元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第48回「遅刻厳禁!」――だけど“鉄のハート”もときには必要!

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皆勤賞の昆虫男

オイラは小心者のため,取材だろうが,打ち合わせだろうが,飲み会だろうが……遅くても待ち合わせ時間30分前には到着している。

ヘタすると1時間前なんていうのもザラだ。人を待たせるのが嫌なことと,何より,焦って急ぐのが大の苦手だ。動悸が激しくなり体調が悪くなってしまう。

ぜーぜーぜー。

だったら,1時間前に着いて,待ち合わせ場所の近辺で缶コーヒーでも飲みながら,時間をつぶしつつ,仕事のシミュレーションをしているほうが数万倍ラクだ。

別に暇だからというわけではない。そして,仕事に対してクソ真面目だというわけでもない。これは完全に性格。

だから,学生時代にオイラは皆勤賞を取ってしまったこともある。はい,そんなつまらない男です。そりゃモテなかったはずだ。

モテる男子は絶対に皆勤賞なんて取ったりはしない。⁠時間になんて俺は縛られないぜ!』なんてもんだ。

そして,オイラは虫のように初めての街でも居心地の好い場所を見つけるのも得意(これ,大事なこと)⁠公園だったり,神社だったり,路地裏だったり。1時間くらいだったらリラ~~~ックス。

間に合わないかもしれないと汗をダラダラ流しながら走っているよりもずっとマシだ。

目覚ましのアラーム音は聞かない!

人を待たせてしまうとペナイチ(ペナルティ1)ということになってしまい,申し訳なささが大きくなり,まともな会話が一切できなくなってしまう。これでは仕事にならない。

相手の言いなりになる。取材で突っ込んだ話も聞けなければ,打ち合わせで自分の意見なども言えない。

ただただ,そこに居るだけの人。小さくなって,ただ時間をやり過ごすだけだ。それを回避したいのでオイラは絶対に遅刻をしない。

AM10時に起きれば余裕で間に合うケースもAM8時には目覚ましをかける。しかも,目覚ましがなる5分前にはパチッと目が覚める。目覚ましの鳴る音が嫌いなのだ。

目覚ましの音が鳴る1分前にストップボタンを押したときの快感ったらない。ま,起きてからやることがなくて退屈な時間を過ごすことになるのだが……。

≪LONG LONG AGO≫

そんなオイラだから人を待つのは苦痛ではない。20代前半の頃だったと思う。正確には覚えていない。オイラは銀座で女のコを13時間待ったことがある。

当時は携帯電話もなかった時代。約束の時間はAM10時。オイラは1時間前から到着。⁠ごめ~~ん,待った?」と彼女。⁠いや,今,来たばっかだから」とオイラ。そんな光景を夢見ていた。

でも,結局,実際に彼女がオイラの前に現れたのはPM10時過ぎだった。オイラは『ソニプラ』の前で延々と彼女を待ち続けていた。

AMとPMを彼女が間違えたわけではない。⁠何でまだいるの?」と彼女は不審そうに言った。⁠いや,別に……。」

彼女が遅刻した理由は忘れた。でも,何かあったはずだ。その辺のことは深く聞かなかった。部屋の家電メッセージを聞いて来たらしい。⁠こんなに待つなんてバカじゃないの!」⁠⁠そうかなあ?」

軽くゴハンを食べて,そして,ホテルに行くわけでもお互いの部屋に行くわけでもなく,バイバイした。元々,そういう関係ではなかった。

ひとり,部屋に戻ってからオイラは1日,何をしていたんだろう? とは思ったが腹が立ったわけでもない。それはそれで,楽しい1日ではあった。確かその日は大相撲の千秋楽で,⁠ソニプラ』の1階では中継が行われていた。オイラはそれをずっと眺めて過ごした。

