エンジニアと経営のクロスオーバー

第5回 リーダーとマネージャーの違いとは

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「背中が見える」のがリーダー,「顔が見える」のがマネージャー

リーダーとマネージャーの違いとはなんでしょうか?

リードする人とマネジメントする人ですが,かんたんにいうと,先頭に立つのがリーダー,向かい合うのがマネージャーです。つまりスタッフからすると,リーダーは背中,マネージャーは顔が見えるということになります。役割の違いなので上とか下とかではないですが,一般的に役職でいえばマネージャーのほうが上ということになります。

いくつか例を挙げると,たとえば高校野球でいえば主将がリーダー,監督がマネージャーです。余談ですが,キャプテンという言葉は両方の意味で使われるので紛らわしいですね。野球やサッカーでキャプテンというとリーダーを意味しますが,船でキャプテンというと艦長すなわちマネージャーです。

スタートレックを見たことがある人は,副長が「ナンバーワン」と呼ばれていたのをご存知かと思いますが,つまりこれはキャプテンという唯一絶対のマネージャーがいて,船員のトップをナンバーワンと呼んでいたということです。

また,⁠天子南面す」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。これは,天子は一番北に座して南を向き,それ以外のすべての人は天子のいる方向すなわち北を向くわけです。

リーダーは,先頭に立ってはいるが,実務者の1人

役割の違いと書きましたが,リーダーの役割とはそのまま,リードすることすなわちスタッフを率いることです。これに対してマネージャーの役割は,マネジメントすなわち管理することです。リーダーには推進力が求められますし,マネージャーには舵取りが求められます。

ただ,中間管理職という言葉があるように,中間のマネージャーはリーダーとしての役割も求められることがあります。⁠天子南面す」の例でいえば,天子は南しか向かないですが,その下の官吏は北も向くし南も向くわけです。

リーダーとマネージャーの対比にはいろいろな面や手法がありますが,ものすごくシンプルにいうと「リーダーは,先頭に立ってはいるが,実務者の1人」ということかもしれません。

なぜ,社長はリーダーではないのにリーダーシップが重視されるのか

さて,社長というのはいわゆるトップマネジメントです。取締役会や株主総会という,いわば北を向く場面もありますが,ほとんどは南を向いています。ちなみに欧米だと,取締役会においてはCEO(ほぼ社長と同義)が一番下っ端で,会社経営についての報告をほかの役員に対しておこない評価を受ける,つまり北を向くスタンスであることが多いのですが,日本はそのあたりを改革しようとしているさなかだといえます。

話を戻すと,トップマネジメントである以上は,リーダーではないわけです。でも実際のところは,社長のリーダーシップが重視されることが多いような気がします。それにはさまざまな理由があると思います。

たとえば,規模の小さい会社においては,社長がリーダーであることはめずらしくないでしょう。人数的に管理に専念するほどではない,それよりは実務者の1人として働くほうがプラスになるというケースです。

また,社長というのはだいたいにおいて,その会社のビジネスモデルを一番よく理解しているものですから,率先垂範しやすい,すなわちリーダーとしてお手本を示しやすいという面もあります。

それ以外にも,創業社長でない場合,社長というのは実務に優れている面もあるのでその立場に選ばれた,という理由もあるでしょう。またそういう場合,社長になる前は中間管理職として北を向くシーンも多かったでしょうから,すぐに「今からは南だけを向け」と言われてもそうはならない,という面もあるでしょう。創業社長であっても,チームを率いて起業し,その中でリーダーとして社長に選ばれたようなケースは同じですね。

社長は24時間365日自己責任

さて,私が思うに,社長がリーダーとして働くと,最初の勢いというか推進力は得やすいのではないかと思います。つまり,当初はリーダーとして働くほうが好ましい場合が多いということです。

ただ,ある段階を超えると,社長がリーダーとしてというかいつまでも実務者の一人でいると,そこから先に行かないというマイナス面が出てきます。社員が10人,30人,100人というように,だいたい規模が3倍になるごとに会社のステージが変わるという法則をよく耳にしますが,会社の成長に合わせて社長の役割も変わっていく必要があります。

社長というのは,社内では唯一,ほかの人に決裁を受けることがありません。つまり,自分の判断が良いのか悪いのか,24時間365日自己責任ということです。

スタートレックの副長がなぜナンバーワンと呼ばれるかというと,⁠他人から決裁を受ける中では一番えらい」ので,ナンバーワンということです。言い方を変えれば,社長というのは「上司の判断を仰ぐ」ということができません。まあ,だいたいにして,社長というのは孤独なものということです。

そのため,社長同士の交流,つまり立場を同じくするため共感する点が多い人同士の交流を求めたり,また社員の中に溶け込んでみようとしたりする人もいるのではないでしょうか。ただそれらは,トップマネジメントとしては必要ない,ある意味甘えでもあります。

もちろん,自分のメンタルヘルスを維持してモチベーションを保つのは重要なことですから,そのプラスになるのであればいちがいにダメということでもないとは思いますが,本質的ではないということです。面倒だから逃げるということもできないし,いつでもどこでも最終責任を必ず持たねばなりません。

創業したてのころは,リーダーとして働くほうが良い時期であることが多いため,創業してよかったと思える人が多いでしょうが,なかなか5年10年と続かない理由の1つには,そうした面もあるのかもしれません。

さて,今回はリーダーシップとマネジメントについて触れましたが,エンジニア出身という切り口までたどり着きませんでした。次回はこれをふまえて,エンジニア出身の場合のメリット・デメリットについて触れてみます。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータセンターである「データホテル」を構築,運営。2003年にベイエリアにおいてVoIPベンチャーであるRedSIP Inc.を創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 ZETA株式会社)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZETA CX」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

blog:http://blog.zaki.jp/
社長コラム:https://zetacx.com/column

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