エンジニアをレベルアップさせる「ファシリテーション入門」

第9回 合意を形成する 「競争」から「協力」へ(合意フェーズ)

2009年1月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

WIN-WINの合意形成のステップ

それでは,具体的にWIN-WINの合意形成のステップを説明します。

  1. WIN-WINの考え方を説明する。
  2. お互いを理解する。
  3. どちらも満足できる案を考える。
1.WIN-WINの考え方を説明する。

WIN-WINの考え方を説明し,合意形成の方法を参加者で意識あわせします。またWIN-WINの合意に至らない場合の事も事前に話しておくとよいでしょう。

WIN-WINの案が必ずでるとは限りません,そうした場合に備えて合意に至らなければ多数決や,あるいは今回は取引しない(No-Deal)といったオプションも用意しておけば,参加者は安心して話し合いに望めます。

2.お互いを理解する。

次にお互いを理解し合います。具体的には,お互い何があれば満足するのかという欲求を明確にしていきます。

この欲求も表面的でなく,本音レベルの欲求を明確にします。

もし,あなたが中立的なファシリテーターならば,意見が対立している双方の本音レベルの欲求を参加者全員が充分に理解したと感じるまで,話し合いを続けてみてください。

また,あなたと相手で意見が対立している場合は,まず相手の事を理解する事から始めましょう。相手を理解して,次に自分の欲求を本音で説明します。

このステップが,もっとも難しい部分です。立場があると,本音で話す事は勇気がいります。ファシリテーターとしては,本音を引き出すように,導入フェーズや整理フェーズで説明したような技術をフルに活用し,発言しても安全な雰囲気をつくりあげていく事が重要なポイントです。

3.どちらも満足できる案を考える。

双方の理解が進んだら,どちらも満足できる案を全員で考えます。お互いの要求に優先順位をつけたり,その中で交換できるものを探したりします。

いくつか案がでてきたら,その中で最も納得のいくものを選びます。このときは多数決で選んでもよいかもしれません。WIN-WINをめざし,本音レベルで充分話し合った末に,でてきた案を多数決で決めるのと,いきなり多数決で決めるのは結果の質が全く異なります。

これまでの経験上,お互いを充分理解する事ができていれば,どちらも満足する案は案外でてくるものです。また,WIN-WINの案がみつからなくても,お互いを理解し合い協力して案を考えた経験は,その後の関係を良くする事につながります。

合意を阻むもの

WIN-WINの合意形成を阻んでいるものは,WIN-WINの成功体験が少ないことではないかと思います。

現実の社会はWIN-LOSEの「競争」ばかりが幅を利かせています。しかしそろそろ「競争」の限界も見えてきたのではないでしょうか?

これからはWIN-WINの「協力」の時代です。まずは身近な会議からWIN-WINの成功体験を積み重ねていきましょう。

著者プロフィール

野口和裕(のぐちかずひろ)

13年間の会社員時代,SEとして企業や官庁で各種システムの設計に従事。製造業,建設業,人事システムの構築を数多くこなす。その後,独立しフリーランサーのSEになる。現在有限会社NTX)を設立し,SEの傍らヒューマンスキルの研修を行う。

著書は『SEのための「どこでもやれる力」のつけ方』(技術評論社刊)。3度の飯はお好み焼きでOKという広島人。

ブログhttp://blog.livedoor.jp/facilitator/

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