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2018年5月第3週Android Pのベータが公開

Android Pのベータが公開

5月8日、GoogleはGoogle I/O 2018で次期OSであるAndroid Pのベータ版を公開しました。これまで公開されていたのは開発者向けのプレビュー版で公開範囲が広げられています。

これまでAndroidのベータ版は、Googleの自社ブランド端末でしか試せませんでした。しかし、今回公開されたAndroid Pのベータ版からは、他社製の「Essential Phone」⁠Nokia 7 plus」⁠Oppo R15 Pro」⁠SONY Xperia ZX2」⁠Vivo X21 UD」⁠Vivo X21」⁠Xiaomi Mi Mix 2S」にインストール可能になっています。

自社ブランドの端末以外でもベータOSがインストール可能になった理由は、OSの基本部分とベンダーカスタマイズ部分を分離して、OSのアップデートを容易にする「Project Treble」の成果です。

Project Trebleが発表された当初から、新たに発売される端末に適用されるだろうと説明されており、先で上げた端末も最近発売されたものばかりです。Essential Phoneが例外で、昨年8月ごろ出荷を開始しているので発売後にProject Trebleに対応させたのかもしれません。

サポート端末の中にSamsungやLGなどの韓国勢が入っていないのは意外ですが、カスタマイズ範囲が大きそうなGalaxy S9シリーズは、Project Trebleには対応していないのかもしれません。

Android Pの特徴

Android Pベータからは、ホームボタンの見た目と使い方が大きく変わり、タスクボタンが廃止されてホームボタンに統合されました。

ホームボタンは、これまでの○から横長のバーに変更されて、タスクボタンと同じ操作をするときは、ホームボタンを右にスライドします。この状態でホールドすると起動中のアプリが1つずつスライドして表示されます。

また、ホームボタンを少し上にスワイプすると、タスク切替画面が表示されて、大きく上にスワイプすると、インストールしているアプリを一覧表示する画面が表示されます。Android Pからは、この操作方法に切り替わるのではなく、Pixel 2 XLでは、設定で従来のホームボタンに戻せます。

今回のバージョンでもバッテリの駆動時間が改善は行われています。これは「Adaptive Battery」と呼ばれており、Googleが2014年に買収したDeepMindと共同開発したものです。これは、ユーザの使用パターンを学習して、動作の推測と最適化を行います。

たとえば、ディスプレイの明るさであれば、ユーザが端末を使っている環境や行動などを考慮することで、ユーザの利用状況に即した自動調整を行い、バッテリの起動時間を延ばします。もう1つ、ユーザが次に起動するアプリなどを予測して、よく使うアプリに対して優先的にリソース(電力)を割り当てて、利用頻度の低いアプリはリソースの割当てを減らすなどしてバッテリーの駆動時間を改善します。

スマホの使い過ぎに対する配慮もされています。

新しく追加される「Dashborad」では、端末をどのくらいの時間使っていて、このうち、どのアプリにどの程度の時間を割いているのか確認できます。この上で、指定したアプリでは、特定間隔で休憩を促すダイアログを表示する設定ができます。

新たなステージに上がった予感

Android Pは、コンピュータとしての機能追加だったり、これまで手間をかけてやっていることが省力化して便利になるような機能追加にとどまらないのが、これまでとは違います。

たとえば、スマホの使い過ぎに対する機能追加は、今後、ユーザがスマホと適切な関係を構築するために必要なものです。いずれは状況を把握して自動で休憩を催促することになりそうです。

バッテリ駆動時間の最適化は、繰り返し取り組みが行われますが、長ければ、長いほど良いわけで、いまの技術を使って、いまのユーザの行動を分析した結果を予測データとして活用して、積極的に駆動時間を延ばそうとするのも面白い取り組みです。

Googleは、Android Pの特徴を「Packed with smarts and simpler than ever」と表現しています。いままで以上のスマートさとシンプルさといった具合ですが、スマホに振り回されない人間が中心となる生活をするために、どんな技術背景とデータ蓄積と分析が必要かと言った視点で開発されているようにも感じるので、Androidが新たなステージに来たことを感じられます。

この延長線上でスマホが進化するのであれば、5年、そして10年先は、PCがこれまで歩んできた進化よりもユニークなものになる可能性があり期待ができます。今回の発表会では、スマホにまだ余地があることを感じさせるもので、Pixel 2 XLがいますぐにでも欲しくなりました。

今週は、このあたりで、また来週。

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