元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第25回 こんな時代だからこそ言える!「まず動くこと」の大切さ

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仕事も無いのに事務所設立

会社(オリコン)をヤメてまずオイラは下北沢にマンションの一室を借りた。退職金は無かった。自分からヤメたので当然だ。

そして,情けないことに貯金もゼロ。でも,やけくそなパワーだけはあった。30代前半の話。元気があれば何でもできる? いや,まさにその通りです,猪木さん。

  • 《32歳,オフィス・イノマー設立》

当然のことながら仕事など無い。生命保険を解約したりしてお金を作り,どうにか事務所を維持した。やることもないのに,毎日,事務所に通い続けた。

ありがたいことに,まわりには一緒に仕事をしましょう!という人間が数人いた。

オイラはそんな人たちが集まれる場所を作りたかったんだと思う。

仕事は無かったけれども,いろんな人が事務所にやって来た。そして1年後,ようやく,月刊誌を創刊する運びとなった。

ふう。やれやれ。

これまた,たまたま。⁠出しませんか?」⁠⁠いいッスよ」みたいなノリ。

会社員からフリーになるのは正直,不安があった。でも,その不安よりも自由になれる解放感のほうが強かった。

インディーズ系音楽雑誌創刊

創刊したインディーズ系音楽雑誌はそこそこ好調で忙しい日々が続いた。

そんなとき,事務所にひとりの女のコがいきなりやって来た。⁠何でもしますので働かせてください。お金は要りません!」

「えっ!?」

当時,彼女(Yとしておこう)は19歳で和歌山県から上京してきたばかりだという。話を聞けば,仕事も住む部屋も未だ決まっていないとのこと。

いや,ハッキリ言って最初はどんびき。危ないコじゃねーか?と恐くなった。でも,見た目は地味で誠実そうだった。

地元で雑誌編集の専門学校に通っていたらしい。でも,和歌山にいてはどうにもならないと思い,学校をヤメて東京へ。

東京に来て,漫画喫茶で寝泊りをしている中,最初にアクションを起こしたのがオフィス・イノマーに行くこと。

ここは駆け込み寺じゃねーぞ(笑)⁠

Yはオイラの事務所で作っていた雑誌の熱心な読者で,編集にかかわりたいと懇願。だけど,そんないきなりの話,オイラも含めスタッフも困惑するのは当然。

ところが,1時間も話をするとYの熱意が伝わってきた。⁠う~~ん,いいよ」

「ありがとうございます!」

スタッフはマジですか!?という顔でオイラのことを見た。

いいんだよ。

「でも,とりあえず住む部屋とバイトを見つけないとね」⁠オイラはYに言った。

働きたい!という情熱に負けた

その場で知り合いの不動産屋に電話をして,格安の物件を紹介してもらった。アパートに住むまでの数日間は事務所で寝泊り。そもそも荷物などほとんど無いのだ。

その気合(?)にオイラは胸を打たれた。思い込みっていうのは大切だ。バイト先はYが自分で決めてきた。事務所近くのコンビニエンス・ストア。バイト初日に弁当を電子レンジで爆発させたらしい(笑)⁠

コンビニは早朝から昼過ぎまで。その後,Yは事務所に通った。

履歴書も提出してもらうことなく,仕事をお願いすることにした。別にYを信頼したわけではないけど,こいつに騙されても自分のせいだ,しょうがないと思えた。

一緒に成功しようとは一切思わなかった。一緒に失敗しても構わないと考えた。何でだろう? いまだにわからない。

ま,スタッフはかなり不安だったろうけど。だって,家出娘みたいなもんだからね。

Yはよく働いてくれた。そして,単発ではあったけれど,フリーの編集&ライターとして他でも仕事をもらうようになった。

オイラはそれを嬉しく思った。

履歴書の必要ない仕事というのも,この世には存在する。曖昧な業界だ……。[叫訓4]で履歴書の書き方について話しているのに申し訳ないのですが……。

MOVE!

その後,雑誌は2年で休刊となり,事務所も畳むことにした。それ以来,Yと会う機会も少なくなった。

先日,Yから何年かぶりに連絡があった。メールでだったけれど「お久しぶりです。お話があるのですが」と。

会って話をした。家庭の事情で和歌山に戻るとのこと。仕事はずっとマスコミ関係の仕事をしていたらしい。もちろん,これから続けていく仕事もあるとのこと。

初めて会ったときは19歳。で,今は30歳。いやあ……そっか。

「自分でも信じられないですよ。あのとき,何であんな行動に出たのか」⁠Yは顔をくしゃくしゃにして笑った。⁠若かったんでしょうね。ムチャクチャですもんね?」

「うん,そうかもしれないね」とオイラは言った。⁠でも,それを受け入れたオイラのほうがクレイジーだよ」

「そうッスよね~?」⁠Yは言った。

でも,それでいいんだと思う。特に10代,20代なら常識なんて関係ない。履歴書持たずにノック・オン・ザ・ドア!

金八先生じゃないけど,人が動くと書いて働く。とにかく動かないと何も始まらない。

仕事がないとコンビニで手にした求人フリーペーパーを手にして悩むんだったら,道場破りもありっ。

それはいつの時代も変わらないと思う。

叫訓25
自爆覚悟でブチあたるべし
履歴もない履歴書なんて必要ナシ!

著者プロフィール

イノマー

昭和41年東京生まれ。駒澤大学卒業後,(株)オリコンに入社。10年間勤務し編集長2回,副編集長を3回務める。退職後,フリーの編集・ライターとなる。同時にバンド活動もスタート。メジャーデビューも経験し,現在はインディーズでの活動へ。過去に10枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしている。

http://www.onamashi.com/

Twitter:@inomar_onamashi

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