エンジニアをレベルアップさせる「ファシリテーション入門」

第8回 たくさんでてきた意見を整理する(整理フェーズ)

2008年12月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

話が活発になるのは大変結構なのですが,今度は話が出すぎて混乱状態に陥ったという経験はないでしょうか? いわゆる収集がつかなくなった状態です。今回はこういうケースで有効な方法を考えましょう。

話し合いの整理整頓

混乱した状態を分かりやすくしていく。これは話し合いでも,ちらかった机の上でも同じやり方が適用できます。それは「整理整頓」です。

整理整頓というのは,整理と整頓に分けられ,それぞれの意味はだいたい次のことを指すようです(知ってました?)⁠

  • 整理 … 不要なものと必要なものに分けること
  • 整頓 … 機能的に配置する,つまり秩序立てて置くこと

まず「整理」次に「整頓」するのが,片付けるポイントだそうです。

パーキングロットで整理する

机の上を片付ける(整理する)ときは,不要なものと必要なものとを分けて,不要なものを捨てていきます。これで随分スッキリしますね。

話し合いも同様です。しかし人の発言を「これは不要ですね」と言ってゴミ箱に捨てるわけにもいきません。そんなことをしたら大変な騒ぎになるでしょう。

そこで登場するのが「パーキングロット」です。

ホワイトボードの片隅に「パーキングロット」というコーナーをつくっておきます(ホワイトボードにマーカーで四角い線を引いてエリアつくっておくだけです)⁠そして最初に参加者に,⁠ここには,今日でてきた話題で,じっくり話す必要があるものを書きますね,ここの話題は後で話し合うことにしましょう」と説明しておくのです。

こうしておいて,話し合いの最中に,現在のテーマからはずれたもの,今は不要なものがあれば,この「パーキングロット」の方へ書いていくのです。

「パーキングロット」というのは,駐車場という意味です。テーマから少し外れた話題はこちらに一旦停めてもらいます。こうすることで話し合いの混乱状態が緩和されるのです。

発言する人は,案外思いつきで発言をします。しかし,それは悪いことばかりでなく,思いつきの発言がよいアイデアだったりします。参加者に心置きなく思いつきの発言をしてもらうためにも,この「パーキングロット」というのは非常に効果的なアイデアです。

私も話し合いが進んでいくにしたがって最初は不要とおもって「パーキングロット」に書いていた内容が,重要なアイデアになっていったという経験があります。⁠パーキングロット」は単なるゴミ箱ではありません。話題の一時停車場,話し合いが煮詰まったとき思わぬヒントがそこにあるかもしれません。

どういうものをパーキングロットに書くか?

何をパーキングロットに書くか? これは重要です。今話すべき大切なことをパーキングロットに書いてしまったり,今話さない方がよいことをパーキングロットに書かなかったり,そういうケースも目にします。ファシリテーターの舵取りによって話し合いの質は左右されますので責任は重大です。

重要なのは,ファシリテーターが話の内容にのめりこまないことです。話し合いにのめりこむと,話し合いの流れを見失ってしまいます。

話し合いの流れとは,最初の目的から現在の話題までをつなぐ流れのことです。話題がどれほど脱線しようと,本線に引き戻すためには,この流れを見失ってはいけません。

「あれぇ,ええと,何でこんな話になったんでしたっけ?」といっていてはいけません。

「今,こういう話題になっていますが,そもそもこういう話をしていて,ある質問をきっかけにこういう風に話が変わってきました。どうです一旦ここで話を元にもどすか?それともこの話を続けましょうか?」という発言ができるようにならなければなりません。

そのためにも,話し合いの中身にのめりこみ過ぎないことが大切です。このことを心がけていれば,何をパーキングロットに書くか,書かないかの判断が次第にできるようになってきます(これは経験が必要なところですね)⁠

著者プロフィール

野口和裕(のぐちかずひろ)

13年間の会社員時代,SEとして企業や官庁で各種システムの設計に従事。製造業,建設業,人事システムの構築を数多くこなす。その後,独立しフリーランサーのSEになる。現在有限会社NTX)を設立し,SEの傍らヒューマンスキルの研修を行う。

著書は『SEのための「どこでもやれる力」のつけ方』(技術評論社刊)。3度の飯はお好み焼きでOKという広島人。

ブログhttp://blog.livedoor.jp/facilitator/

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