IT勉強会を開催するボクらの理由

第5回 ハイスピードで進化する技術へのアプローチを求めて ~関東Firefox OS勉強会

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コンサルだと思ったらSIerだった!?

冒頭で述べたように,思わぬ形で勉強会を始めることになった高尾安奈さん。外語大出身で,社会人になってからプログラマを始めたという変わり種です。⁠コンサル系だと思ったら,実はSIerの会社だった」と入社後に気づきましたが,もともとWebやモバイル系の技術には興味があったため,プログラマとして精進しています。Androidに強く興味があって転職し,現在は⁠株⁠ブリリアントサービスに所属しています。コミュニティの運営によって,本業へのフィードバックは今のところとくにないということですが,社内で活動について話題に挙がることもあるそう。⁠互いに好影響を与えるように回せていければ」と語ります。

それにしても,⁠関東Firefox OS勉強会」で驚かされるのは,立ち上げ時のエピソードもさることながら,その開催頻度と規模感です。第1回目が2013年6月に開催され,これまで毎月のように開催されており,毎回100名から150名程度の参加者を集めています。もっとも,高尾さんは「開催して欲しい人がいるから,次回も企画開催しています」と,さらりと回答しました。⁠Firefox OSは開発のサイクルがとても早く,実装状況が刻々と動いています。常に追うのは中々難しいと思いますので,情報を求めている方は多いと思います⁠⁠。この速度感こそが,コミュニティを盛り上げる最大の要素なのでしょう。

また「今のところ,日本ではFirefox OS端末が販売されていないので,販売されるまで熱が冷めないようにしたいな,という気持ちもあります」という事情もあるとのこと。最新技術の勉強会だけでなく,開発者同士で交流し,わいわい話せる機会も併せて提供していきたいと言います。一方でモバイルクリエイターズ(仮)としては,特定の分野にフォーカスを絞らず,参加者のご要望や新しい流れに合わせて,さまざまな分野を柔軟に扱っていく予定とのことでした。

会を重ねるごとに参加者の年齢層が低下し,多様性が増していった

会を重ねるごとに参加者の年齢層が低下し,多様性が増していった

参加者は20代を中心に,学生らしい姿もチラホラと見られたのが印象的でした。⁠テーマがMozilla関連技術だからではないでしょうか。Mozillaさんは高校生向けにハンズオンをやっていたりしますし,オープンソースなところも若い人にウケると思います」⁠高尾さん⁠⁠。実際,第1回目はAndroidのアプリ開発者や,組込み系の人が多くみられましたが,回を重ねるごとにMozillaに興味がある人や,他のモバイル端末に興味がある人の参加率が上昇。中には営業系の参加者も見られるなど,多様化してきたとのことでした。

大規模会場を借りるのに正攻法で突撃

さて,一般にコミュニティ活動を進めるうえでポイントとなるのが,⁠会場」⁠講演者」⁠スタッフ」そして「金銭管理」です。とくに100名規模の勉強会ともなると,会場探しだけでも大変になります。

幸いにも「モバイルクリエイターズ」では,これまでIIJやGMOインターネットのセミナールームを無料でお借りしてきました。そのため,勉強会も無料で開催してきています。⁠当初は30名程度の勉強会を想定していたため,最初から有料開催は考えていませんでした。結局,参加費は会場代と懇親会代がおもな用途ですよね。今後,会場費の捻出などで必要になれば,有料化も検討すると思いますが,現状ではその予定はありません」⁠高尾さん⁠⁠。

もっとも,何かツテがあったわけではなく,Twitterなどで勉強会の会場を募集するところから始めたそうです。いくつか手をあげていただいた企業もありましたが,100人以上の参加者が集まったことで,いずれも実施不可能に。あらためて100人規模の勉強会会場を無償で提供している企業を検索し,サイトの申請フォームから会場提供をお願いしたとのこと。⁠ご提供いただけて本当に助かっています」と話されました。会場探しに苦労しているコミュニティにとって,大いに参考になるのではないでしょうか。

なお,

  • 大規模会場は人気が高いため,実施日を早めに決める
  • 勉強会後の現状復帰を徹底する
  • 勉強会の内容は会場の提供先企業にも有用なものにする

――などに注意しているそうです。このほか参加者が多いと,一定の喫煙者がいるため,喫煙スペースの位置も気にかけているとのことでした。

講演者は「ATNDで募集する」⁠Twitterで募集する」⁠知人からの紹介」⁠懇親会で募ったり,テーマについて詳しそうな方にお願いしたりする」などが中心。第4回で講師を務めた@unsoluble_sugarさんも,高尾さんのツイートを見て手を挙げた1人でした。⁠私は至らない点が多いので,失礼のないように気をつけているつもりですが,内心すごく不安です。登壇者の方も参加者の方も楽しく勉強会に参加していただければいいなと思います」⁠高尾さん⁠⁠。もっとも,見ず知らずの他人がSNSを見て講師参加されている点に,改めて驚かされました。SNSを通したコミュニティ拡大の一端を見た気がします。

また,今回は10名程度がスタッフ参加したとのことですが,これもほとんどがサイト上の,スタッフ募集の要項を見て手を挙げられた方だそう。もっとも,コミュニティが立ち上がって,まだ数ヵ月しかたっておらず,普段から連絡を密に取れないのがネック。そのため,第3回はかなりグダグダな進行となりました。その反省から今回は運営マニュアルを作成したとのこと。今後も運営には工夫を重ねていきたいと話されました。

参加者の若さは重要なバロメーター

このように大規模な勉強会を,かなりの頻度で開催されている本コミュニティ。もっとも高尾さん自身は手本にしたり,影響を受けたりしたものはとくになく,他のコミュニティに参加していきながら,いろいろ参考にしたそうです。⁠参加してくださった方が,参加して良かったと思えるようなコミュニティ,勉強会になるようにしていきたいですね」⁠高尾さん⁠⁠。ただ,参加者が多いのはとても嬉しいとしつつも,一人ひとりの参加者とあまりコミュニケーションがとる余裕がなく,うまく改善していきたいとのことです。

細うで繁盛記で勉強会をきりもりする高尾安奈さん

細うで繁盛記で勉強会をきりもりする高尾安奈さん

最後に「モバイルクリエイターズ(仮)もFirefox OS勉強会も,参加したいと思う方はどなたでもウェルカムです! ぜひ一緒にコミュニティを盛り上げていきましょう!! 勉強会の主催は,私でもなんとかなっているので,やる気があればなんとかなると思います! モバイルクリエイターズ(仮)としても,お手伝いしますので,ご相談ください」と,力強いコメントが寄せられました。

本勉強会で改めて感じたのは,情報の更新頻度が早く,盛り上がりを見せている分野(Firefox OS)があり,献身的なリーダー(高尾さん)がいれば,インターネットを通して登壇者・スタッフ・会場など,さまざまな要素が後から付いてくるということです。そして何より参加者の若さが重要な要素であること。普段筆者が参加したり,取材したりしている中には,学生や20代の参加者が少ないことに,大なり小なり危機意識を感じているコミュニティも少なくありません。参加者層の平均年齢はコミュニティ活動に限らず,広く成長のバロメーターなのだと気づかされました。

著者プロフィール

小野憲史(おのけんじ)

特定非営利活動法人国際ゲーム開発者協会日本(NPO法人IGDA日本)代表。ゲームジャーナリスト。3匹の猫の世話をしながら,奥さんの弁当を作って仕事に送り出す日々。

メール:ono@igda.jp
Facebook:https://www.facebook.com/kenji.ono1