エンジニアと経営のクロスオーバー

第3回 チームづくりにおけるエンジニア出身社長の強みとは

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前回ビジネスモデルについて触れましたが,ビジネスモデルと両輪を成す要素がチームです。

ビジネスモデルが先か,チームが先か

奇しくも昨日,就職活動中の学生から「人材は業績達成の何割を占めているか」という趣旨の質問を受けました。反射的に「50%」と答えましたが,後から考えてみてもやはり,企業経営において内部要因は50%がビジネスモデル,50%がチームなのではないかと思います。あくまで内部要因で,経営全体としてはそこに外部要因が入ってくるため,全体的な比率はその2/3くらいではないかと思いますが。

また,以前にとある企業の社長と,⁠ビジネスモデルが先か,チームが先か」という議論をしたこともあります。私はビジネスモデルが先と思いますが,その人は逆でした。

「チームを先に作って後からビジネスモデルを考える」というのがちょっと違和感があるのですが,いずれにしてもこうした議論になるくらい,この2つは重要な両輪と言えるかと思います。

「エンジニアが非エンジニアのチームを理解すること」よりも「非エンジニアがエンジニアのチームを理解すること」のほうが難しい

さて「エンジニア出身だとビジネスモデルを考えるのは苦手な傾向がある」と以前に書きましたが,チームに関してはエンジニア出身のメリットが出てきます。それはもちろん,エンジニアチームに関してです。良いエンジニアを見分けることも相対的には得意ですし,チーム編成や,仕事の進め方への理解なども,エンジニア出身の社長のほうが長けていると言えるでしょう。

もちろんその一方で,エンジニアではないチーム,営業やマーケティングなどについては相対的には苦手感があるかもしれませんが,私が思うに「エンジニアが非エンジニアのチームを理解すること」よりも「非エンジニアがエンジニアのチームを理解すること」のほうが,はるかに難しいのではないでしょうか。

ちょっとエンジニア贔屓に聞こえるかもしれませんが,エンジニア出身の営業はその経験を活かして活躍することも多いですが,一方で営業出身のエンジニアというのは活躍というかそもそもほとんどいません。これはなぜかというと,いろいろ理由はあるかと思いますが,営業やマーケティングというのは基本的に人を相手にしている職業なので,エンジニアといえども日常生活においてそうしたやりとりに触れているのに対して,エンジニアの職域すなわちプログラミングであったりネットワークやサーバの運用などは,非エンジニアには日常的に触れる機会というのはありません。なので,非エンジニアがエンジニアになろうとすると,まずそのほとんどすべてをゼロから取り組まないといけないということです。

これは,エンジニアが営業に転身するときに言葉を一から覚えるようなものなので,相当ハードルが高いと言えるでしょう。

ちなみに,私はもともと技術系で採用されたのですが,なぜか営業配属になって,それなりに成果をあげてはいたのですが,やはりエンジニア志望が捨てきれずに,2年ほどで転職して晴れてエンジニアになりました。

後から思うと,その2年の営業経験というのは大変大きなものでした。なので,エンジニアによく「一度営業を1年くらいやってみればいい」と言います。でも実際それで「じゃあ営業をやってみます」とはならないですが。

それはさておき,エンジニア出身の社長だと,相対的にエンジニアチームに関してメリットはありますが,あくまで⁠相対的⁠ではあります。過信しすぎるとダメですし,また「自分より優秀なエンジニアのことはわからない」ということを常に意識する必要はあります。

「会社全体のメリットにおけるエンジニアの考え方や意見」を伝えられるのがエンジニア出身社長の強み

一方で,営業やマーケティングのチームに対しては相対的に不利な面もあるのは否めませんが,社長というのは常に全体最適化を考えるポジションなので,営業やマーケティングのチームに対して「会社全体のメリットにおけるエンジニアの考え方や意見」を与えることができます。どういうことかというと,エンジニアというのは,いちエンジニアである場面においては「自分にとって都合の良い意見」を言うことが多いものです。

ギクッとした人は気をつけましょう。優秀なエンジニアというか活躍するエンジニアというのは,⁠相手の立場」とか「事業にとって」とか「会社にとって」という視点を持ちつつ,意見を言うことができることが多いものです。

そして社長というのは,意識しなくても自然に「会社全体にとって何が一番良いか」を考えることができるのものです。エンジニア出身の社長というのは,ニュートラルな立場からエンジニアの視点や捉え方を伝えることができるのがメリットだといえるでしょう。

「社長」という立場を得るだけで,全体最適化を考える能力が上がる

もし,社長なのに部分最適化しかできない,たとえば営業に対してエンジニアにとってのみ都合の良い意見を言うようであれば,それは以前も書いたように「エンジニア出身の社長」ではなく,⁠社長という肩書をもつエンジニア」にすぎません。

余談ですが,社長というのは,そうした部分最適化をしてしまうケースもなくはないですが,一般的には自然に全体最適化を考えることができます。これはその立場に立つだけでできるので,能力ではなくて立場だけで得られるプレミアというかアップサイドです。社長というだけで能力20%増しくらいになることもあるでしょう。逆の言い方をすれば,それくらい全体最適化というのは重要ということでもあります。

今回は,ビジネスモデルと両輪を成す重要な内部要因,チームについて触れてみました。次回以降も,チームについて掘り下げてみる予定です。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータセンターである「データホテル」を構築,運営。2003年にベイエリアにおいてVoIPベンチャーであるRedSIP Inc.を創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 株式会社ゼロスタート)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZETA CX」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

blog:http://blog.zaki.jp/
社長コラム:https://zero-start.jp/category/column

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