「開発スタイル」開発法 ―仕事に合わせて,自分に合わせて―

第2章 ベンチャー開発編

2008年6月16日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

clippにみるウノウの自社サービス開発

ウノウでは現在clippと名付けたサービスを試験的に公開しています。clippはソーシャルブックマーク+ミニブログといった体のもので,気になったページを切り貼りして”,自分のコメントなどを添えて保存し他者と共有する,「ソーシャルスクラップブック」といった趣のサービスです。

ウノウのサービス開発のスタイルはもちろん一様ではありませんが,ここではその一例としてclippを採り上げてみたいと思います。

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ウノウでは,フォト蔵映画生活のような自社サービスの開発と,外部の受託案件の開発が常時混在しています。外部の案件の場合,その規模に応じてメンバー構成も異なり,適切な開発プロセスを選択して,それに則った段取りで進められます。一方自社サービスの場合,通常はメンバー構成は最小で,プロトタイプとなるものを作成して,そのレビューを経て改善を繰り返していく,いわゆる繰り返し型のプロセスを採ります。

少人数体制での迅速な意思決定

このように最小限のメンバーで進めることの最大のメリットは,意思決定を迅速に行えることです。外部案件の場合,顧客である依頼元の要求が絶対であり,判断を迫られる場面での基準の拠りどころが明快ですが,自社サービスの場合,顧客は一般のエンドユーザであり,リリースしてみるまでは本当に求められるものはわかりません。そして実際に求められるものは多種多様であり,すべてを遍く取り入れるのは困難であるため,どうしても取捨選択を行っていかなければなりません。

このような場合に多くの人が関わっていると,全員の意見をとりまとめるだけで相当の時間がかかってしまいます。メンバーを最小限にし,かつ最終決定権をひとりに集約して意思決定のプロセスを単純化することで,スピードを重視した開発が行えます。

しかし,このように他者に拠りどころを求められない以上は,事前にその拠りどころとするポリシーを明確にしておくことが重要になります。

ウノウのサービスに共通する,もっとも重要なポリシーは,担当者自身がエンドユーザとして使いたいと思えるものであることです。ウノウのCTO尾藤の言葉を借りれば最終的に大事なのは,そのサービスに対する愛です。ということです。

また,ディテールを詰めていく過程でブレやすい点というものが往々にしてあり,これを予想し,あらかじめ明確にしておくことも重要です。clippの例では,その「ソーシャルブックマーク+ミニブログ」というコンセプトが,それではソーシャルブックマークなのか,それともミニブログなのか,どちらなのだという判断を迫られるケースが発生し得ることが予想されました。この両者はもちろん別物ですから,この判断がブレてしまうとどっちつかずの中途半端なものになりかねません。実際の開発をスタートさせる前にこうしたポイントを洗い出し,基準を明確にしておくと,以後の判断に迷いがなくなります。

著者プロフィール

五十川匡(いそがわただす)

ウノウ株式会社 エンジニア。UNIXシステムの販売などを経て映像コンテンツメーカに入社。World Wide Web黎明期の1995年に同社のWebサイトをスタートさせて以降,映像配信を主としたウェブサービスの構築と運営に長く携わる。2007年7月ウノウ入社。

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