グラフ仕事人六道数人~陥りやすいデータ分析の誤りと効率的なグラフの利用方法

第14回 万能の散布図 その2:散布図=相関関係ではない。昨対比,予実比,満足度比較など,ビジネス情報の整理にも有用

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本稿では直感でわかるデータ分析(2015年9月30日,技術評論社刊)の一部内容を参考にし,データなどを転載しています。

様也は数人の描いた散布図に目を奪われていた。

店舗別売上利益率(棒グラフ)

店舗別売上利益率(棒グラフ)

  • 「いいですか,お父さん。ご覧のように散布図なら利益率と売上がともに高い店舗をひとめで見つけることができます。同様に,どちらも低い店舗も一目瞭然です」
  • 「た,確かにそうだ。こんな使い方があるなんて,知らなかった」

縦軸を利益率,横軸を売上にすることによって,同時に両方の数値の大きいものと小さなものを把握できるようになっている。

  • 「ふーむ,これはいわば常識と思っていたのですが,そうでもないようですね。それだけではありません。実は,散布図利用の前提になっているふたつのデータ系列という条件にあてはまるケースは決して少なくないのです。例えばどんなものがあるかわかりますか?」

数人は優雅な仕草で頬を撫でる。

  • 「ええと,相関関係を見るようなものだよね?」

悲しいことに様也は,散布図といえば相関関係しか思いつかない。

  • 「またそんな因習にとらわれている! たとえばよく使われる予実比,昨対比もふたつのデータ系列の分析でしょう?」
  • 「なるほど……」
  • 「特定の競合との比較だってそうです。たとえば複数の競合サイトの満足度と必要度を散布図にすることだってできます」

競合サイトの満足度と必要度

競合サイトの満足度と必要度

  • 「このグラフは,あるビジネス情報サイトが会員登録の際に他に利用しているサイトの満足度と必要度を五段階評価で記入してもらったものの平均値からグラフにしたものです。同様の方法で,昨対比や前作との比較なども可能です」

前作と今作の項目別満足度平均値比較

前作と今作の項目別満足度平均値比較

  • 「付け加えると,ビジネスでは相関関係を見るのに散布図を使える場面は限られます。以前に申し上げたようにビジネスデータには質的データが含まれることが少なくないからです。質的データの相関関係を見るには折れ線グラフが適しています」

様也はかつて数人が教えてくれたことを思い出しながら,美貌の少年の横顔に見とれていた。

  • 「さて,お父さん! では質問です」

また質問タイムだ! 様也は緊張した。まだ一度もまともにを答えられたことがない。

読者への挑戦

数人が様也に出した問題にみなさんもチャレンジしてみましょう! 下記URLから回答できます。

「グラフ仕事人六道数人 第5話」読者アンケート
https://jp.surveymonkey.com/r/kazuto05

ケース1:

ある会社で製品の満足度調査を実施することになりました。アンケート調査で回答してもらうことにしましたが,質問の設計に当たっての留意点で妥当と思うものをいくつでもチェックしてください(妥当なものがないこともあります)。
  • 満足度は1回ごとに内容を最新のものに変更し,その都度最新の結果のみで解釈すべきである
  • 満足度は1回ごとの評価だけではなく,過去のものと比較し時系列変化をとらえることが重要である
  • 満足度は1回ごとに棒グラフにするとよい
  • 満足度は複数の年次を散布図にして比較するとよい
  • 満足度は複数の年次を折れ線グラフにして比較するとよい
  • その他(具体的にご記入ください)

ケース2:

自社の製品を利益率と成長率によって区分しようと考えています。利益率と成長率ともに高いものをAグループ,利益率は高いが成長率が低いものをBグループ,利益率が低いが成長率が高いものをCグループ,どちらも低いものをDグループに分けます。適したグラフと思うものを1つ選んでください。
  • 利益率,成長率をそれぞれ縦軸横軸にとった散布図
  • 利益率,成長率をそれぞれ棒グラフにして,2つの棒グラフを比較
  • 利益率,成長率を重ねた積み上げ棒グラフ
  • 利益率,成長率をそれぞれ円グラフにして,2つの円グラフを比較
  • その他(具体的にご記入ください)

著者プロフィール

原隆志(はらたかし)

シンクタンクで7年間市場および新製品開発などの調査研究に従事した後に独立し,大手IT企業のコンピュータ・ネットワーク市場調査,新製品開発調査およびコンサルティングを行う。その後,インターネットプロバイダなどのネット関連企業の役員を歴任。『インディペンデントリサーチャー養成講座』など多数の調査分析セミナーの講師を務めた。2015年9月刊『直感でわかるデータ分析』(技術評論社)

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