創刊号巻頭座談会「エンジニアのマインドとは」~ボーナストラック

#4 座談会「エンジニアのマインドとは」

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3.5 分

『エンジニアマインド』創刊号の巻頭を飾った座談会。場所を居酒屋に移動して行われた座談会の続編,第4回です。語るは,伊藤直也氏,吉岡弘隆氏,ひがやすを氏,登大遊氏,木下拓哉氏という開発現場の最先端に陣取る5名,司会進行はリナックスアカデミーの濱野賢一朗氏という豪華キャストでお届けしています。

画像

編集部:濱野さんは,PHPのコミュニティに参加されていたと思うのですが,最近のPHPはどうですか?

[画像]濱野濱野:PHPの世界も今フレームワークが盛り上がっていて,Railsっぽい世界に進んでいます。

[画像]ひがひが:ZendがZend Frameworkを作っているじゃないですか。

[画像]濱野濱野:いま過渡期で,Ethnaとかsymfonyとかいろいろなフレームワークが出てきてPHPのフレームワークの戦国時代にみたいになっていて,おもしろくて,でも最後はZendがもっていくのか・みたいなことが話題になったりしています。実際には,Zend Frameworkって単独でポジションを取るようなものではないのですが。

[画像]ひがひが:Zendは見えないところがありますよね。でもJavaOneで聞いたんですが,Zendはシリコンバレーの評価がめちゃくちゃ高いみたいです。びっくりしました。なんでそこまで高いんだろうっていうくらい評価されていて,Zendは超優秀なベンチャーだと現地の人は思っています。Zendに対する評価が高い。日本がどうのこうのではなく,シリコンバレーの人はそう思っているみたいで,びっくりしました。

編集部:木下さんは言語に対する思い入れはありますか?

木下拓哉氏

木下拓哉氏

[画像]木下木下:C++だったりしたので,それに対してとくに思い入れは,フレームワークとか…もともと組み込み機器向けのOSから入ったので,まったくOSなしの環境とか,もともと提供されているサードバーティだったりして,あんまり深いところに入っていけないっていうのがあって。

編集部:言語っていろいろできたほうがいいんですか?プログラマとしては。

[画像]ひがひが:それについてはいろいろな意見があると思いますが,エンジニアとしての私の感覚だと,ある言語は極めたほうがよくて,それ以外はそこそこ知っていれば,大丈夫。全部知ることは,そういう人がいればすてきだけど,まあ無理。見てて一番腹立つというか気持ち悪いのは,中途半端に知っててなんでも適当に話している人。中途半端だなって。

[画像]濱野濱野:中途半端じゃないんだけど,言語に対する適応性が異様に高い人っていますよね。

[画像]ひがひが:適応性が高いのは別にいいと思うんですよ。その言語を評価できるんだから,評価できるのはいいと思うんですが,その評価の基準ていうかそのへんが適当というか。

編集部:教育だとやっぱりJavaなんですか?

[画像]濱野濱野:教育だとJavaですね。PHPとかのLLも人気がありますが。最近は,Cも見直されてきていますが。

[画像]伊藤伊藤:オブジェクト指向の考え方を勉強するのはJavaが一番わかりやすくて,硬い言語だから,結果として,インタフェースとかクラスの考え方がすごい明確になっているから,それを中心にプログラムを考えるとすごいきれいにプログラムが書けるようになる。それからスクリプト言語とか柔らかい言語を勉強したほうが設計力が身につきますよ。Javaのいいところはやっぱり硬い言語っていうところで,そのデザインパターンっていうのは,Javaが硬いがゆえに編み出された手法のような側面があります。硬い設計でいかに作るかという。

編集部:設計力って言葉が出てきましたが,今ってITアーキテクトっていう言葉について,ある方にそういうアーキテクトっていう職種があるって言ったら,ソフトウェアはすべて設計であるって。

