ゼロからはじめるPSP ─Personal Software Process

第2章 PSP のインフラ構築 ~ PSP を始める前に

2008年8月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

成果を測定する

何を成果として何を測定するか

成果の測定は,主にソースコードのLOCをカウントすることで行っています。測定方法としては(何を成果とするかも含め)いろいろ考えられるのですが,FPなどを導入して運用が複雑になってしまうのは,あまり望ましい状況ではありませんので,ここでは割り切っています。

LOC 測定

LOC測定ですが,PSPのためには「自分がいつどの程度のコードを書いたか」が把握できないといけません。ですので,単純にソースコードの行数を数えるだけではなく,複数人が携わったものから自分の作業分だけを抜き出したり,特定の期間でどれだけの実装を行ったかなどを把握したりする必要があります。そこでアスケイドでは,構成管理ツール(CVSやSubversion,Mercurialなど)を利用して,これらの問題に対処しています。

構成管理ツールの履歴からは,誰がどのような修正を行ったか(cvs annotateなどでわかります)や,リビジョン間の差分(cvs diffなど)をとれば特定の期間の作業量がわかります。ですので,これらの結果を適当なスクリプトで加工すれば,個々人の成果を把握することができます。

※)アスケイドでは,プロジェクトの見える化の一環としても成果物の測定をしていますので,Google Chartを使ったプロジェクトの可視化も参考にしてみてください。

集計する

どのように集計するか

集計は「作業記録」「成果測定」を結びつけて,1週間といった時間単位やあるモジュール単位などで行えるとよいのですが,いまのところは,それぞれを独立して集計しています。成果測定の集計については前節を参照してもらうとして,ここでは作業記録の集計方法を紹介します。

作業記録の集計

作業記録の集計は,いまのところ大まかな時間の使い方の傾向を把握する程度のものになっています。成果と作業の結び付けができれば,もっと有用な情報になるのですが,これだけでも意外と自分の作業を客観的に把握できます。

具体的には,プロジェクトの軸と作業カテゴリの軸それぞれで,週単位の集計を行っていますが,ソフトウェア開発ならばプロジェクト単位・工程単位の作業が主になると思い,このようにしています。なお集計結果は Google Chart API を使ってグラフ化しています(図2,図3⁠⁠。

図2 プロジェクト別グラフ

図2 プロジェクト別グラフ

図3 カテゴリ別グラフ

図3 カテゴリ別グラフ

なお前述のように作業記録はiCalendar形式で管理していますが,この形式ではタスクを個別に扱うため,そのままでは少し扱いにくいものになっています。実際に扱うときは,もっと単純な形式に変換してから利用するとよいと思います。ちなみに,ここでの集計にはPythonでTSV形式(タブ区切り)に変換したものを使っています。

評価する

最後は,これまでの結果に基づいた評価およびプロセス改善ですが,これについては,いまのところツールなどは利用していません。理由としては,PSPへの取り組みがまだまだ不足していることもありますが,評価・改善のプロセスは個人によるところが大きいためでもあります。これについては,次章以降を参考にしてみてください。

またオープンソースのPSP支援ツールとして,"Software Process Dashboard" といったものもあるようですので,試してみてはどうでしょうか?

著者プロフィール

有賀淳(あるが じゅん)

株式会社アスケイド所属のエンジニア。組み込みブラウザの開発から始まり,各種のWebベースサービス,最近ではFlexなどRIAの開発も行っている「なんでも屋」。一応,米国 PMI 認定 PMP

URL:http://www.ascade.co.jp/

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