決済会議

第2回クレジットカード決済にまつわるギモンにお答えします!

Squareに追従し、楽天スマートペイとPayPal Hereが手数料率を3.24%に引き下げ、さらに競争が加熱してきました。世間では大変騒がれていますが、そもそも皆さんクレジットカード決済の仕組みをご存知ですか? 今回は意外と知らないクレジットカード決済にまつわるギモンにお答えしつつ、最後に、今後どうなっていくのかについて書いてみたいと思います。

国内決済サービス・海外決済サービスまとめ

まずは、国内・海外のスマホ利用決済サービスをまとめました。

表1 国内の決済サービス比較>
名称初期費用手数料支払サイト対応ブランド
Square0円3.25%三井住友銀行は翌営業日、それ以外は毎週金曜日VISA、Master
Coiney0円※カードリーダー無料は期間限定4%25日締めの翌月末支払VISA、Master
楽天スマートペイ2,980円3.24%楽天銀行は翌日、それ以外は入金依頼の翌営業日VISA、Master、楽天カード
Paypal Here1,280円5%最短3日VISA、Master、American Express

2013年6月26日現在

表2 海外のクレジット決済サービス
名称対応国手数料、料金備考・特徴
SquareUS2.75%または0%+$275/月日本未展開のカードリーダー付きiPadスタンドやレシートプリンタ対応
Paypal HereUS他2.75%日本の5%より断然安い
Intuit(GoPayment)US他2.75%または1.75%+$12.95/月とくになし
Breadcrumb(Groupon Payments)US1.8%+$0.15/スワイプPOS機能は別料金。飲食店向けPOSがついた上位モデルがある
iZettleEurope※2.75%PIN(暗証番号を入力するタイプ)にも対応してる

※:スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、UK、ドイツ、スペイン、メキシコ

国内で展開する上記4サービスに共通点は、以下の条件のうち2つ以上をクリアしていることです。

  • 利用開始までの手続き(申込みと審査)がめっちゃくちゃ手軽(初期費用も安い)
  • 決済手数料が低めの固定(業種や取扱商品関係なく手数料率が透明)
  • 入金スピードが速い

そのほかにも以下のようなサービスがあります。

まだたくさんありますが、すべてご紹介できないので割愛失礼します。

スマレジなどのサービスは、従来の方式に近いため、利用開始までの審査期間が長かったり、オンラインで申込みが完結しなかったりするため、お手軽とは言えません。そのかわり、JCB・American Express・銀聯(ぎんれい)が使えるなど、それぞれ特長があります。

スマレジの場合「ちゃんとした」POSと連動してますから、ある程度の規模まで対応できますし、求める機能に応じて周辺機器もいろいろ選択できます。また、クレジットカード決済代行サービスを提供する株式会社ゼウスの24時間365日有人サポートがついていて、いい部分はたくさんあります(キリッ。

さて、本題はここからで、この表を見ているとギモンが浮かんでくるのではないでしょうか? そんなギモンをクレジットカード決済のプロに聞いてみましょう。クレジットカード決済代行会社である株式会社ゼウス 代表取締役(取材当時⁠⁠ 地引一由さんにお話を伺いました。

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ゼウス地引さんに訊く!

Q1:そもそもカード会社ってなあに?

A1:クレジットカードは、

  • 実際に買い物をする利用者(会員)
  • カードが使えるお店(加盟店)
  • カード会社

の3者によって成り立っています。

カード会社の仕事は、

  • 買い物した人から買い物代金を徴収し、お店に代金を払います
  • カードを発行して利用者を増やします(イシュイング)
  • カードが使えるお店を増やします(アクワイアリング)

SquareやCoiney は、カード会社ではなく「カードが使えるお店を増やす」役割をする、言わば代理店です。カード会社が上記の仕事をすべて自社で完結できる訳ではないので、いろいろな会社と協業・連携しているわけです。

Q2:クレジットカード決済の手数料ってどうやって決まるの?
株式会社ゼウス 代表取締役
地引一由さん
株式会社ゼウス 代表取締役 地引一由さん

A2:従来のカード決済では、お店がカードを使えるようにする際に、カード会社(またはその代理者)と商談します。

その時に、お店の規模や取扱商品を確認しながら手数料を設定し契約します。

「御社だけの特別価格ですから、あまり他店に言わないでくださいね!」

という個別の約束ができますね。

冒頭の国内4サービスの場合は、規模や取り扱い商品に関わらず、手数料率が固定です。お店にとっては明確でわかりやすいんです。

Q3:クレジットカード決済の手数料って相場どんなもんなの?

A3:以下が目安です。

小売・物販だいたい3~5%ぐらい
飲食店だいたい4~8%ぐらい

クレジットカード会社とクレジットカード決済について少しは謎が解けたでしょうか。地引さん、ありがとうございました。

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Squareなどは、いままでと何が違うの?

では、Squareなどのネット決済サービスがこれまでのものと何が違うかというと、前述した、以下の事項です。

  • 利用開始までの手続きがめちゃくちゃ手軽(初期費用の低さも含む)
  • 決済手数料が低めの固定(業種や取扱商品関係なく手数料率が透明)
  • 入金スピードが速い

まだまだ手数料が下がるのか?

Squareの3.25%は、衝撃的な低さでしたが、楽天やPaypalがすぐに対抗しました。また、海外の手数料率と比べると、日本の3.25%は高いほうなんです。

あと少しは下がるかもしれまえんが、米国では2.75%で平行線となっているし、そもそもいまのビジネスモデルでは、手数料0%&月額0円は不可能なため、日本もある一定値(いまは3.24~3.25%)でストップすると思います。

したがって、⁠利用開始までの手軽さ⁠⁠低くて明快な決済手数料⁠⁠最短の入金スピード⁠の主要ポイントは、これ以上差別化が難しいので、今後はそれ以外の部分で各社の特色が出てくるんだと思います。

それは、表2 海外サービスのように、Intuitが1.75%+$12.95という、ちょっと違った料金体系になっているとか、Groupon PaymentsがPOS付き上位モデルを用意しているとか、各社さまざまに差別化・発展していることからも伺えると思います。

最新のニュースでは、Squareは米国にて6月26日より、店頭の商品をそのままオンライン販売できる機能を加えたりしています。

という訳で、手軽さと衝撃の手数料率が目立つ新しいクレジットカード決済ですが、今後の各社による差別化を予想しつつ、スマレジなどのようなJCBやAmerican Expressまで使えるサービスも視野にいれつつ、お店に導入するときはよく考えて選択しましょうというお話でした。

どのサービスを利用するかはあなた次第だっ!

次回は、POSレジの変革について書きます。では。

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