世界初!?本当のAndroid PC「Remix mini」レビュー(後編)

前編では、Remix miniについて触れました。後編では、Remix OSの特徴と日本語環境についてご紹介します。

Windowsライクなユーザインターフェース

Remix OSのベースはAndroid 5.1で、Jideがこれをカスタマイズしてマルチウィンドウ化しています。これだけではなく画面下にはタスクバーが付き、Windowsメニューに似たメニューや画面右側には通知領域が表示されます。Windows 10のユーザインターフェースを意識したつくりで、経験者であれば戸惑うことなく使い始められます。

一見するとWindows 10と見間違う
一見するとWindows 10と見間違う

互換性の高いマルチウィンドウ

マルチウィンドウ化にともないアプリ上部に、Windowsでいうタイトルバーが付きます。ここには、左からバックボタン、最小化ボタン、最大化ボタン、閉じるボタンが配置されています。

タイトルバーには、ウィンドウを操作するボタンがある
タイトルバーには、ウィンドウを操作するボタンがある

最小化、最大化、閉じるボタンは、Windowsのそれと同じ動きをします。

閉じるボタンでアプリを終了できますが、終了に⁠android.os.Process.killProcess⁠を使っているのか、アプリのつくりによっては、ドキュメントの保存処理が動かず、編集途中の内容を失うことがあります。これは、ベースとなるAndroidにない仕組みなので、いたしかたない部分です。

バックボタンはAndroidのそれと同じ動きをします。Androidには欠かせないボタンで、どこかに配置する必要があります。これをタイトルバーに配置することで、マルチウィンドウ環境でも操作対象が明確になって、使いやすさにもつながっています。つくり手のセンスの良さがわかる部分です。

ウィンドウの右端か下側にカーソルを移動すると、カーソルの形状が変化してドラッグでウィンドウをリサイズできます。Androidのアプリは、マルチウィンドウを前提に開発されていないので、うまく動かないアプリがでそうなものですが、もともとさまざまな画面サイズに対応することを前提に開発されているためか、筆者が確認した限りでは、レイアウトが崩れたり、うまく動かないアプリはありませんでした。中には、フルスクリーンを前提に開発されているアプリもありますが、これは設定を変更すれば、マルチウィンドウで使えるようになります。

マルチウィンドウはRemix OSのメリットです。このメリットと同じ分だけデメリットがあると想像していましたが高い互換性を保っています。

タスクバーや通知領域も存在する

画面下には、Windowsのタスクバーの似たタスクバーが鎮座します。ここには起動中アプリのアイコンが表示されて、クリックするとアプリを切り替えることができます。また、ウィンドウ状態のアプリはアイコンに長い下線が表示されて、最小化されているアプリは短い下線が表示されます。多少の違いはありますが見た目と同様に動きも似ています。

タスクバーの右端にはWindowsでいうスタートメニューに相当するメニューがあります。Jideのロゴをクリックすると、ホーム画面に相当するメニューが表示されてインストールしているアプリが表示されます。キーボードのWindowsキーを押しても表示されるので、細かなところまで気を配って実装されていることを感じられます。

スタートメニューは、ホーム画面に相当する
スタートメニューは、ホーム画面に相当する

タスクバーの右端にはWindowsでいうシステムトレイがあり、スピーカやBluetooth、Wi-Fiなどのアイコンが並びます。通知領域を表示するアイコンもここに配置されています。通知領域のデザインはWindows 10のそれと似ていますが、Androidの通知領域と同じ機能が提供されています。

通知領域。これもWindows 10風
通知領域。これもWindows 10風

Androidゆずりの日本語環境

Android 5.1をベースにしているおかげで、日本語環境は問題ありません。

設定アプリを起動して「言語と入力」「日本語」を選択することで日本語化されます。一部は、Androidのリソースがそのまま残っているのか日本語化されています。ただし、Jideが拡張している部分は日本語化されておらず、英語のメッセージが表示されます。

設定アプリ。一部日本語化されている
設定アプリ。一部日本語化されている

ロケールは日本語が設定できるので、日本語リソースを持つアプリであれば、日本語が表示されて違和感なく使えます。

日本語化はロケールを日本語に変更するだけ
日本語化はロケールを日本語に変更するだけ

Android 5.xではモトヤフォントが使われており、Remix OSもこれを継承しているので美しい日本語表示です。昔は、中華フォントを我慢して使う必要がありましたが、こういった我慢も必要はありません。

日本語入力は「Google日本語入力」を使用

Remix OSには、公式のPlayストアアプリが搭載されているので、アプリに困ることはありません。日本語入力アプリもPlayストアから入手したものがそのまま使えます。

公式のPlayストアアプリを搭載している
公式のPlayストアアプリを搭載している

私はATOK派ですが、Remix miniではGoogle日本語入力を使っています。理由は外付けキーボードを接続して使うことを想定した実装がいくつかあるからです。たとえば、入力モードを切り替えると、カーソル位置にポップアップで英語入力か日本語入力のモードを表示します。また、推測変換候補や変換候補もカーソル位置に表示します。いずれもPCの日本語入力アプリでは当たり前のようにできていますが、AndroidでできるのはGoogle日本語入力だけのはずです。

PCとして使えるOS

ユーザインターフェースはよそから借りたきたものを多く見かけますが、センス良くかつ慎重に実装されている部分が多く、想像していた以上によくできたOSというのがRemix OSの印象です。

AndroidベースのカスタマイズOSは、一芸には秀でているがこれ以上でないものが多く存在します。その点、Remix OSは、マルチウィンドウの特徴を持ちながら、実用的で良くまとまっており生産性の高い道具としても使えます。今後の展開が楽しみです。

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