快適なネット生活をおくる秘訣、それは「つぶやかない」こと。
緊急忍耐力対談:ココロ社×加野瀬未友

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コミュニケーションツールが日々便利になっていくその裏で,ネットは今日も人々を炎上へと導いている。つい暴走しがちな夏,危険を避けて快適なネット生活をおくりたいとお考えの方へ向け,ネット上でのコミュニケーション術について詳しいお二人に,緊急対談をお願いした。

ココロ社(こころしゃ)
Twitter:@kokorosha
ブログ:ココロ社 ほのぼの四次元ブログ

1971年・大阪生まれ。東京大学文学部を卒業後,「人生是忍耐」という真理に気づき,あえてノーマルなサラリーマン稼業を選択し,持ち前の忍耐力を発揮して,珍妙なブログの運営および,ギリギリ系自己啓発書の執筆などを行っている。主な著書に『クビにならない日本語』(翔泳社),『超☆ライフハック聖典』(技術評論社),『マイナス思考法講座』(阪急コミュニケーションズ)など。

加野瀬未友(かのせみとも)
サイト:ARTIFACT

美少女ゲーム雑誌の編集長を経て,現在フリーの編集者,ライター。オタク文化やネット世界に詳しく,よくネットウォッチャーと呼ばれる。ユリイカ2011年2月号の特集「ソーシャルネットワークの現在」に寄稿。ネット歴は,1988年にパソコン通信を始めたのがスタート。1997年に個人サイトを開始,2002年,Movable Typeが流行し始めたころにブログを導入し,ブログを始める。

手書きHTMLの緊張感

加野瀬未友(以下,加野瀬) ココロ社さんは,ネットでは最初にどんなサービスを使われたのですか?

ココロ社: 97年くらいにあの頃「ホームページは誰でも作れる」というふれこみでジオシティーズがあったじゃないですか,今の感覚からすると「誰でも」といいつつホームページ用にちょっとしたタグを書くのもすごくめんどくさいんですけど,そこで週1回,日記でアホなことを書いたりしたのがはじまりですね。

加野瀬: 今から見ると,週に1回の更新ってのんびりですよね。でも,当時はそれぐらいが普通でした。その頃はネットを通してどんな人とやりとりしてました?

ココロ社: 当時って,知らない人とはつながりにくかったですよね。まず友達にホームページを作ったよ,って教えると,その友達が友達に,電話でそれを教え…。

加野瀬: え,電話で,ですか?(笑)

ココロ社: 電話ですね。人を呼び込むツールがネット以外だったので,その友達の友達までは,自分の友達になったりはしました。だから90年代は,全然知らない人とは友達になったことはほとんどなかったです。それ以外だと,自分と似たような趣味のサイトに行って掲示板に「サイトはじめました」と書き込んで…。

加野瀬: 宣伝書き込みですね(笑)

ココロ社: いきなり「サイトはじめました」だけ言われても,書かれた方からすれば「知るかよ」といったように感じが悪いので,「素敵なサイトですね。ちなみに私もサイトをはじめたのでよければ…」みたいに,自分のサイトをお知らせしていました。加野瀬さんはどうでした? この時期はこうしたやり方がノーマルだったように思うのですけど。

加野瀬: 僕の場合は97年に知人のサーバースペースを間借りしてサイトを始めました。もちろん手書きのHTMLです。ウェブ日記的にマンガやアニメ,ゲームの話を書いて,週に2,3回は更新していました。今からするとそれ自体は全然珍しくないんですが,当時はそういったメディア関連の感想を書いている人があまりいなかった時期で,意外と読んでくれる人が多くなりました。そこで「怖いこと」が起きるのですが…。

ココロ社: 「怖いこと」といいますと?

加野瀬: その日記で触れた作品の作者本人や関係者から,サイトの掲示板やメールで「日記読みました。書いてくれてありがとう」というメッセージが届くことがあって,それがすごいびっくりしたというか,そのときはじめて,ウェブに何かを書くのなら当事者が読む前提で書かないと危ない,不用意なことはいえないな,ということを学習しましたね。

ココロ社: 当時はまだネットでの他人との接し方がしっかり考えられていない黎明期だったから,試行錯誤でそのあたりの距離を探っていましたよね。そうして我々が手探りしている頃,今だったらTwitterで炎上するような「飲酒運転しちゃいました」的不良アピールをしている人はいなかったんですかね?

加野瀬: そういうわかりやすい例は記憶にないですね。

ココロ社: たぶんネットに書くときの緊張感が,昔はあったんでしょうね。HTMLをシコシコ書かなきゃいけない時点で,襟を正さなければいけないというような。

加野瀬: インターネット上にアウトプットする行為が,すごい特別な行為でしたからね。

ココロ社: 創作なんですよね。

加野瀬: その頃よくあった,文章をメインとしたテキストサイトなんかは,単に日常を書いているようで,実は日常を面白おかしくエッセイ的に書こうとする人たちでしたから,仮に飲酒運転をしたとしても,それをそのまま芸もなく書いたりはしないでしょうね。あの頃のサイト運営者の揉め事というのは,サイト運営者同士の議論というかケンカが多く,更新頻度が低いから,揉め事が1週間ぐらい続くのは普通でした。今だと保って2日ですよね。

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