ソフトウェアテスト基本テクニック

第9回 ユーザビリティテスト

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[3]ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える
(User control and freedom)
《ユーザがシステム上で操作を間違えるのはよくあることです。間違った場合にユーザが前の状態に戻れるようなしくみを提供しましょう。システム上のあらゆる操作に対して,取り消し(undo⁠⁠,やりなおし(redo)ができるようにしましょう》
最も単純な例は,ボタンを押し間違えた際,前の画面に遷移できるようにすること,または最初から操作をやりなおせるようなしくみを設けることです図4⁠。しかし,実際のWebアプリケーションの場合はトランザクションやセッションの管理など,画面遷移にはとても気を使っていると思います。すぐに変更できない,重要度の高い操作(ショッピングサイトで購入ボタンを押す時など)をユーザが行う場合は,ボタンを押す前にユーザにそのことを通知するなどを検討しましょう。それ以外の画面遷移については,前の画面に戻れるように配慮することが大切です。

図4 ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える

図4 ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える

[4]一貫性を保持し,標準に従う
(Consistency and standards)
《システム上で文言が同じであるのに,画面ごとにその文言の意味やアクションが異なるようなことは避けましょう。また,OSや規格などはその分野の標準に従いましょう》
ここでは,一貫性を持つことと,分野の標準に沿うことの重要性を説いています。前者はあるシステムやサイト内での話です。システム全体でレイアウトが揃っていなかったり,図5のように業務が違えば画面遷移やレイアウトもバラバラ,となると,ユーザは業務ごとの操作方法を覚えなければなりません。システム内で操作方法を統一し,ある業務で覚えた操作方法を別の業務で参考にできるようにしましょう図6⁠。

図5 一貫性のない例

図5 一貫性のない例

図6 一貫性を保持する

図6 一貫性を保持する

後者はシステム外,サイト外のことを指しており,システムやサイトの性質などがその分野や業界の標準に沿っているか,ということです。世の中で広く使われている言葉や機能をシステム上で用いる場合,それらと同様の言葉,機能を実装しないと,ユーザの混乱を招く恐れがあります。

[5]エラーの発生を事前に防止する
(Error prevention)
《丁寧なエラーメッセージやマニュアルを作成するよりも,ユーザがミスを起こさないような設計をしましょう。画面遷移する前の入力項目検証機能や事前説明を用意し,ユーザのミスを防ぐようにしましょう》
通常であれば,誰でもエラーはできるだけ起こしたくありません。エラーが発生しそうな個所は,未然に防げるように何かしらの手を打つべきです。入力フォーム画面の入力項目に文字制限が示されていない場合,ユーザが入力フォームを送信して初めて,自分の入力にミスがあったことに気づきます。これを防ぐために,入力フォームで受け付ける文字の種別や文字数について明記しておく必要があります図7⁠。

図7 エラーの発生を事前に防止

図7 エラーの発生を事前に防止

[6]記憶しなくても,見ればわかるようなデザインを行う
(Recognition rather than recall)
《操作対象となる情報やアクションを適切なときにユーザに見えるようにし,操作の途中でユーザに記憶させたり,ユーザの記憶に依存しないようにしましょう》
複数の画面にまたがって操作する場合,ある画面で表示されている情報を別の画面で参照したいことがあります。その時にその情報が画面になければ,前の画面に遡って確認しなければならず,非常に非効率です。図8の①から②のように変更し,何を入力してどんな結果が返ってきたのか,ユーザがわかるようにしましょう。

図8 見ればわかるようなデザインを行う

図8 見ればわかるようなデザインを行う

著者プロフィール

菱木孝紀(ひしき たかのり)

株式会社NTTデータ技術開発本部勤務。

通信キャリアにてインターネットアプリケーションサービスの企画,開発に携わった後,現職へ。現在は,ソフトウェア開発におけるユーザビリティ向上に関するプロセスの開発,改善に従事している。


松永充弘(まつなが みつひろ)

株式会社NTTデータ技術開発本部勤務。

2004年,株式会社NTTデータに入社。情報システムのユニバーサルデザインに関する研究開発に2年間携わった後,社内向けにユーザインタフェースの診断/コンサルティングサービスを展開している。現在は,システム開発へのユーザエクスペリエンスの導入を検討中である。