ヒットメーカー★サムザップの流儀

第3回 サムザップの強みとこれからのゲーム開発

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

第3回となる今回は,社長である桑田栄顕氏写真1)⁠エンジニア統括の藤代俊祐氏写真2)⁠人事部チーフの遠藤和弥氏写真3にそれぞれの立場から⁠株⁠サムザップの企業文化について切り込んでいただきました。また当事者の視点から,これからのモバイルゲーム業界についても語っていただいています。

サムザップの強さの秘訣は⁠自分たちで触ること⁠

――ロングヒットとなっている「戦国炎舞 -KIZNA-」など,サムザップではヒットタイトルを手がけられていますが,こだわりや強みがあれば教えてください。

桑田:「運用」にはこだわりと自信を持っています。長く遊んでもらえるサービスを作ることをサムザップの開発理念としていますので,これは外せません。リリースを着地点にせず,運用期間も含めておもしろさを追求しています。

藤代:特に運用の観点では,やはり作り手である我々がゲームタイトルをよく理解していることを重要視しています。サムザップの文化の一つとして「ゲームを遊びまくる」ことが根付いていて,そこはすごく強い。ちゃんと自分たちで意識して触る,楽しむことを大切にしています。ここまで遊び込んでいる会社はあまり見たことがないです。

写真1 代表取締役社長 桑田栄顕氏

写真1 代表取締役社長 桑田栄顕氏

桑田:試行錯誤していく中で,そういった空気が生まれました。よくユーザー目線が大事だという話がありますが,そのために具体的に何をするのかを考えたとき,やはり実機で自分たちの作ったタイトルに触れて,それによってどう感じるのか,どうすればもっと良くなるのか,そういう話をチームでするのがベストだろうというところにたどり着いたんです。

藤代:新規開発のタイトルでも,実際にユーザーに触ってもらってフィードバックを得るのは難しいので,自分たちで触ることをすごく大事にしています。

桑田:仮にそうじゃないチームがあれば,実機に触れるべき,ゲームをするべきとひたすら言い続けます。それほど,仕事の中で自分が関わるタイトルに触れることは大事だと考えていて,なおかつ業界を理解するために他社のゲームもプレイしています。

藤代:サムザップには複数の新規プロジェクトがありますが,良いチームは自分たちのタイトルをたくさん触っています。状況が良くないチームであっても,しっかりそれを認識して自分たちのタイトルを触り出すと改善し始めるというケースもありました。

新規開発時の熱が今も継続している

――戦国炎舞の開発でも,プロジェクトチーム内でプレイしていたのでしょうか。

桑田:戦国炎舞も開発チームは最初から実機でプレイしていました。最初からそれができたことが戦国炎舞のヒットにつながったと考えています。チームのメンバーが自分事化し,サービスを常に触り続けることで「もっとこうしたい」と議論することができた。これは今も変わりません。

藤代:タイミング悪くミーティングを入れると怒られるんですよね(笑)⁠

桑田:そうそう,四六時中実機に触れる環境なので,昨日もチームバトル中にディレクターに話し掛けちゃって,⁠ごめん,あとからでいいよ」って言いました。それほどサービスに触ることを優先しているチームの文化は誇れるところです。

――戦国炎舞をリリースする前,手応えはあったのですか。

遠藤:もちろんありました。そして何よりチームメンバーの巻き込む力がすごく強くて,チームの体温がどんどん上がっていきました。しかもその体温がいまだに落ちていない。先ほどの話にもあったように,常にゲームに触れることを推奨する雰囲気があり,その間は声を掛けるな,ミーティングを入れるなっていうところにまで発展するのですが,それは初期の体温を維持し続けてこられたことが大きいと思っています。

桑田:チーム運営では課題もありましたが,藤代にプロジェクトマネージャーとして入ってもらい改善することができました。

写真2 エンジニア統括 藤代俊祐氏

写真2 エンジニア統括 藤代俊祐氏

藤代:戦国炎舞は僕が入社する前から大規模なチームでしたが,当時はそれぞれの守備範囲もあいまいで,目の前の作業が最終的にどう着地するかも把握されていなかったんです。そこで,仕事の流れを全員で共有できるように「見える化」し,ゴールを明確に設定することで,自分の作業の役割を再度認識してもらいました。全体がわかりやすくなることで,個人の生産性も上がり,結果的に品質向上にもつながっています。

サムザップ流コミュニケーション術

――チーム内のコミュニケーションにおいて,サムザップで大切にしていることはありますか。

桑田:徹底的に目的をすり合わせることですね。何を目指しているのか,何が問題なのかを理解したうえで,建設的に話すことが大事だとよく社内で話しています。たとえばエンジニアとディレクター,デザイナーとの間で壁ができて,コミュニケーションがうまく図れていないときは,目的がお互いにすり合っていないと感じるんです。前提が合っていれば,それに対してどうすべきかを議論できますよね。それをすり合わせようとせず,それぞれの立場で話をすれば,議論は噛み合わないでしょう。

藤代:ありがちなのは,問題から話を始めてしまうことです。単に「課題があるよね」⁠問題だよね」という切り出し方になれば,その部分にしか焦点が当たらなくなってしまう。そして,それに対してそれぞれの立場で意見を出し合えば,平行線になってもしかたありません。メンバーに対して意思を表現するリーダーは,理想と熱意を持ち,⁠ここを目指すにはこれが必要」「あるべき姿」を共有することが大切です。

――新規タイトルの開発も進められているんですよね。運用と新規タイトルの開発は,どういった点が違うのでしょうか。

桑田:これまでにないゲームシステムを採用するなど,新しいものにチャレンジした新作を開発中です。他社と比べても,かなり挑戦的な取り組みをしていると自負しています。ただ,新規開発は変数が多いうえに,開発難易度もここ数年で大きく上がっています。僕たちが参入した2010年ごろはガラケー向けのシンプルなゲームが中心でしたが,ここ2~3年で3Dが珍しくなくなるなど,業界が大きく変わっています。そのうえ,新規タイトルの開発は何が正解かわからないので,信念を持ってプロジェクトを進めるしかありません。そういった部分は,やっぱり大変なところです。

コメント

コメントの記入