Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門

第3回 ハンドリング・バイ・PoIC~PoICの理解

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

Where is the Life we have lost in living?
(生きることで失った人生はどこに?)

Where is the wisdom we have lost in knowledge?
(知ることで失った知恵はどこに?)

Where is the knowledge we have lost in information?
(情報の中で失った知識はどこに?)

T.S.エリオット「『岩』の合唱」(※著者意訳)

PoICはカード型データベースか?

情報カードを使用していることで,PoICはカード型データベースの一種であるとみなされることが多いと思いますが,果たしてPoICは本当にカード型データベースなのでしょうか。データベースとは,ある特定の目的のために集められたデータが,一定の書式にのっとって整理・管理され,格納されている状態のことです。

そして,データが整理・管理された状態とは,同じデータを重複して持たない『非冗長性』,ひとつのデータが更新されたら,全体が一括で更新される『整合性』,不適当な値の入力を防止し,入力の定型化を促す『妥当性』,複数での使用時にアクセスを制御できたり,障害発生時のリカバリーの容易さといった『信頼性』の4項目が満たされているということです。

この,整理され管理されたデータの状態は,すべてPoICの特徴に反しています。

PoICでは,同じ内容のカードは何枚書いても良いとされていますし,1枚のカードが更新されても,すべてのデータが一括で更新されるわけではありませんし,そもそも更新するということがありません。また,タグやアイコン,日付などの統一されたフォーマットはありますが,入力されたデータは形式化しておらず,絵でも文でも,写真の切り抜きでもなんでも構いません。PoICはそもそも,障害が発生するとは思われないシンプルなシステムなのですから,その意味での『信頼性』は確保されていると思いますが,複数の人間のアクセスを制御することはできません。

データの倉庫

PoICの特徴として,まず,情報を一カ所にまとめておき,目的によってタスクフォースを編成するということ。次に,タグやアイコンなどの統一された書式を持ち,なおかつデータが多様性を持っていること。そして,情報を時系列で貯蓄し,一度貯蔵した情報は更新されないこと,といった点が上げられます。これらの特徴は,データベースの考え方とは相容れませんが,これらの特徴を備えたデータ管理システムがあります。それがデータウェアハウス(Data Warehouse:データの倉庫)です。

データウェアハウスを提唱したビル・インモン氏の定義をまとめれば,データウェアハウスとは,「サブジェクト指向・統合性・時系列性・不変性という特性をもつ,意思決定を支援するためのデータの集まり」と要約できます。これは,PoICの考え方にかなり近いものがあります。では,データウェアハウスの持つ4つの特徴をPoICと照らし合わせて見てみましょう。

「サブジェクト指向」
サブジェクト指向とは,データベースが,業務のプロセス別にそれぞれデータを管理しているのに対して,データを目的別に使いやすく整理して蓄積しておくことです。これは,PoICがカードにタグをつけてドッグに貯蔵し,目的に応じてタスクフォースを編成することと似ています。
「統合性」
統合性とは,ひとつの場所に,同じ規格で貯蔵・管理されていることです。これはPoICがタグやアイコン,日時などのPoIC規格により,カードがドッグの中に一元管理されて貯蔵されていることと相似です。
「時系列性」
時系列性とは,データウェアハウスで扱われるデータが,時系列順に構成されているということですが,これは,時間経過に伴うデータの変化を観察することに重点がおかれているためです。PoICもまた時系列スタック法を採用しています。
「不変性」
不変性,あるいは恒常性と言いますが,データウェアハウスでは,時系列データは一度正しく蓄積されると,更新されることはありません。これにより,問題解決時に,問題発生時のデータにまでさかのぼって分析することが可能になります。PoICもまた時系列を更新しないことを旨としています。

またデータウェアハウスでは,そのサブセットとして,特定の目的に合わせた部分を取り出した,小規模なデータウェアハウスを用いることがあり,その小規模データウェアハウスをデータマート(DataMart)と呼んでいます。データウェアハウスが倉庫ならば,データマートは専門性の高い小売店のような関係になります。これは,PoICメインページ「時系列スタック法」内の,パーティションの切り方で,『聖域』と呼ばれているものに近いものです。ちなみに僕は,データマートに相当する,使用頻度の高い目的別の情報カード群を作成することを,『殿堂入り(Hall of Fame)』と呼んでいます。

こうした類似した特徴を持つことから,PoICは意思決定支援のための「アナログ式カード型個人用データウェアハウス」である,あるいは,もう少し慎重にそうした機能をその一部分として持っている,と言えると思います。

著者プロフィール

野ざらし亭(のざらしてい)

「Blog:野ざらし亭」亭主。他人のアイデアに相乗りする自称知的ヒッチハイカー。現在 はPoICの荷台に厄介になっている。

Blog:野ざらし亭
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