるインフラエンジニアに向けた技術情報や心構え,その魅力について多角的に紹介。

テストエンジニア ステーション

いま,ITに関わるあらゆる開発業務で注目されつつあるテスト系エンジニアをターゲットにしたコンテンツサイトを展開します。

一行クイックアンケート

gihyo.jpで取り上げてほしいネタは?

※検索はページ右上の検索ボックスをご利用ください。

その他の連載

読むウェブ ~本とインタラクション

ディスプレイで読む活字とそのインタラクション(interaction:相互作用)について,最新Webを紹介しながら読み解いていく。

いま,見ておきたいウェブサイト

この連載では,国内外の最新のウェブサイトを隔週更新で取り上げ,これら最新サイトの特徴や素晴らしい部分を,さまざまな角度から解説していきます。

Windows phoneアプリケーション開発入門

Windows Marcketplace for Mobileがサービス開始され,作成したアプリケーションを個人でも世界をターゲットに公開できる環境が整ってきました。これを機にWindows phoneアプリケーションの開発をしてみませんか?

ここは知っておくべき!Windows Server 2008技術TIPS

5年ぶりのサーバOSとなったWindows Server 2008が出荷されて早2年。2009年にはR2が出荷され,再び注目を集めています。発売前から実施したトレーニングによって感じた,インフラエンジニアの方々に知っておいていただきたい機能を中心にご紹介します。

キーパーソンが見るWeb業界

本連載はWeb Site Expert/gihyo.jpとの連動企画です。阿部淳也, 長谷川敦士, 森田雄のお三方による,Web業界をテーマにした座談会です。

きたみりゅうじの聞かせて珍プレー

ソフトウェア開発の現場で体験したトホホな失敗,思わずうなる珍プレーをきたみりゅうじ氏が四コママンガで紹介。みなさんからの投稿もお待ちしてます!

ActionScript 3.0で始めるオブジェクト指向スクリプティング

野中文雄氏が,簡単なスクリプトは書いたことがあるという初級者を対象に,ActionScript 3.0の基本からクラス定義までを解説します。

まだ間に合う「ITパスポート」受験対策 原山先生の短期合格塾

この連載では,4月18日のITパスポート試験の受験に向けて,短い期間で効率良く受験対策を行う方法や,確実に得点するための裏ワザなどを伝授していきます。

連載一覧

gihyo.jp

  • DEVELOPER STAGE
  • ADMINISTRATOR STAGE
  • WEB+DESIGN STAGE
  • LIFESTYLE STAGE
  • SCIENCE STAGE
  • NEWS & REPORT

書籍案内

  • 新刊書籍
  • 書籍ジャンル一覧
  • 書籍シリーズ一覧
  • 新刊ピックアップ
  • ロングセラー
  • 電脳会議

定期刊行物一覧

  • Software Design
  • WEB+DB PRESS
  • Web Site Expert
  • 組込みプレス