エンジニアの実践的キャリアアップ思考法-目標は後からついてくる

第1章 「やりたいこと」を決める前に

2008年10月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 1 分

はじめに

近年,ワークライフバランスの考え方が徐々に浸透してきて,仕事とプライベートのバランスをうまくとりながら人生を充実させようと考えるようになってきています。価値観の多様化が進む中,このように人それぞれにあった生活バランスを問いかけている非常にすばらしい考え方だと思います。

このバランスを考えるとき,多くの人は仕事とプライベートを時間的に区切ることをまず思い描くかもしれません。しかし充実した生活をするために最も大事なことは,仕事もプライベートもどちらも充実している状態をつくるということであって,時間で区切ることが目的ではありません。

厚生労働省のホームページに掲載されている文章を見てみると,

ワーク・ライフ・バランスとは,働く人が,子育てや介護,自己啓発,地域活動などといった仕事以外の生活と仕事とを自分が望むバランスで実現できるようにすることを意味します。

という一文があります。この『自分が望むバランス』という部分が意味することが『仕事もプライベートもどちらも充実している状態』といえます。このバランスを追求していくと仕事とプライベートの間に明確な境界線ができる人もいるでしょうし,どちらも混じり合っている状態がある人もいるかもしれません。自分自身が最も充実できる状態がちょうど良いバランスということになります。

「目標を決める」というハードルの高さ

『将来どういう状態になっていたいですか?』と聞かれた場合,皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?住みたい場所や家,乗りたい車などを思い浮かべるかもしれませんし,またはいつも笑顔で溢れている家族とのふれあいを思い描くかもしれません。このように思い描く将来像は人それぞれ持っていると思いますが,それでは仕事に関してこの問いを投げかけるとどうでしょうか。

『仕事に関してあなたのやりたいことは何ですか?⁠⁠。これは仕事の目標は何かということになるとのですが,皆さんは明確な目標を持っているでしょうか?『○○です』とすぐに答えられる人もいるでしょうし,将来なんとなくこんな生活だといいなとは感じるが『仕事で自分のやりたいことってなんだろう?』と感じる人もいると思います。

多くの関連書籍では,目標を持つことの重要性に触れていて,目標を達成するために必要となる知識やスキル,資格などに関してそれぞれ自分なりの計画を立てて,達成に向けて実行する,といった流れが示されているのですが,これはある程度明確な目標が定まっている『○○です』タイプには非常に有効な方法論です。このタイプは,しっかりと計画を立てることができれば,それに向かって集中できますので,ある程度高いモチベーションをもって充実した仕事の取り組みができることでしょう。

「やりたいことがおぼろげな人」の仕事への向き合い方

それでは,やりたいことがおぼろげな状態の『仕事で自分のやりたいことってなんだろう?』と感じる方は,どのように仕事と向き合っていけば充実した生活が送れるのでしょう。無理に目標を決めて上記の方法論を当てはめた方がよいでしょうか。形の上ではそれもよい方法かもしれませんが,恐らく取り組んでいく中でモチベーションを維持することは簡単ではないでしょうし,何より充実感を感じながら仕事をすることが難しいと思います。これまでの経験を通じて,私は無理に目標を決める必要はないのではないかと思っています。

次章から『仕事で自分のやりたいことってなんだろう?』と感じる方がどのように仕事と向き合っていけばよいのか,掘り下げていきたいと思います。

著者プロフィール

室井啓臣(むろいひろおみ)

福岡県田川郡出身。情報工学系大学院修了後,総合電機メーカーにて動画配信システムの技術支援や,携帯電話の機能設計に携わる。現在は株式会社パソナテックに所属し,これまでエンジニア約1,000人に対してキャリアカウンセリングを行う。キャリアアドバイザー。

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