テスト技術者の転職

第1回 [ホップ]スキルの棚卸編

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

はじめに

皆さん,こんにちは。世のナカ,人材流動性が高くなってきているとはいえ,転職経験者は技術者全体の割合からすれば,まだまだ少ないのが実態です。

ある企業の広告で「転職を決断したのは慎重な人だった」という感じで転職を促されていますが,実際に決断するためには,すごくエネルギーがいるものです。成功するかどうかがよく分からない分野での転職だとなおさらでしょう。

そこで転職を決意した人は,一生懸命情報収集するわけですが,テスト技術者が転職するための情報となると,まだまだ不十分なのが現実です。

そこで本連載では,テスト技術者として(またはテスト技術者へ)転職する方に多少なりとも参考となる情報を提供できればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

本記事のねらい

一般的な転職のお話ではなく,テスト技術者の転職に特化する形で,転職への心構えやノウハウを,転職前の準備から応募時までの流れでお伝えしていきます。

このため,一般的な転職の心構えや腕の良いエージェントの探し方などのお話しはしません(そういった情報はネットや転職情報誌からたくさん入手できますから)。

対象読者

テスト技術者としての転職希望者テスト技術者への転職希望者つまり,転職先もテストに関わる職種を希望している方々。

ETSS(Embedded Technology Skill Standard)でいうテストエンジニアへの転職を考えている方を想定しています。

尚,キャリアチェンジ(例:テスト技術者からPMやアーキテクト)の話題は,フォーカスがぼけてしまうため,ここではしません。

全体構成

全3回で,テスト技術者の転職についてお話しをする予定です。

  • 第1回(本記事)[ホップ] スキルの棚卸編
  • 第2回 [ステップ] 転職 準備編
  • 第3回 [ジャンプ] 転職 行動編

ここからが本編

自己紹介がてら,なぜ今回本記事の執筆をお受けすることにしたかというお話しから始めます。

今回のテーマで話しができる人物の条件を,編集者の視点で考えてみましょう。

  • 転職を経験したことがある
  • テスト技術者としての経験がある
  • 採用する側としての経験がある

最低,上記3つはクリアしなければならないでしょう。

幸い(なのかどうなのか)私は全てクリアしているため,今回のお話を技術評論社からいただいたのだと思っています。テスト技術者として転職した経験と,テスト技術者を採用した経験の両方を基にお話を進めていきます。

尚,本記事で用いるテスト関係の技術用語は特に但し書きをしない限りはISTQBの用語を前提とします。ISTQBって何? とか 用語集が欲しい(無料でダウンロードできます)という方は,JSTQBのサイトにアクセスしてください。

採用側がテスト技術者に求めるスキルとは?

あたりまえですが,募集している企業が欲しい人材像とマッチしているかどうかが鍵となります。

転職する人自身がどんな仕事をしたいのかが大切であることに異論はありません。ですが,転職を成功させるためには,これから応募しようとする企業が求めている人材像と自分のスキルが合っていないことには,お話しにならないことは断言できます。

書類選考が通らない理由のほとんどが,実はココなんです。

募集している企業の採用担当は,履歴書や職務経歴書に書かれている情報のみから,面接するかどうかを決めますから,相手が欲している人材像を理解した上で応募書類をまとめることは(これは転職一般に言えることです),とても重要です。

テスト技術者の場合だと,メンバレベルとリーダレベルでは求められるものが異なりますから,それぞれ分けてお話をしましょう。

メンバレベルなら

テスト設計からテスト実装・実施までバリバリこなす技術者が求められます。ですから採用担当者が知りたいのは,即戦力になるかどうかです。このため応募書類には最低でも以下の情報を書くべきです。

テストの知識をどれくらい持っているのか
基礎知識があることを示すなら,基本情報処理といった資格よりは,JSTQB Foundation Levelの資格認定を取っている方がわかりやすいでしょう。
テストレベルでの経験を積んでいるか
各テストレベルでどんなツールを使いこなせるのか。
エンジニアとしてのベーススキル(プロフェッショナルスキル/テクニカルスキル)がどれくらいあるのか
募集している企業が対象としている産業領域でのスキルを持っているのか
大きく分ければエンタープライズ系組込み系かになります。

上記の箇条書きの順番は,実は私が応募書類を見る時に着目する順番なんです。

テスト技術者ですから,テストの知識があることは当然求められます。テストの経験がまったく無いならば門前払いです。とはいえ,コンポーネント,統合,システム,いずれかの経験があれば良いわけなので,アピールすべきは,自分自身が経験したテストレベルでどんなことができるのかということになります。

「エンジニア」としてのベーススキルも大切です。

プロフェッショナルスキル(プレゼンテーション力や交渉力)はそれほどには要求されません。しかし,テクニカルスキルがあるかどうかは結構しっかり見られます。

たとえば,プログラミング言語なら,最低1つの言語は押さえておいて欲しいことろです。ホワイトボックステストを行うには,プログラミング言語を知らなくてはならないので,あたりまえのことでしょう。

ブラックボックステストでも,テスト自動化ツールを使うときにはテストスクリプトを書きますから,ある程度のプログラミングスキルが要求されます。ちなみに,組込みの分野なら,ほとんどの企業でC言語によるプログラミングスキルが要求されます。

最後の産業領域のスキルについては,もちろんあったに越したことはありませんが,他の項目に比べれば,私なら重視しません。これは基本さえ身に付けていれば,産業領域に関することは入社後のOJTなどで対応できると考えているからです。

著者プロフィール

大西建児(おおにし けんじ)

株式会社豆蔵 シニアコンサルタント。

典型的な日本企業と外資系の企業で,テスト技術者として合計10年ほど勤め上げた(?)後,テクニカルPMもどきを経験し,気がつけばテストやソフトウェア品質に関するコンサルタントになっていたという経歴を持つ。

メッセージ:「我こそはと思うテストリーダは是非当社にご応募ください。(^.^)」

著書

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