合意を形成する。言葉にすると簡単ですが,実際やってみるとなかなかうまくいかないのが合意形成。
皆が自分自身の意見を持ち,それを変えたくないとしたら,そもそも合意形成なんてうまくいく方が難しいかもしれません。
意見がぶつかる現場といえば,小さなところでは子どもの喧嘩,大きなところでは中東和平交渉などがあります。どちらもなかなか合意を形成できませんね。あなたも顧客と何らかの折衝で合意形成に苦労した経験があるのではないでしょうか?
とはいえ,話し合いの最終局面ではどうしても合意を形成する必要がでてきます。今回ファシリテーションでは,どういう方法で合意を形成するかを説明しましょう。
合意形成の種類
合意形成といっても,いつくも方法があります。よく知られているのは多数決,調停,また独断というのもあります。
ファシリテーターは時と場合に応じて最適な方法で合意形成を図っていく必要があります。
合意形成を種類でわけると,大きく次の3つに分けられます。
- WIN-LOSE
- LOSE-WIN
- WIN-WIN
- 1.WIN-LOSEとは,自分が勝ち,相手が負けるという方法です。
例えば多数決は,WIN-LOSEといえます。多数派が勝ち,少数派が負けることになるからです。多数決は必ずしも悪いとはいえません,短時間で合意形成できるので,時間がない場合の手段としては有効な面もあります。とはいえ,負けた方は納得しきれない面もあるので,最終的にはベストな方法とはいえません。
上司が独断で何かの決定をするのも,WIN-LOSEといえますね。あなたも上司が独断で決めた決定では,やる気がでないでしょう?
- 2.LOSE-WINとは,自分が負け,相手が勝ちという方法です。
- 3.WIN-WINとは,あなたも勝ち,私も勝ちという概念です。
譲歩などがこれにあたります。強引な顧客に根負けしあきらめてしまう。これも負けた側の納得感は少なく,合意したとしても,気持ちは後ろ向きです。
WIN-LOSEもLOSE-WINもどちらも「競争」という概念にもとづいています。勝つためには,相手は負ける必要があるというパラダイムです。競争では勝った側は得のようですが,長期的には必ずしもそうとはいいきれません。
あなたも,私も,どちらも満足させる案(アイデア)があるという考えにもとづいた方法です。研修でこれを説明すると,「そんな理想論はビジネスではありえない!」というご意見をよく頂きます。しかし最終的には,ビジネスであれ何であれ,WIN-WIN以外に有効な合意形成の手段はないと,私は考えます。
例えば,顧客にシステムの開発請負金額を猛烈にディスカウントされた場合を考えてみてください。やむをえず顧客の要望をのんだとして(顧客がWIN,あなたがLOSE)その後の開発にやる気がでるでしょうか?またその顧客と継続して仕事をしたいと思うでしょうか?(それでもやるのがプロだろうという指摘があるかもしれませんが,メンバーも感情をもった人間です。)
顧客も今回の価格交渉ではWINだったかもしれませんが,その後の開発や継続した仕事という面でいえばLOSEといえます。(作業者の手抜きや,忙しい事を理由に開発を断られたりする)実際そうした例も,過去に見聞きしました。
逆の例もあります。開発側が利益をかなり上乗せしての受注したケースです。一見WINのようだけれども長く付き合っていくうちに,値段が不当に高いという事に顧客も気がついて,信頼を失ったあげく受注も無くしてしまう。(さらに,口コミでの評判も下がる)
WIN-LOSEもLOSE-WINも力関係に頼った合意形成の方法です。力関係で勝っても,負けた側の気持ちは必ず何らかの形で勝った方へ悪影響を与えます。
一方,以前お付き合いしたお客様で,厳しい要求はされるのですが,こちらの状況もよく理解してくださり,お互いが納得のいく方法を考えようとしてくださる方がいました。粘り強く交渉を重ねるステップも納得のいくもので,合意した後の開発でも,こちらも気持ちよく製造ができ,良い品質のものを提供できました。その後の運用でも継続して仕事を発注してもらい良好な関係が続きました。こうしたWIN-WINの精神は最終的には顧客,私たち双方に利益をもたらします。
WIN-WINは「協力」という概念です。ファシリテーションに限らず,このWIN-WINの原則はあらゆる対人関係において成功するベースとなるものだと私は信じています。
