今日から本格的にAgile2013が始まります。昨日と比べてスケジュールも多くなっています。
I Heard Devops
最初に参加したセッションは、10:45~12:00のJohn Willis氏による「What is Devops?」( Devopsとか何か?)と題したセッションです。
Devopsで国際的に有名なJohn Willis氏の講演です。John Willis氏はEnstratius社に勤めていましたが、最近になって会社がDellに買収されたので、現在はDellのディレクターです。最初にExxon社に就職した後、彼の奥さんはそんなに嬉しい顔をしなかったそうですが、多くのスタートアップに参加したと経歴を語りました。
「最近はウクレレを勉強しはじめた」と言いながら、急にウクレレを取り出して歌い始めました。
歌の歌詞は下のようです。歌声にはそんなに自信がないと言っていましたが、かなり上手かったと思いました。
Devopsは運動である
Devopsについて決まった定義はありませんが「Devopsは製品ではなく運動である」と氏は語ります。Devopsはオープンソース、設定管理、継続的デリバリの3要素の発展により誕生し、またアジャイル、リーン、Webから影響を受けているとのことです。
Devopsの最初の考えは、2008年に開催されたAgile 2008で発表されましたが、興味をもった人はいませんでした。最初は米国でも不人気でしたが、諦めずにベルギーでdevopsdays を開催し、その後は米国でも人気が高くなったと言います。
Devopsはエリック・リース著の『リーン・スタートアップ』に書かれている考え(MVP、Pivot、継続的デリバリ、actionable metrics、5 whys、スプリットテスト)を取り入れています。ちなみに同書は多くのスタートアップの設立者から読まれ、また大学の教科書としても使われています。まだお読みでないようなら、読むことをお勧めします。
Devopsのポイントは
スーパスターは不要。成功は皆で共有する。
失敗を恐れない。失敗は学ぶ機会と考える。
問題が敵。人を責めない。
犯人はいない。問題の責任も皆で取る。
計測の仕方を共有する。最終目的に視点を当てる。
共有できる目的を作る。敵を皆で倒す。
といった点です。
少しずつ変化がある場合、なかなか変化を感じることができませんが、ゆで蛙の寓話のように、状況を正しく把握していないと、後になって大きな問題に直面することになります。
またDevopsはデミングの考えを取り入れています。成功するには、複雑なことを簡単なことに分けて考えることが重要です。Willis氏はこうした考えに基づいた「デミングの14原則」が裏に印刷されたTシャツを着ておられました。
Devopsのためにチームを作らない
まとめとして、Devopsには次のことが重要だ、と語りました。
サービスとは人が行うこと
継続的改善
無駄の排除
フローの管理
顧客の価値
品質
また、Devopsの活用でとくに紹介したい会社としてEtsy、Netflix、GEの3社を挙げました。
Etsy社はDevopsの多くの要素を取り入れています(コードは芸術、これを作成できるような環境作り、責任を押し付けない文化、組織文化を支援するためのツールの取り入れ、5 Why's、継続的デリバリー) 。またNetflix社は自社の文化を武器として使っています。そしてGE Investmentは、PaaSスタートアップPivotalに投資しています。
最後に、推奨書籍として次の書籍を挙げました。
「The Phoenix project」 、「 The Four Steps to the EWpiphany」 、「 The End of Certainty」 、「 The Machine that Changed the World」 、「 Toyota Production System: Beyond Large-Scale Production」( 大野耐一著) 、「 The New Economics」(Demming著)
結びの言葉として「『 Devopsチーム』というのは間違った考え方である。Devopsのためにチームを作ったら、現状のチームと同じことになってしまう。Devopsというのは考え方なので、今のチーム内で使うことが望ましい。」と語り、講演を終えました。
興味をお持ちになったらWillis氏のブログ も参照してみてください。