元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第42回「ダメ元でGOーーーー!」――1/100の確率でアタックせよ!

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ムリを承知でアタックする心意気

先日,友人からメールが届いた。内容は「好きな女のコができましたが,かなり年齢が下です。でも,ムリを承知で告白しようと思っています」というものだった。

気になったので電話をする(メールに電話で返すのは失礼,承知ではあるけれど)⁠で,話を聞けば,それはもう加藤茶さんクラスのハンパない年齢差ラブストーリーだった。しかも,一方的な……。

う~~ん。

ぶっちゃけ,恋愛成就は難しいだろう。でも,思いを伝えたいという強い意志。オイラは「がんばれ」と言った。

ふうむ。

美しい話だなあ,とは思う。まー,告白される立場の女のコからしたら気持ち悪いこと,この上ないかもしれないけれど……中高年の恋愛。悪くない。

はっきり言って,負け勝負だ。だって,相手は娘(いや,孫?)でもおかしくなくらいの年齢だ。でも,やらなければいけない瞬間(とき)というのはある。

ま,まともな生活を送ってきた人間には必要のない瞬間なんだけどね。

そう,だから,今回はそんな話。テーマはずばり,⁠ダメ元”。だめもと,ね。≪ダメでもともと≫の略語。

わかりやすく説明すると,ムリを承知でやってみる,ということ。もちろん,皆さんも日常生活の中で頻繁に使っていると思う。

「こうなったら,ダメ元で相手に好きだという思いを伝えます。撃沈覚悟です……」⁠友人からのメールにもあった。

動かないアーティストさまたち

ダメ元という言葉。会社員時代もフリーとなった今でもオイラはよく使っている。編集の仕事なんてーのをしていると,ほっとんどがダメ元である。

たとえば表紙を誰にしようかと編集会議の議題に挙がる。雑誌の発売日と相手側の作品リリース日がバッチリ合えば,そこそこ難しい話ではない。でも,中には……。

困ったことに,取材は一切NGというアーティストもいないわけではない。でも,逆に考えればそういったアーティストに出てもらえれば,雑誌としてはラッキーである。

ダメ元でお願いをする。いや,これ本当にダメ元。断られるのをわかっていて,お願いするんだもの。ヤな話だ。でも,何もアクションを起こさないよかマシだ。

もしかしたら,お願いしたスタッフが仕事の忙しさに頭が回らなくなって,⁠わかりました」なんて言うかもしれない。

ま,そんな奇跡は0なんだけれども。

「こんなオファーが来ました」という話すら本人には伝わっていないパターン。メーカーのアーティスト担当の時点でストップ。

ま,担当者の仕事なんて最初は取材を取ってくるというものであるが,担当アーティストが売れてくると逆に取材を断るのが仕事となっていく。恐い,恐い。そんな世界。

デビュー前,デビューしたばかりの頃はあんなにプロモーションしてきたのに,売れた途端にまったく顔を見せなくなるというのは普通の話。⁠雑誌の取材は絞っているんで。今回は『○○○○』しか出ないことに……昔からお世話になってるのにすいません。」

「あ,そうッスかあ。」

「ですので,アーティスト写真とジャケット写真でページ作ってくれませんか?」

慣れた。も~~,慣れた。本人は動かないのね? でも,こっちもダメ元でお願いする。いちいち,落ち込んでる場合ではない。だって,ダメ元なんだもの。

ダメなものはダメだ。

お願い毎日に降参したものの……

会社員時代にオイラは学んだ。人生,これすべてダメ元なんだな~と。

実際,ダメ元のお願いばかりでうんざりすることもあった。

そのときにオイラは決めた。お願いするのではなく,いつか,絶対にお願いされる側になってやる! と。

もっと正直に言ってしまえば,お願いもしない,お願いもされない立場に……って,それは世捨て人か。

ダメ元でのお願い。それはアーティストだけではなく,雑誌編集をやっていると,この人に書いてもらいたい(ライター)⁠写真を撮ってもらいたい(カメラマン)⁠というケースもある。

ところが,忙しいライターさん,カメラマンさんはどうしてもスケジュールが合わないことも多い。オイラが作っていたのは週刊誌だったので,仕事をお願いするのもどうしても急な発注となってしまう。

