こんにちは! 私、暮井 慧。よろしくね。これは、私がいろいろなところに訪問して、いろいろインタビューしていく謎の企画だよ。今回は、gihyo.jpに出張してきたよ! さっそくスタート!
アトラシアン株式会社って?
〜某日〜
慧
ということで、今回は、横浜みなとみらいにあるアトラシアン株式会社のオフィスにやってきたよ。みんなも聞いたり使ったりしたことがあるソフトウェア開発チーム向けの各種ソリューションを提供している豪Atlassianの日本法人だよ。
慧
長沢さん、こんにちは! 以前に「プログラミング生放送勉強会」で登壇してもらったとき、遊びに来ていいって言ってたから、遊びにきました~。マリノスタウンの中にあって、看板が「イタリアンレストラン」だからちょっと迷子になっちゃったよ。
アトラシアン株式会社 長沢智治
慧ちゃん、おひさしぶり。アトラシアン株式会社は、2013年6月に設立して、2014年1月から、元イタリアンレストランだったところを居抜きして、ここにオフィスを構えているんですよ。
社内は、ピザ釜もある大きなキッチンスペースが特徴です。横浜F・マリノスのトップチームの練習場(天然芝!)が、オフィスの庭のように見えてしまうのも嬉しいポイントです。
慧
ピザ釜! キッチンは、今も使ってるんですか?
長沢
はい。キッチンでは、社員が自由に料理できるようになっています。食材も豊富に揃えているので自由に料理して昼食を楽しんでいますよ。ビールなどのお酒も常備しているので、夜は、日々の疲れを癒したりもできます。
長沢
せっかくのユニークなオフィスなので、アトラシアン倶楽部という社員個人が主催するイベントも月に数回開催しています。コンセプトは、アトラシアンのカンパニーバリューである、
- オープンカンパニー
- チームとして動く
- 心を込めてバランスを考えて作る
- 顧客をないがしろにしない
- 自分自身が変化の原動力になる
を体現しつつ、主催者の趣味や関心ごとをテーマに開催しています。参加資格は一切ありません。大雑把にいうと「楽しい飲み会」を開いています(笑)
仕事内容を直撃!
慧
仕事内容も教えてください! アトラシアンは、ソフトウェア開発チームを支えるソリューションを提供してるって聞いたんだけど……?
長沢
はい。ソフトウェア開発チームを支える製品をたくさん提供しています。皆さん、無料でお使いいただける以下のツールを使ったことがあるのではないでしょうか?
- SourceTree: DVCSのクライアントツール。Windows版とOS X版を無料で提供。
- Bitbucket: DVCSのホスティング環境。5ユーザーまでプライベートリポジトリも無料で提供。
- HipChat: Web、各デバイス向けネイティブアプリを揃えたグループチャットサービス。ユーザー数無制限の無料版も提供。
慧
Bitbucketはアトラシアンだったんだ! わたしは、GitHubとBitbucketを公開用と非公開用で使い分けてます! SourceTreeやHipChatもよく耳にするかな?
長沢
アトラシアンが最初に作った製品は、JIRAというプロジェクト管理ツールなんですよ。そのあとに提供したのがConfluenceです。wikiの仕組みを進化させて、あらゆる人を支える情報共有ツールなんです。それから、ソフトウェア開発の進化とともに、製品ラインナップを拡充させながら、これらがソフトウェア開発のライフサイクル全般にわたって有効なバリューチェーンを構築できるように連携機能を強化しています。
今では、ソフトウェア開発チームだけではなく、ヘルプデスク業務チームや、マーケティングや人事、経理といったチームでもアトラシアンのソリューションを活用していただいています。
慧
社員さんたちは普段どんなお仕事をしているのですか?
長沢
アトラシアン株式会社では、主にマーケティング活動とカスタマーサポート活動をしています。より多くの企業さんやエンジニアの皆さん、業務を改善したい皆さんにソリューションを知っていただくための企画と実行を行うのがマーケティング部門の役割です。また、買い方など購入前からのお客様からの疑問にお答えしたり、購入後の製品に関する技術的お問い合わせに対応したりするのがカスタマーサポート部門の役割です。
慧
マーケティングとサポートだけ?
長沢
アトラシアンは、Webでの直販はやっていますが、豪本社も営業部門を持たない会社なので、その二つに注力するユニークなビジネスモデルを日本でも実践しています。
日本法人の立ち上げ期でもあるので、少数精鋭部隊といった感じでしょうか? それぞれがプロフェッショナルに仕事をこなしています。自己組織化されたよいチームになっているかなと思いますよ。
慧
なんだかカッコイイ! エンジニアはいないの?
長沢
日本には、サポートエンジニアがいます。製品の開発を行っているエンジニアは、本社のあるシドニーをはじめとして、世界の各地にいます。各地といっても、製品ソリューションの単位でだいたい一箇所の拠点で開発していますが、リモートワークや各国との協調などは、弊社の開発環境があれば分散開発が容易にできるので、そのメリットを生かしています。
日本のサポートエンジニアも一般的なサポートエンジニアよりも開発チームと密接なので、ユーザーさんからのお問い合わせへの対応でも他地域のサポートエンジニアとの連動とともに、開発チームとも連携して対応しています。弊社のサポートエンジニアは、開発スキルと顧客対応スキルがないといけないんです。
これからの開発はどうなる?
慧
勉強会のときにも話してもらった、ソフトウェア開発方法とか、開発環境のこれからについても教えてください!
長沢
アトラシアン製品の開発でも実践し続けていることですが、これからのソフトウェアは、ビジネスや社会のニーズに機敏に適応できないといけないんですよ。
慧
というと……?
長沢
利用者が「ほしい!」「これがあったら助かる!」と思ったら、できるだけ早くにそのサービスや機能を提供できるってことですね。例えば、経費清算システムで領収書のスキャンと文字認識での自動入力がほしい!という要望が多かったら、それにいち早く対応するってことです。
慧
もし対応できないとどうなるんですか?
長沢
システムが使われなくなってきたり、同業他社のサービスに移行されてしまったりします。今は、SaaSでの提供も増えてきているので、競争が激しいですね。社内システムだってのんびりしていられないです。
慧
それって開発者だけだと難しい?
長沢
そうなんです! ソフトウェア開発っていうと「開発現場、開発者がんばれ!」って思ってしまうんですが、ソフトウェア開発ってもうチーム活動だし、チームの範囲も、開発現場だけでなく、企画から運用までのビジネスチームで取り組まないといけない時代なんですよね。
慧
開発現場の役割は小さくなっていくんですか?
長沢
いえいえ、その逆ですよ。開発者や開発現場が培ってきたノウハウが、ビジネスのリズムにまで拡張されているんです。でも、その分、開発現場は、今まで以上に説明責任を求められるし、ビジネスのリズムに合わせて、よりよいものをタイムリーに提供し続けることが求められてきます。
慧
じゃあ逆に開発者がヒーローみたいになれるってこと?
長沢
そうそう! ヒーローになれるチャンスがあるってことです。でもさっき言ったことができる開発現場にならないといけないし、それは一人のチカラだけではできないんですよね。なので、アジャイルな開発手法やDevOpsのムーブメントが実践されているんです。
慧
ふーむ。なんだか、たいへんそう。でも開発者は、自分の実績が認められやすくなるのかな?
長沢
そうですね。開発現場と開発環境がどんな感じだとやりやすくなるのかをゆるくお話ししましょうか。
次回に続く! 次回「ビジネスのニーズに合わせて開発して提供するには ~企画からデプロイまでのパイプライン~(仮)」