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2018年8月第4週Android 9.0 Pieがリリース

Android 9.0 Pieがリリース

お盆休み前の8月7日、GoogleはAndroid 9.0 Pieをリリースしました。

リリースと同時に、Google Pixelシリーズにアップデートの配信が開始されて、少し遅れてEssentialのEssential Phoneにもアップデートの配信が開始されました。

余談からですが、このEssential Phoneは日本の技適が通っているので、国内で唯一Android 9.0 Pieが使える端末です。これが公式オンラインショップであれば399USドルで購入(360度カメラとHDイヤホンが付属)できます。Android 9.0 Pieを使ってみたい方やアプリ開発に必要だという方は、この機会に入手してみるのはいかがでしょうか。

機械学習の結果がUIに反映される

Android 9.0 Pieのポイントは、機械学習の結果を活用した機能です。

たとえば、App Actionsはユーザの所在や行動などの情報を利用して、次に起動すべきアプリを提示してくれます。従来の起動履歴を表示するものであれば、願っても使いたいアプリが表示されないことがありましたが、少し様相が変わります。また、日々の操作をみて、次に起動すべきアプリを先回りして提案もします。

今までは、本当の意味で個人に最適化された仕組みは存在していませんが、この仕組みがうまく動作すれば、UIのあり方や考え方に変化をもたらす可能性があります。これをGoogleらしい、面倒見の良い仕組みと見るのは間違いです。

これまでのUIは、設計側が実装している機能に濃淡を付けて、よく使う機能を「こう使ってほしい」と言った主張めいたものを持たせて、まとめあげたものです。ここにユーザの意図が入るのは、改良版がリリースされてからです。

今後は、新たなリリースを待たずにユーザの意図を入れることもできます。

よって、こう使って欲しいという切り口では、機械学習の結果を活かせない可能性もあり、UIの設計段階でわざと隙を残してユーザの意図が入り込める設計が必要です。

機械学習の成果は、通知方法やこれの表示方法にも応用できるかもしれません。これが実現されれば、Googleが長年改良を続けているAndroidの通知に対する新たな解決の糸口となる可能性もあります。

より快適に使うために機械学習を活用

機械学習の結果はUIの使い勝手だけではなく、2つの機能にも影響を及ぼしています。

1つは、Adaptive Batteryと呼ばれるバッテリーの駆動時間を改善する機能です。これは、ユーザの利用方法をデータとして蓄積して、使っていないアプリがバッテリーに対して影響を与えないように制御します。もうひとつは、Adaptive Brightnessと呼ばれるディスプレイの輝度を自動調整する機能です。これだけではなく、将来的には端末やイヤホンの音量などにも機械学習の結果が反映できそうです。

アプリ自体にも影響する可能性がある

出はじめなので、意図した通りに機能せず子供だましに感じることもあるかもしれません。しかし、Android 9.0 Pieの機械学習の結果を活用して、スマートでストレスなく動作させようとする考え方は、これまでのソフトウエアのパーソナライズのあり方を大きく変える可能性があります。

たとえば、オプション設定として動作や機能に幅を持たせて、ユーザの好みに動く仕組みを多くのソフトウエアが持っています。これ自体は悪くありませんが、ユーザは、余計な時間をかけることなく目的を達成したいと考えるのは常で、こうした機能を喜んで受け入れているわけではありません。

こうした本筋ではないところを、機械学習の成果でカバーできるのであれば、ユーザにとってのメリットは大きくなります。これが当たり前になれば、アプリのあり方も変わる可能性があって、アプリが作りだす成果とその仕事内容に着目した造りが重要視される可能性があります。

機械学習をAndroid 9.0 Pieに取り入れたことで、停滞気味に感じていたスマートフォンのOSに新たな風が入りそうな予感を感じます。

今週は、このあたりで、また来週。

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