Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第3回 紙をデジタル化する

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

紙をデジタル化しアナログに回帰する

紙をどうするか,ということは,筆者に限らず,紙の時代からコンピュータ(あるいはデータ)へと転換する過渡期にある現在の,大きなテーマです。

筆者は,紙をなくして情報として活用する,というラディカルなライフスタイルをとることを決意し,それが『記憶する住宅』として結実したわけです。

もちろんここであらためて言えば,『記憶する住宅』は情報をデジタルで扱うことを強調するために誇張した表現です。作ったPileDesktopをご覧いただいたとおりで,じっさいには筆者は,相当アナログ人間であります。机のまわりを見ていただければおわかりいただけるとおり,紙をなくしたとかいいながら,紙だらけでもあります。

机の横の書棚には未読の本だけを置いているのですが,これだけでも約90冊。活字中毒のみなさまには見慣れた風景であると思いますけど,まあ本というのは減りませんね。増殖しつづけるきらいがある。

アナログ感覚を再現したPileDesktop

アナログ感覚を再現したPileDesktop

すっかりおなじみ(?)のPileDesktopで,氷室冴子『海がきこえる』『海がきこえるIIアイがあるから』(徳間書店)の近藤勝也のイラストを一覧したところです。アナログ感覚にあふれると思います。

アナログ感覚を再現したPileDesktopをアナログで再現

アナログ感覚を再現したPileDesktopをアナログで再現

イラストを一覧したところを紙で再現しました。このように,特別なページは廃棄せずに,紙のまま残してもいます。

初見は紙で,二度目はデジタルで

初見/初読は紙で行っています。最初からデジタルでということはほぼないです。デジタル書籍も出ていますが,ちゃんと読むには,表示やフォントのクオリティが足りないと思っているのです。たとえば「逢う」という漢字を点がふたつついたしんにょうで読みたいとか,「躯」という文字を「身+區」で読みたいとか,「掴む」という文字をてへんに旧 字の國で読みたいとか,そういうこだわりです。

逆に,二度目以降は,デジタルのほうがよいと考えています。検索性が高いからです。紙で残した本には,紙で残す理由があります。紙のもつ質感,重み,匂い,手触りなどです。

紙としてとっておく本

紙としてとっておく本

どうしてもデジタルになじまない本もあります。特装限定版,私家版,署名本,初恋の女の子からプレゼントにもらった本などです。そういう本は,本の「モノ」としての価値が高いので,紙のままアナログで,大切に保管してあります。

背表紙は見たい

筆者の本棚は,本もちにしては,まだまあきれいなほうというか,いちおう書棚はなんとかほぼ2段にはしておらず,背表紙が見える状態をぎりぎりで保っています。本は背表紙が見えなくなると死にますから,それだけはなんとか死守したいと。

蔵書家はどのくらいの本をもっているのか,と蔵書家の基準を考えてみました。まあ1万冊くらいが入門の分水嶺でしょうか。そこはクリアしているだろうなと思います。

2008年の今年になって目を通した本は,いまのところ49+37+10+17=113冊です(2008年4月23日現在)。まあざっと1日1冊ずつ増えてます。このペースで概算すると,これまでに目を通した本は,ざっと(42歳-15歳)×365冊で,1万冊くらいですね。

書籍に埋もれないためのデジタル化

『書物の宇宙誌 澁澤龍彥の蔵書目録』をふと見ると,蔵書一万余冊とあります。1万冊を蔵書家と呼ぶ根拠のひとつといってもよいかもしれません。

澁澤龍彥の自宅と筆者の書斎とがいちばん違うのは,書棚の占有率です。筆者の場合1万冊あってもなお床が見えるところでしょうか。床には(作業中のものをのぞけば)モノはおかないことにしています。床はロボットのためにとってあるのです。床にモノをおかない,あるいは書棚に置くのは未読本と紙でなければだめな本に限るための切り札が,デジタル化です。

デジタル化の結果,情報は多いのだけど,モノは少ないわけです。モノに囲まれているような,囲まれていないようなところが,デジタル化の恩恵であろうと考えています。ぜんぶ紙でもっていたら,と思うと,ちょっとぞっとします。

デジタル化しない限り,書棚がどんなにあってもだめで,なんとかしないといけないのです。かなり大規模に,紙の本をデジタル化しています。

紙のデジタル化は,のちのちたっぷり語っちゃうと思いますが,ほんとに本気で取り組んでます。あまりに本気でやっているあまり,ほとんど仕事をしていないくらいです。

『書物の宇宙誌』(国書刊行会)

『書物の宇宙誌』(国書刊行会)

帯に蔵書一万余冊とあります。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。

コメント

コメントの記入