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2019年10月第5週Googleのスマートフォンと適切な距離感を保つ試験的な取り組み

Googleのスマートフォンと適切な距離感を保つ試験的な取り組み

「デジタル ウェルビーイング」と言う言葉を聞いたことがある読者もいらっしゃるかと思います。

これは、実生活でテクノロジーに翻弄されることなく、健全に関わる考えたを示します。人間中心でテクノロジーは、生活の質を高めるために活用する考え方です。

この考えはGoogleが2018年のGoogle I/Oで述べて、Android 9で「アプリの使用回数のカウント」⁠使用時間の制限」⁠あらかじめ設定した時間帯は通知しない」など、実生活とテクノロジーのバランスを見直すキッカケ作りとなる機能を実装しています。

さらに実験的な試みをするGoogle

10月23日、Googleはデジタル ウェルビーイングに対する、さらなる実験的な試みとしていくつかのアプリを公開しました。

デジタル ウェルビーイングが新しい考え方なので、Android 9で実装された機能のように、基礎データを収集して可視化するだけでも新たな気づきは得られますが、この結果を見てどう行動するかはユーザーに委ねられています。

公開した5つのアプリは、現状よりももう一歩踏み込んでおり、収集したデータを目立つように提示して意識付けをするものや、役立つ考えるユースケースを適用したアプリ、スマートフォンとの関わりを少なくするアプリが存在しています。それでは順に見ていきます。

Unlock Clock

これは、スマートフォンのロック解除回数をライブ壁紙で表示します。

ロック解除の回数は、設定アプリの「デジタル ウェルビーイング」で確認できますが、ライブ壁紙にすることで、どれだけ使っているかが目に付きやすくなり。自分が使っている回数を意識し易くなります。

Post Box

このアプリは、通知をいったん保持して指定した時間にまとめて通知します。

通知のタイミングは、1日4回までで任意の時間に設定できます。

他、通知をタイル上に表示して、通知回数の多いアプリほどタイルを大きく表示することで、どれだけ通知を受けているか視覚的に把握できます。

Post Boxを使えば、通知を取りまとめられるだけではなく、その回数も把握できるので、通知回数の多いアプリは使い方を見直すきっかけ作りができそうです。今回公開されたアプリの中では、もっとも興味深いアプリです。

We Flip

友達や家族などグループで使うアプリで、できるだけスマホを使わないことを競争します。

グループ全員でアプリを起動して、この中で誰が最初にスマホのロックを解除するかを競い、ロックを解除すると競争終了となり継続時間が表示されます。

Desert IslandとMorph

ともに、自分に必要なアプリを見極めるキッカケ作りになるアプリです。

Desert Islandは、自分に必要なアプリをピックアップして、このアプリだけで1日過ごします。Morphは、1日の時間にあったアプリだけを使えるようにします。たとえば、オフィスにいる時間であればメールとカレンダ、通勤中であればニュースとブラウザといった感じで使うアプリを限定します。

Paper Phone

このアプリは、その日の天気や必要な連絡先、地図、タスク、スケジュール、予定などを小冊子にできるように印刷してくれます。

そもそもスマートフォンと関わる時間を、極力減らそうとする逆転の発想のアプリです。

バランス感覚が重要

デジタル ウェルビーイングに、決まった考え方はありませんが、ユースケースを適用したアプリは、やりすぎるとユーザーは罪悪感を持つ可能性があります。たとえば、夏場のエアコンを使わない我慢大会のような感じです。スマートフォンを使わないことで、不便になるのでは本末転倒なので、今後はバランスの取り方も課題となりそうです。

また、コンピュータの接点が今のような方法ではなく、より自然な方法になれば余計なことをして、時間を浪費することはなくなるのかもしれません。たとえば、音声インターフェースやジェスチャインターフェースは、デジタル ウェルビーイングを進めるうえで重要な要素になる可能性はあります。

今週は、このあたりで、また来週。

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