Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門

第3回 ハンドリング・バイ・PoIC~PoICの理解

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Where is the Life we have lost in living?
⁠生きることで失った人生はどこに?)

Where is the wisdom we have lost in knowledge?
⁠知ることで失った知恵はどこに?)

Where is the knowledge we have lost in information?
⁠情報の中で失った知識はどこに?)

T.S.エリオット「⁠岩』の合唱」⁠※著者意訳)

PoICはカード型データベースか?

情報カードを使用していることで,PoICはカード型データベースの一種であるとみなされることが多いと思いますが,果たしてPoICは本当にカード型データベースなのでしょうか。データベースとは,ある特定の目的のために集められたデータが,一定の書式にのっとって整理・管理され,格納されている状態のことです。

そして,データが整理・管理された状態とは,同じデータを重複して持たない『非冗長性』⁠ひとつのデータが更新されたら,全体が一括で更新される『整合性』⁠不適当な値の入力を防止し,入力の定型化を促す『妥当性』⁠複数での使用時にアクセスを制御できたり,障害発生時のリカバリーの容易さといった『信頼性』の4項目が満たされているということです。

この,整理され管理されたデータの状態は,すべてPoICの特徴に反しています。

PoICでは,同じ内容のカードは何枚書いても良いとされていますし,1枚のカードが更新されても,すべてのデータが一括で更新されるわけではありませんし,そもそも更新するということがありません。また,タグやアイコン,日付などの統一されたフォーマットはありますが,入力されたデータは形式化しておらず,絵でも文でも,写真の切り抜きでもなんでも構いません。PoICはそもそも,障害が発生するとは思われないシンプルなシステムなのですから,その意味での『信頼性』は確保されていると思いますが,複数の人間のアクセスを制御することはできません。

データの倉庫

PoICの特徴として,まず,情報を一カ所にまとめておき,目的によってタスクフォースを編成するということ。次に,タグやアイコンなどの統一された書式を持ち,なおかつデータが多様性を持っていること。そして,情報を時系列で貯蓄し,一度貯蔵した情報は更新されないこと,といった点が上げられます。これらの特徴は,データベースの考え方とは相容れませんが,これらの特徴を備えたデータ管理システムがあります。それがデータウェアハウス(Data Warehouse:データの倉庫)です。

データウェアハウスを提唱したビル・インモン氏の定義をまとめれば,データウェアハウスとは,⁠サブジェクト指向・統合性・時系列性・不変性という特性をもつ,意思決定を支援するためのデータの集まり」と要約できます。これは,PoICの考え方にかなり近いものがあります。では,データウェアハウスの持つ4つの特徴をPoICと照らし合わせて見てみましょう。

「サブジェクト指向」
サブジェクト指向とは,データベースが,業務のプロセス別にそれぞれデータを管理しているのに対して,データを目的別に使いやすく整理して蓄積しておくことです。これは,PoICがカードにタグをつけてドッグに貯蔵し,目的に応じてタスクフォースを編成することと似ています。
「統合性」
統合性とは,ひとつの場所に,同じ規格で貯蔵・管理されていることです。これはPoICがタグやアイコン,日時などのPoIC規格により,カードがドッグの中に一元管理されて貯蔵されていることと相似です。
「時系列性」
時系列性とは,データウェアハウスで扱われるデータが,時系列順に構成されているということですが,これは,時間経過に伴うデータの変化を観察することに重点がおかれているためです。PoICもまた時系列スタック法を採用しています。
「不変性」
不変性,あるいは恒常性と言いますが,データウェアハウスでは,時系列データは一度正しく蓄積されると,更新されることはありません。これにより,問題解決時に,問題発生時のデータにまでさかのぼって分析することが可能になります。PoICもまた時系列を更新しないことを旨としています。

またデータウェアハウスでは,そのサブセットとして,特定の目的に合わせた部分を取り出した,小規模なデータウェアハウスを用いることがあり,その小規模データウェアハウスをデータマート(DataMart)と呼んでいます。データウェアハウスが倉庫ならば,データマートは専門性の高い小売店のような関係になります。これは,PoICメインページ「時系列スタック法」内の,パーティションの切り方で,⁠聖域』と呼ばれているものに近いものです。ちなみに僕は,データマートに相当する,使用頻度の高い目的別の情報カード群を作成することを,⁠殿堂入り(Hall of Fame)』と呼んでいます。

こうした類似した特徴を持つことから,PoICは意思決定支援のための「アナログ式カード型個人用データウェアハウス」である,あるいは,もう少し慎重にそうした機能をその一部分として持っている,と言えると思います。

著者プロフィール

野ざらし亭(のざらしてい)

「Blog:野ざらし亭」亭主。他人のアイデアに相乗りする自称知的ヒッチハイカー。現在 はPoICの荷台に厄介になっている。

Blog:野ざらし亭
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