ま,長い人生,こんな1日もあるだろうと。

臨機応変

とはいえ,オイラもインタビュー取材で大物アーティストを2時間も待たせてしまったことがある。

取材相手のマネージャーが2時間早く時間をアーティストに伝えてしまったしまったらしい。オイラのせいではないけれどヘコんだ。

取材場所は相手の事務所だった。マネージャーは顔面真っ青。⁠すいません,すいません」をオイラに繰り返した。いや,そう言われても。オイラは完全に戦意喪失状態。

もう,行きたくないッスー⁠ー。

緊張のまま取材ルームの中へと。すると,そのBIGアーティストはソファーでギターを弾いていた。ひとしきり謝罪をすると,⁠いや,こちらのミスですから。でも,おかげで良い新曲ができましたよ。ちょっと聴いてもらっていいですか? 良い感じなんですよ。」

「あ,はい」⁠確かに良い曲だった。

それがまさか半年後に大ヒットとなる作品とは……嘘のような本当の話だ。

いや,やっぱり売れてる人は違うなあと思った。懐が深い。

その後のインタビュー取材も楽しく話ができて良い記事が完成したと思う。

逆にこんな話もある。キャリアのあるお笑い芸人さんの取材に30分遅刻してしまった。

これまた人のせいにするわけではないけれど,その取材ページを担当していた編集者の下調べの甘さだった。

取材場所は芸人さんの自宅兼事務所。編集部からタクシーで向かったのであるが,担当編集者がキング・オブ・アバウトでテキトーにしか場所を把握していない。

結果の遅刻。時間的にタイトであった芸人さんは激怒。もらっていた時間は1時間。でも,遅刻してしまったため20分くらいで終わらせないといけないことに。

「こんな短い時間で話せるわけないでしょー⁠ー!」と追い返されてしまった。

Kさん(担当編集)は帰り道,⁠あんなに恐い人とは思わなかったね?」って,アンタが悪いんだろー⁠ー!

そりゃ,怒ったっておかしくない話だ。オイラも嫌な予感したもの……。

だ・か・ら・遅刻はしたくない。

鉄のハート

ある役者さんと話をしたとき言われた。映画の世界も遅刻する人は多いけど,基本は絶対にNGだと。しかも,それが10分~30分の遅刻はもってのほかとのことだ,と。

そう,それは避けられるから。

自分の怠惰から招いたものだ。だから,それは許されない。1時間~2時間もNGだと言っていた。

だけど,これが3時間~6時間,8時間……となればなるほど何かあったのかと思われ,半日以上だとよっぽどのことがあったのだろうとイライラは消えるらしい。

そして,まる1日とか来ないと逆に心配され。2日,3日となるとやさしい気持ちにまでなり,顔が見られるだけでいいくらいの話にまでなると。

小さな遅刻は怒りを買うだけだけれども,大きな遅刻(?)は心配の領域にまで。

確かになあ。だけど,オイラはそんな鉄のハートを持ち得ていない。

平気で土下座します。良い意味で「倍恩返しだ!(半沢直樹)⁠ってね。

でも,ふと思ったな。これは勘違い&偶然かもしれないけど,オイラのまわりで結果を出してる人って⁠遅刻しかしない”。

約束の時間に来たら驚きだもの。

逆に遅刻をしない人のほうが……。

いやいや,コホンコホン。基本,遅刻はいけません。でも,避けられないなら大胆にねっ。そんときは開き直りましょう(笑)⁠

叫訓48
遅刻すら許される人間を目指すべし!
かなりハードルの高い話ですが……

著者プロフィール

イノマー

昭和41年東京生まれ。駒澤大学卒業後,(株)オリコンに入社。10年間勤務し編集長2回,副編集長を3回務める。退職後,フリーの編集・ライターとなる。同時にバンド活動もスタート。メジャーデビューも経験し,現在はインディーズでの活動へ。過去に10枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしている。

http://www.onamashi.com/

Twitter:@inomar_onamashi

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