「申し訳ないんですが,今週の……。」まー,ムリだ。でも,ダメ元でお願いをする。10回のお願いをして1回でもOKをもらえればラッキー。それくらいの気持ちでいないとやってられない。

フラれるのにも慣れた(笑)⁠いちいち落ち込んでる場合じゃない。ハートを鍛えて次に,次にと断られるのを前提のリクエスト。

そんな日々にさすがに疲れ,10年勤めた週刊誌の編集部をヤメた。ふう,これでダメ元のお願いをしないで済むと思ったのだが,フリーになったら,それまで以上にダメ元お願いの日々。⁠何か仕事ないですかね?」

結局,延々と続くのだろう。

断られてもめげないハート

会社員をヤメてまず始めたのがなぜかバンド活動(笑)⁠まー,これも狂ってるんだけど。リハビリみたいなもんだ。すぐに『ティッシュタイム』という定期的なイベントをスタートさせた。

自分のバンドだけでは動員が2~3人だったので,出演してもらう対バンを探さなくてはいけない。これまた,ダメ元オファー。

いや~,しんどかった。知り合いのバンドに片っ端から声をかけたけど,片っ端から断られた。⁠いや,その日はいろいろ入ってて。すいません。また,誘ってください。」

バンドを始めて何が大変って,とにかくライブのブッキング(ライブに出てくださいというお願い)⁠そして,CDを1枚も出していないバンドを観に来てくれるお客さんなんかいないので,ライブハウスは開場してもガラガラ。お客さん1人という状況でライブをやったこともある。

イベントを組むのも,雑誌編集をするのもある意味同じ。脳ミソで全体像をイメージする。でも,出演オファーしても出てくれるバンドは皆無に近かった。

ダメ元でお願いをする。でも,断れまくった。いや,よくやってたなあ。ライブハウスの店長さんに助けられた。どんなに動員が少なくても援助してくれた。⁠いつか絶対にお客さんは入るようになると思うから,今は投資しますよ(笑)⁠ノルマはかけません。」

その言葉を胸にオイラは曲を作り,ダメ元でいろんなバンドに声をかけ続けた。初代マネージャー(女性)には「お客さんを30人集めたら,全裸になって逆立ちして下北沢の街を100周してやる」と言われた。

でも,2年後には会場はソールドアウトとなった。そのときには恩返ししたかった初代マネージャーはあまりのストレスで失踪しちゃっていたけど……。

ダメ元でGOー⁠ーー⁠ー!

だから,オイラが今回の叫訓で言いたかったことは⁠ALLダメ元⁠ということ。これはいける! なんていう確信を持ってから動こうと思うと,タイミングがずれてしまう。

つーか,100%なんてないのだから。1/1の確率よりも1/100の確率でオッケー。

ダメ元でGOー⁠ー! それはムリだなあ,なんて思って動かないとそこで終わってしまう。うちのバンドがEXILEと一緒にライブをやりたいとする。アハハ,そりゃムリだ。でも,もしかしたら,メンバーの中にうちらのファンがいて,実現するかもしれない(10,000%不可能な妄想だけど)⁠

恋愛で言えば,年齢差もある可愛い女のコ。声をかけなければ何もないが,ダメ元で勇気を出して声をかければ,良い悪いは別にしてインパクトを残すことはできる。傷跡を残すことが大事。

断られるのが当たり前と思って,すべてのことにぶつかればいい。そして,何より大切なことはNG出されてもヘコまないこと。そりゃそうだ,と笑っていればいい。

続けていれば,どうにかなる。とにかく断られても続けること。っちゅーことで,今回の叫訓テーマは↓

叫訓42
仕事も恋愛も人生はすべて⁠ダメ元⁠
断られて落ち込んでる暇はねー!

著者プロフィール

イノマー

昭和41年東京生まれ。駒澤大学卒業後,(株)オリコンに入社。10年間勤務し編集長2回,副編集長を3回務める。退職後,フリーの編集・ライターとなる。同時にバンド活動もスタート。メジャーデビューも経験し,現在はインディーズでの活動へ。過去に10枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしている。

http://www.onamashi.com/

Twitter:@inomar_onamashi

コメント

  • people are strange

    コラムの内容に毎回激しく同意です!
    よくあるビジネス・コラムよりよっぽどリアリティーがあって、何より面白い。

    第31回のpeople are strangeの続編も楽しみ!

    Commented : #1  四月良太 (2013/06/18, 15:32)

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