伊藤直也氏

伊藤直也氏

[画像]伊藤伊藤:それは違うと思う。ソフトウェア開発でも,プログラマを200人かかえてコードを書かせているようなところでは 設計がすべてなのかもしれないけど,僕らは2,3人で創造性を使いながらソースコードを書いている。ソースコードを書かないと次がわからない。書きながら次を考えている。書かないと次になにをすればいいかわからない。そうやって決めていく。設計ありきの人と,コードを先に書かなきゃいけないって人と対立するんだけど,実はこの2つって医者と弁護士みたいな感じで,そもそも似てるようで違うことをやってるから比べても意味がない。2人とも頭を使っているが,使うところが違うっていうか。大学の先生が設計ありきっていったのは,ソフトウェア工学ありきの人で,多分ハッカーな人じゃないんですよ。

[画像]吉岡吉岡:日本の大学の弱いところは,知らない人が多いんだよね。教育の機能がまっとうされていない。ソフトウェアを作るっていうのがどういうことなのか,次の世代に十分伝えきれているかというと,伝えきれていないんですよ。だから,それがジレンマで,拡大再生産しないかぎり,ソフトウェアの開発力は日本では伸びないじゃないですか。ある意味,10人で作るより,100人で作る,1万人で作る,ってその中で,ある種の確率ですごいものが出てくるっていうのは,定数なわけなんですよ。量が増えないかぎり,登さんみたいなハッカーは出てこない。

[画像]ひがひが:よりコミッタを増やそうとしている。その理由は,参加してくれる人がいいっていう理由と,確率的にコミッタが増えて,参加したいって人が増えると,優れた人が入ってくる確率が高いという仮説を我々は持っていると,それを実践しようとしている。

[画像]吉岡吉岡:そうですよ。いいですよね。そういう努力しないと,シュリンクしちゃいますよね。本来ならば,若い人たちを育てるのは教育機関なわけですよ,本来ならね。濱野さんに期待することは大なんだけれども。とはいうものの,大学を出て,社会人になって,給料をもらってという,そっちのほうが大学の4年間より長いわけだから,自分が戦えるようなしくみをコミュニティにビルトインしないといけない。

[画像]ひがひが:コミュニティが成功してないと。

[画像]吉岡吉岡:従来は,それは会社というしくみだった。それがコミッティといっていいかどうかわからないが,そういうファジーなものがあって。会社に入ると30年くらいは同じところにいると。最初の5年,次の5年はこういうことしたというエンジニアなりのキャリアパスがあって,その時期に学ばなければいけないところは,会社の中で学んできて,自分の枠を大きくしていくというのが丸抱えの古典的なモデルだった。だけどいまは,ビジネスモデル的にも社会制度的にも成り立たないから,それを会社でできないとしたら,社会にまかせて,そういうようなものとしてのコミッティの役割がまさにあって,大学の教育機関かもしれないし,専門学校かもしれないし。OSSで言うところの狭い意味でのコミッティ,または会社であってもいいし,そういう意味でエンジニアを成長させていくような環境を作らなければいけない。それができれば,日本にはエンジニアがいっぱいいるから有機的に結合して,その人たちを教育して,ジュニアを作る。会社は関係ないし,かつOSSの分野も関係ないし,エンジニアとしての成長のパスとしての社会全体がワークするようなことができると美しいなあと。

[画像]ひがひが:勉強会とか世間にはあるわけで,そういうのを通じて,いろいろなコミュニケーションができるのは自分でもうれしい。実際に自分でもやっていて。

[画像]吉岡吉岡:そういうのが10年前はなかった。会社の壁がすごい厚かった。他社の人と会って話す機会というのは団体とか会合とか,会社対会社だとあったかもしれないが,不特定多数の人と会う機会はほとんどなかった。唯一,学会とかそういう古典的なものしかなかった。たとえば,大学のクラスの連中というのはあったかもしれないが,普遍的な意味ではなかった。ところが,インターネットとか,はてなとかmixiのおかげで,われわれは1つのテーブルで出会えるんですよ。本当に。

コメント

コメントの記入