Re:PoIC~ライフハッカーのためのPoIC入門

第5回 43Tabs~PoIC機能拡張

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PoICの特異点

情報には,ストック情報とフロー情報があります。

フローとは,一定期間内に流れた量のことを言い,ストックとは,ある一時点において貯蔵されている量のことです。この2つは,ストックの変化量がフローにあたるという関係になります。

例えば,バスタブに貯まっているお湯がストック,これに対して溢れたり継ぎ足したりしたお湯がフローという関係になります。そして,フロー情報と言う場合には,その時にだけ意味があり,かつ保存される必要のない情報という意味であり,対してストック情報と言う場合には,後々参照するために保存される情報のことを指します。

すでに何度も述べているように,PoICではすべてのカードに4つのタグをつけています。

記録カードは「身の回りの事実や現象を記録する」のに使用します。これはすなわち「あったこと」のためのカードです。発見カードは「頭・心から湧き出てくるもの」を記録するのに使用し,これは「考えたこと」と言えます。GTDカードは「やるべきこと(To Do)を記述するカード」のことであり,これは「すること」と言い換えられます。参照カードは「自分以外の他の誰かのアイディアを記すカード」のことであり,これは「判った(知った)こと」と言えるでしょう。

そして,「あった」「考えた」「する」「判った(知った)」の中で,「する」だけが,過去形ではないことに注目して下さい。GTDカードだけが,未来の予定を扱っているのです。

言い換えれば,記録,発想,参照カードは,動詞の活用形でいうところの已然形(いぜんけい)であり,後々参照するために保存されるストック情報だとも言えます。已然とは,「すでにそうした」「すでにそうなった」という意味です。そして,GTDカードは動詞の活用形でいうところの未然形(みぜんけい)であり,その時だけ意味のあるフロー情報です。未然とは「まだそうではない」という意味です。

GTDカードだけがPoICの4種類のカードの中で異質であり,特異点なのです。そして,すでに過去となったストック情報と,まだ完了していないフロー情報を,同じ時系列で管理すると,システムの中に無用な混乱を招くことになります。

GTDカードの再帰問題

なぜGTDカードは混乱を招いてしまうのでしょうか。

それは,GTDカードは2つの時間を持っているからです。第1には「予定が発生した時間」であり,これはカードの作成時に当たります。第2には「予定が完了した時間」で,これはオープンになっていたタグを塗り潰し,カードの中の情報が過去のものになった時を指します。

PoICとは,情報をストックするためのシステムであり,特に時系列で保存したカードは更新しない,つまり移動させないということを旨としています。他のカードでは,カード作成時とストック時はほぼ同時期なので問題はありませんが,GTDカードでは問題が生じます。

PoICはカードを時系列で管理するので,GTDカード作成時にその位置に放り込まれることになります。そして,「予定が発生した時間」から「予定が完了した時間」までの時間の間に,新しいカードが次々とストックされ,GTDカードは過去に追いやられていきます。しかし,「予定が完了した時間」が来たら,管理者はGTDカードを遡って探し出し,タグを塗り潰し,タスクを完了させなければなりません。

GTDカードの再帰問題

GTDカードの再帰問題

すると,管理者は常に未完了のカードの存在に気を配る必要が出てきます。つまり,継続的なモニタリングの必要性があり,常にGTDカードの存在を意識しながら,それが完了しているかを問い返すことになります。これは,毎日毎日GTDカードを監視しなければならないということです。これでは予定をカードに書くこと自体がストレスになり,意味がなくなります。なぜなら,予定を符号化(カードに記入)するのは,その予定を一定期間忘れるためだからです。

時間と位置の関係でGTDカードを観察すると,他のカードと異なり,ループを描いていることが判ると思います。フローチャートにすると,条件分岐のループ構造になります。このような時間と位置のループ関係は,GTDカードだけに特有なものです。

PoICリマインダー

前述のような混乱は,ストック情報とフロー情報の混在が招いていると言えます。

ならば,この2つを分離して管理すれば良いのではないでしょうか。

つまり,予定が完了し,「(これから)すること」が「(既に)したこと」になった時点でPoICのドックにストックすれば,ドッグの中に矛盾は生じなくなります。TODOは完了するまではフロー情報です。それは完了しないかも知れませんし,別な形に変形されたり,あるいは完了する日時に変更が生じるかも知れません。今後どうなるか判らないという意味で,これは未然情報なのです。しかし,TODOが完了すれば,それはストック情報となります。すなわち確定した過去であり,已然情報となるからです。

しかし,GTDカードだけを別のドックに入れたり,束にして持ち歩いたりしても,カード作成時間で管理していては問題は解決しません。タスク完了日時を基準に,着手日を設定しなければ意味がないのです。そして,GTDカードの管理法はGTDのような「今日やること以外はやらない」為のものである必要があります。今日やることだけがクローズアップされて,今日やらないことはブラインドされなければなりません。すなわち,PoICにはGTDカードを使用した,リマインダー機能が必要とされているのです。

リマインダー機能とは「然るべき時に,然るべき内容を思い出すための方法」のことであり,その方法には以下の3つの段階があります。

1. Planning(プランニング)=「符号化」
「未来に行うことを意図した行為」をカードに書き付けることです。
2. Maintenance(メンテナンス)=「保持」
その行為を意図してから実行に移すまでの遅延期間に,カードをまとめて管理しておくことです。
3. Reminding(リマインディング)=「想起」
その行為を実行しようとする意図が一度意識からなくなり,再度それをタイミングよく思い起こさせるべく働きかける,ということです。

リマインダーを用いない自然な想起には,「日付」と「内容」の2種類があります。

「日付」の想起は,「その日」に何か行うべきことがあった,という思い出し方をします。「日付」の想起には自発性とタイミングが要求され,カレンダーや手帳に記す,他人に頼むなどの技術化した認知スタイルが手がかりとなります。

「内容」の想起は,いつか行うべき,「その内容が何であったか」という思い出し方をします。

そして,「日付」を思い出すことが手がかりとなって思い起こすことが多く,カレンダーに丸印をつけてあるだけで,その内容を思い出すということも少なくありません。

GTDカードを,タスク完了日時を基準にして管理するということは,情報カードを用いたリマインダーが必要だということです。そして,「GTD」と「リマインダー」という単語で思い出されたのが,「43Folders」こと「Tickler File」でした()。

※)
Tickler Fileの使用例はflickrのサイトをご覧下さい。

著者プロフィール

野ざらし亭(のざらしてい)

「Blog:野ざらし亭」亭主。他人のアイデアに相乗りする自称知的ヒッチハイカー。現在 はPoICの荷台に厄介になっている。

Blog:野ざらし亭
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