書いて覚えるSwift入門

第31回 収穫の秋にWatchすべきなのは?

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人類にはまだ早すぎるApple Watch

もはや恒例となった「Apple秋の収穫祭」⁠今年2017年9月12日のイベントで読者のみなさんが最も注目したのはどの製品でしたか? 全面ガラス張りのSteve Jobs Theater? 全面ディスプレイのiPhone X? まさか4K HDR対応したApple TV?

筆者が最も注目したのは,フォームファクターが一番変化していない製品。そう,Apple Watchです写真1)⁠実質iPhone 7sなiPhone8でさえ,背面がアルミニウムからガラスに変わったというのに,Apple Watchときたらそれすらない。フォームファクターが変わる都度,iPhoneはケースやバンパーといったアクセサリーも変化しますが,Apple Watchのバンドは初代のものがそのままSeries 3でも使えますし,最新のものが初代でも使えます。そうでないと困ります。何しろ今回「廃盤」になったのは初代ではなくSeries 2だったのですから。

写真1 Apple Watch Series 3

写真1 Apple Watch Series 3

図1 マップのアイコンもApple Parkに引っ越し

図1 マップのアイコンもApple Parkに引っ越し

しかし,今回のSeries 3のCellular Modelは,ほかのApple WatchとはiPhoneとiPod Touch以上の違いがあります。Series 3 CellularはiPhoneがなくてもオンラインなのです。これは何を意味するか?

真の全裸コンピューティングが実現するのです! 実際に露天風呂でSiriにたずねてみたら,このように答えてくれるのです図2)⁠

図2 siriに「ここはどこ」と問うと……

図2 siriに「ここはどこ」と問うと……

Wi-FiからCellularへの切り替えはとてもスムーズ。iPhoneを見失うとが表示されますが図3)⁠数秒でセルラー接続に切り替わります図4)⁠

図3 iPhoneとの接続が
切れたときの表示

図3 iPhoneとの接続が切れたときの表示

図4 わずか数秒で
セルラー接続

図4 わずか数秒でセルラー接続

全裸コンピューティングは人類には早すぎにしても,脱スマホコンピューティングなら筆者を含め少なからぬ人が待ちわびていたのではないのでしょうか。ジョギングやワークアウトのとき,あるいは温泉街を浴衣で練り歩くとき……スマホですらかさばり過ぎて大き過ぎると感じるシーンは決して少なくありません。そんなときでもメッセージは出せますし図5,図6……。

図5 iPhoneなしでも

図5 iPhoneなしでも

図6 メッセージ送信

図6 メッセージ送信

電話もできますし図7……。

図7 もちろん電話も!

図7 もちろん電話も!

支払いだって問題ありません図8)⁠

図8 Apple PayもOK!

図8 Apple PayもOK!

まあ,どこでもオンラインってことは……,どこでも仕事が追いかけてくるということ図9でもありはするのですが。

図9 Slackの通知もOK!

図9 Slackの通知もOK!

もちろんApple WatchがiPhoneの代わりを100%つとめるというのには無理があります。何と言っても世界で一番使われているとAppleが豪語するカメラがありませんし,セルラー契約の1つをとっても,初期設定にはiPhoneが必須です。しかし今回の「どこでもオンライン」と同じぐらい感心したのは,複数のデバイスをどう組み合わせるか。たとえばAirPodsは,iPhoneがあるときにはiPhoneの,Apple WatchしかないときにはApple Watchの(イヤ|マイクロ)フォンに全自動で切り替わります図10)⁠

図10 自動的にAirPodsも接続される

図10 自動的にAirPodsも接続される

だとしたら,Apple Watch,いやユーザのコンピューティング環境が全自動で切り替えられる道理がないわけがありません。デバイス自身が今,自分が使われていることを判定し,自動的に切り替わる。音声に関してはAirPodsですでにそれが実現しています。映像だってそうならない道理はありません。すでにApple TVはiPhoneやiPadやMacのディスプレイとしても機能していますが,ワン(クリック|タップ)必要だという点でAirPodsに及びません。それがAirPodsなみにシームレスになるのだとしたら?

次はARディスプレイ+カメラということになるでしょう。Google GlassにせよHololensにせよはたまたPS VRにせよ,VR/MRがマスマーケットに来ていない最大の理由は,Steve Jobsが言っていたところの⁠Connecting the dots⁠に成功していないこと。今回iOS 11にARKitが搭載され,iPhoneのカメラとCPUがARに十分な性能があることを示したAppleが,いまだヘッドアップディスプレイを欠いている状況を放置するとは筆者には考えられません。

そのときの「ハブ」は,いまだiPhoneでしょうか? それともApple Watchでしょうか?

Apple Watch Series 3で後者の可能性が見えてきました。iPhone以上に身近になりうるデバイスは今のところそれだけなのですから。

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

1969年生まれ,東京都出身。元ライブドア取締役の肩書きよりも,最近はPokemon GOのガチトレーナーのほうが有名になりつつある……かもしれない永遠のエンジニアオヤジ。

活躍の場はIT業界だけでなく,サブカルからアカデミックまで多方面にわたり,ネットからの情報発信は気の向くまま毎日毎秒! https://twitter.com/dankogai,ニコニコチャンネルは,http://ch.nicovideo.jp/dankogai,blogはhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/

当社刊行書籍は『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』『小飼弾のコードなエッセイ』など。他にも著書多数。

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