Processingで学ぶ 実践的プログラミング専門課程

第0回 はじめに プログラミングが「できる」ようになろう

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

この連載の目的

プログラミング言語の入門書を読んだり,学校で学習し終えても,実際にソフトウエアを作れないと感じる人が多いものです。それは,特定のプログラミング言語の「文法」を学習しただけだからです。ソフトウエアを作る手順を,私は次のように分解して考えています。

  1. 何を作りたいのか,必要なのかはっきりさせる
  2. 同じものが既に無いかを調べ,仮に同じものがあっても作る価値があるか考える
  3. 私の使えるプログラミング言語でそれができるか調べてみる
  4. 試作品を作ってみる
  5. 上手くいきそうならきちんと設計する
  6. 仕上げる

手順の3や4で頓挫することがあります。手順の5と6は,行きつ戻りつの作業になります。手順の6の作業中に,使っている言語だけではできないことが分かってがっかりすることもあります。

いずれにせよ,この連載が読者として想定するのは,上記の作業を未経験の人です。

上記の作業を効率良くおこなうためには,様々なことを知っている必要があります。先輩方が開発したプログラミングの手法やコードのパターン,コードの品質向上の手順など,多岐に渡ります。プログラミング言語の文法を知っているだけでは,健全なプログラムは決してできません。プログラミングと言う技術を使えるようになるためには,言語の文法だけではなく,いろんな専門知識が必要なのです(図0.1)⁠

図0.1 ソフトウエア作成能力

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この連載では,プログラミングの専門知識を少しずつ紹介し,実際に使ってメリットを感じてもらいます。頭と手を使って実践的なプログラミングの専門課程をスタートし,入門者から脱出していただければ幸いです。

想定する読者

この連載が想定する読者は次のような方です。

  • プログラミングが「できる」ようになりたい人。年齢は高校生から。
  • プログラミング言語の入門書を一通り読み終えたけれど,次に何を学習して良いのか分からない人。

この連載の構成

この連載は,月に2回,全体で約30回を予定しています。1回分の構成はおおよそ次のようにします。

1. 導入:学習内容の概略の解説

学習する内容の概略を,学習の目的やメリットとともに簡潔に示します。

2. 展開:コードを中心に学習

サンプルコードを読み,変更してみる

全く独学でプログラミングを学習する場合は,既にあるソフトウエアのソースコードをよく読んで,真似をするのが一番良い方法です。そこで,この連載ではサンプルコードを読み込んで理解し,内容を変更する学習を中心とします。 英語の学習に例えれば,ヒアリングとスピーキングの演習を繰り返す学習方法と同じです。英語ならば自分の話す英語が相手に通じるかどうかで学習効果を判断します。プログラミングの相手はコンピュータと自分自身です。読者の書いたコードをコンピュータに与え,きちんと動けば学習効果があったと判断できるのです。

コンピュータサイエンスを学ぶ

プログラミングを上手におこなうために,たくさんの素晴らしい知恵が編み出されてきました。それらの一端を学習します。参考文献を示しますのでぜひ読んでください。プログラミングは常に継続的な学習を必要とする技術です。英語の学習で言えば,ボキャブラリーや文例の充実や,英米の常識についての情報収集にあたるでしょう。この連載をきっかけに学習を深めてください。

3. 演習:力を試す問題

演習問題に取り組みます。学習した知識を使ってコードを書いてみましょう。プログラムは自分で書かなければ書けるようになりません。サンプルコードの真似をして,ちょっと応用して,そしてコンピュータサイエンスの知識を活用しましょう。

4. まとめ

学習した内容を簡潔な文章でまとめます。

5. 学習の確認

その節で学習した内容を振り返ります。学習したことが身に付いたかどうか自分で評価する基準を示します。

6. 参考文献

本文中で使用した文献,あるいはこの段階でおすすめな文献を紹介します。

7. 演習解答

演習問題の解答を掲載します。なるべく自力で解いたあとに参照してください。

使用するプログラミング言語はProcessing

図0.2 Processingのアイコン

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この連載の学習にはProcessingを用います(図0.2)⁠ProcessingはJava言語をもとにして作られました。Java言語は既にメジャー言語となって10年以上の歴史を持ちます。C言語に似た文法でありながら,実行環境に依存しないコードを書くことができます。読者が今後どんな言語を利用するにせよ,このProcessing/Java言語で学ぶ経験は有効に活かせることでしょう。

ProcessingはJava言語の機能をより簡単に使えるよう工夫されており,また開発環境から実行環境までがワンセットになっています(図0.3)⁠初心者が学習する言語として最適です。作成したプログラムは単独で動く実行ファイルに簡単に変換できます。これも大変魅力的です。

図0.3 The Processing Development Environment (PDE)

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Processingのインストール

次のリンク先からProcessingの最新版をダウンロードしてください。

インストールはとても簡単です。

Windows版であれば,ダウンロードしたファイルを展開するだけです。展開したフォルダに入っているProcessingのアイコンをダブルクリックすれば開発環境が立ち上がります。展開したフォルダをMy Documentsなどのお好みの場所へ置いてください。

Mac OS X 版はさらに簡単です。ダウンロードしたファイルをダブルクリックすれば開発環境が立ち上がります。ダウンロードしたファイルはアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップしておきましょう。

謝辞

この連載では次回以降,⁠Getting Started with Processing』⁠Casey Reas, Ben Fry著)に掲載されているサンプルコードをいくつか利用します。それらのサンプルコードをこの連載に転載し,変更して学習することを,著者であるCasey Reas氏より許可いただきました。Thank you Mr.Reas!

それでは始めましょう

内容について,間違いや問題点,改善したほうが良いところをご指摘いただけると大変うれしく思います。

それでは『Processingで学ぶ 実践的プログラミング専門課程』⁠スタートいたします。

著者プロフィール

平田敦(ひらたあつし)

地方都市の公立工業高等学校教諭。趣味はプログラミングと日本の端っこ踏破旅行。やがては結城浩氏のような仕事をしたいと妄想している。

Twitter : @hirata_atsushi

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