前回は,情報が“あちら側”にも“こちら側”にも溢れていること,情報の奔流の中で情報を整理し有効活用することは重要であること,デスクトップ上の情報はアプリケーション主体で分離していること,キラーアプリケーションであるメーラは課題が多いことを書きました。まとめの今回はタグ,オフィスファイルの管理,情報共有に対する考察のあとで新しい情報整理ツールをご紹介します。
タグ
“タグ”による情報の意味づけはWeb 2.0での新たなアプローチとして認知され,一方,従来からの“検索”はインターネット上,デスクトップ上において高速となり情報探索の汎用的な方法として定着しています。
では,“タグ”によるアプローチの利点はなんでしょう。“検索”は検索キーワードが「情報に含まれる文字」であることに対して,“タグ”はその情報を区分けするための意図的な付箋であり,目印です。一般の商品についている値札もタグといいますね。昔,ジュエリーの販売管理システムに携わったとき,商品の見栄えを損なわないよう精度の高いバーコードリーダを利用してタグを最小化したことがあります。商品に付けるタグは限られますが,コンピュータの世界では複数の目印を付けることに何の問題もありません。ファイルではこのような意図した情報としてファイル名を利用することがありますが,複数付与することはできませんし,情報として括られる単位に意味付けをするタグとは異なります。
また,エクスプローラに代表されるファイル管理ツールやメーラにおいては,情報を整理する手段としてフォルダ,ディレクトリという階層管理の方法が定着しています。WindowsのコントロールとしてはTreeViewが一般的です。階層管理は一次元の管理です。フォルダが情報の集合場所となり,フォルダを越えた集合はできません。その点,タグは多次元の管理と言えるでしょう。意味を持った複数の串(タグ)で串刺しをして集合を得ることができます。タグの持つ情報整理の有効性,可能性は大きいのですが,まだタグがデフォルト,誰もが当たり前に利用するといった状況にはなっていないでしょう。だからこそ,標準に運用され習熟された時を期待したいですし,楽しみなのです。
オフィスファイル(Excel,Word,PowerPointなど)管理の課題
たとえば,Excelで見積書を作成し「見積書」というファイル名で保存する,これを別の作業者が開き一部を修正し「見積書(修正)」として保存する。この時点でふたつのファイルは別ファイルとなり,関係性は任意に付けられたファイル名からの類推しかありません。PCもワープロもないころ,こういった作業は紙の上での添削作業でありどこを直したのか,添削前も添削後の記述も目視が可能でした。また,それが分かるように,査閲できるようにしていたかと思います。
Wordは文書に特化しているため添削機能を持っていますが,他のオフィス製品においても「同じファイル名で版管理」ができることのニーズは多いのではないでしょうか。また,個人作業においてファイルを修正してファイル名を変えて保存する,日付をファイル名に含め後の視認性を担保することが多いですね。結果,前のファイルは不要な堆積物となりPCのハードディスクはゴミファイルで溢れることになります。
情報の共有
前回も少し触れましたが,文書管理,文書統制といったシステムを多くのベンダー企業が提供しています。サーバ側に文書を登録することで権限設定や共有によりグループ,部門,企業において有効活用できるというものです。しかし,最初から「強制も含めた参加型」での共有よりも,“こちら側”に溢れている情報があり,前回の冒頭質問で提起したようにデスクトップでの情報活用作業の改善をし,溢れている情報を効率良く利用することが重要だと思うのです。なぜならば作業時間の多くは個人作業だからです。また,情報活用に対する個人の作業意識の改善は部門,企業へも広がりを見せるはずですし,これこそ「参加型のアーキテクチャ」「集合知」といったナレッジに昇華し,結果として全体の競争力を大きく高めるのではないかと期待されます。
Web 2.0と同様に参加者の参加意識が重要であることは間違いないでしょう。

