こんにちは,グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。
これまで数多くの会議や研修,ワークショップに参加させていただく中で,1つとして同じ議論はありませんでした。ですが,面白い現象として,「あれ? この絵,前にもどこかで描いたぞ」ということにたびたび遭遇します。業界も違う,集まる人も違う,扱うテーマもまったく違うはずなのに,わたしの絵筆が「前にも描いたなあ,この絵」というものがいくつかあります。今日はその1つをご紹介します。
「生身の人間」が「ロボット」になってしまった,という現象

よく描くのが,この「ロボット」です。上の絵は,一昔前には多くの企業に見られた「ヒエラルキー組織」 の説明を聴いて描いた絵です。
そのときの講演テーマは「これからの組織のあり方」について。「もっと社員一人一人が自律した組織になろう」という話を聴いているときは,社員をきちんと「生身の人間」として描いてました。
しかし,そんな組織とは対称的な「ヒエラルキー組織」「トップダウンの組織」。では,「指示・命令」が当たり前の一方通行。で,従業員の人たちは「生産性・効率性」を問われています。上(右)の絵では,従業員の目の前に,ベルトコンベアで「与えられた仕事」が届きます。上(左)の絵では,会社から「考えるな!」と言われて働いています。そんな様子を思い浮かべて描いていたら,従業員のイメージが,脳みそを使わず,文句も言わず,手足だけはいつまでも動せる,無表情な「ロボット」の絵になってしまいました。 決まりきった型にハメられているうちに,彼らは四角い頭になってしまった,というイメージです。
こんな無表情のロボットたちがいる職場からは,楽しい笑い声は聴こえてこない。人肌のぬくもりも感じられない。なんだか淋しい感じがしてきたので,紙面一面,水色一色で塗ってみました。冷たい空気が流れています…。
考えることを忘れたロボット

上の絵も「ロボット」を描いていました。このときの話題は「現代のネット上の溢れる情報をみんなはどう扱っているか」。
「情報に踊らされている人もいる」「でもネットのおかげでどんどんいろんなことを調べるようにもなった」
そんな会話から描いた,絵:左上の人は,上からどんどん降ってくる情報というボールを「じぶんから知りたくて取りに行っている人」です。
対称的に,絵:右上の2人は,「じぶんからボールを取りに行かない人」です。
「最近の大学生は論文を,ネットからコピペして作っていることが問題になっている」「じぶんで考えて仮説を立てたり,調べたりしなくても,ネットを使えば論文はつくれる」「知らなくても必要なときにネットで調べればいいという若い人の発言を聴いて驚いた」という話から,情報というボールがどんなに降って来ても,家の中でじっとして無駄な動きをとらない人というイメージで,2人のまわりを枠で囲って描いてみました。
これらの絵を,改めて,議論の当事者であるみんなさんと俯瞰していたときに「昔に比べて,考えてない?」「考えなくてもよくなってきているのかも」という言葉から,思わず「ロボット」を描いてしまったのですが,「どんどん情報ボールが降ってくる」=「与えられるものが多い」という状況は,工場に居る「ロボット」と似ています。そして,じぶんから無駄な動きをしない人たちも,指示命令がなければじぶんでは動けない状態と,とてもよく似ています。ものすごい速さでネットを使いこなしているのだけれど,じつは頭の中は動いていない「思考停止ロボット」です。


