続・玩式草子 ―戯れせんとや生まれけん―

第9回 ウィスキー・ボトル・ブルース(3番)

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「令和」の時代となってそろそろ1ヵ月,新しい元号にも次第に馴染んできたころでしょうか。

天皇陛下の生前退位や新元号の事前発表にはさまざまな意見があったものの,昭和天皇の崩御による自粛ムード一色で始まった「平成」に対し,国民全員が明るいお祝いムードで迎えることができた「令和」は,新しい時代の始まりを強く感じます。

その勢いに便乗して(笑⁠⁠,約1年ぶりのバージョンアップとなるPlamo Linux 7.1をリリースしました。Plamo-7.1では,メンテナの加藤さんや田向さんのおかげで,glibcやnotofontの新元号対応も取り込んでいます。

図1 Plamo-7.1の新元号対応

図1 Plamo-7.1の新元号対応

さて,Plamo-7.1については回を改めて紹介することとして,今回はBottleで簡単なウェブサービスを作ってみましょう。

Bottleと画像ファイル

Bottleをイジっていて「あれ?」と思ったのが,画像データのような静的ファイルの扱いです。

たとえば,"./Photo"ディレクトリ中に配置した画像ファイルをBottle経由で表示するには,こんなコードが必要になります。

 1  #!/usr/bin/python
 2  
 3  from bottle import route, run, static_file
 4  @route('/show/<filename>')
 5  def show_img(filename):
 6      return static_file(filename, root='./Photo/')
 7  
 8  run(host='localhost', port=8080, reloader=True, debug=True)

表示したい画像ファイルを"img01.jpg"とすると,このスクリプトを実行して,ブラウザから"http://localhost:8080/show/img01.jpg"にアクセスすれば,その画像が表示されます。

図2 Bottleでの画像表示例

図2 Bottleでの画像表示例

リストの3行目でimportしている"static_file"が静的ファイルを扱うためのメソッドで,ブラウザに画像データを送信する場合は,6行目のようにこのメソッドを経由した結果をreturnで返すことになります。

このあたり,apache httpdでは,URLにファイル名を指定するだけで画像を表示できますし,許可しておけばディレクトリにあるファイルの一覧表示もしてくれます。そういう記憶があったので,Bottleの画像表示はずいぶん面倒なんだな,と思ったものの,すこし考えてみるとこの処理は必須なことに気づきました。

というのも,HTTPでデータをクライアントに送る場合,生のデータをそのまま送り付けてもダメで,そのデータがどういう種類かを示すContent-Typeや文字コードを示すcharsetサイズがどれだけかを示すContent-Lengthといった情報(レスポンスヘッダ)を付ける必要があり,既存のファイルに対してこれらレスポンスヘッダを用意するのが"static_file()"というメソッドの仕事というわけです。

さて,画像を表示する方法はわかったので,このコードを元に機能を追加していきましょう。まず,ファイル名を指定せずにアクセスすれば,ディレクトリ内のファイルリストを返すようにしてみます。

ディレクトリにあるファイルのリストはPythonのos.listdir()を使えばよさそうなので,とりあえずimport osして,os.listdir()の結果を返すコードを書いてみました。

 1  #!/usr/bin/python
 2  
 3  import os
 4  from bottle import route, run
 5  
 6  @route('/show')
 7  def show_list():
 8      files = os.listdir('./Photo')
 9      return (files)
10  
11  run(host='localhost', port=8080, reloader=True, debug=True)

このスクリプトを動かして,"http://localhost:8080/show"にアクセスすると,確かにファイル名のリストが返ってきます。

図3 os.listdir()の結果をそのまま表示

図3 os.listdir()の結果をそのまま表示

さすがにこれだけでは寂しいので,templateを使って出力結果を整形しましょう。まず,ファイルリストをテーブルに組むようなテンプレートファイルを用意しました。このテンプレートファイルを"show_list.tpl"という名前にしておきます。

 1  <P> Photos </P>
 2  
 3  <table>
 4  % for i in photos:
 5    <tr> <td> {{i}} </td> </tr>
 6  % end
 7  </table>

スクリプトの方では,4行目のimport対象に"template"を追加し,9行目をこのテンプレートファイルを使うように修正します。

 9      return(template('show_list', photos=files))

これでファイル名の一覧が見やすくなりました。

図4 os.listdir()の結果をtemplate機能で表示

図4 os.listdir()の結果をtemplate機能で表示

このファイルリストを,先に紹介したstatic_file()を使う"/show/<filename>"のルーティングと組み合わせれば,ファイル名の代りに実際の画像を表示することができます。

まず,"show_list.tpl" の5行目を以下のように修正し,リンクや<img>タグの部分に画像を表示するためのルーティングを組み込みました。

 1  <P> Photos </P>
 2  
 3  <table>
 4  % for i in photos:
 5    <tr> <td> <a href="/show/{{i}}"> <img src="/show/{{i}}" width="200"> {{i}} </a>  </td> </tr>
 6  % end
 7  </table>

一方,Bottleを使ったスクリプト本体はこうなりました。

 1  #!/usr/bin/python
 2  
 3  import os
 4  from bottle import route, run, static_file, template
 5  
 6  @route('/show/<filename>')
 7  def show_img(filename):
 8      return static_file(filename, root='./Photo/')
 9  
10  @route('/show')
11  def show_list():
12      files = os.listdir('./Photo')
13      return(template('show_list', photos=files))
14  
15  run(host='localhost', port=8080, reloader=True, debug=True)

これくらいのコードで,Photo/以下にある画像の一覧表示と,選択した画像の全画面表示ができるようになりました。

図5 画像の一覧表示

図5 画像の一覧表示

著者プロフィール

こじまみつひろ

Plamo Linuxとりまとめ役。もともとは人類学的にハッカー文化を研究しようとしていたものの,いつの間にかミイラ取りがミイラになってOSSの世界にどっぷりと漬かってしまいました。最近は田舎に隠棲して半農半自営な生活をしながらソフトウェアと戯れています。

URLhttp://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html