サンフランシスコで昼食を

第9回 インフォテリアUSA 江島健太郎氏インタビュー (中編)

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江島健太郎氏へのインタビューの中編です。

コミュニケーションツールはTrac

宮川:分担とか,お互いの領域はどうなっているんですか?

江島:僕はスイーパーという感じでデザインとバックエンドの間くらい。Dannyはバックエンド,Chrisはデザインだから,そういう意味ではDannyとChrisは遠いかな。でもChrisもRailsのコード書くし,DannyもJavaScriptとかフロントのコードを書く。

宮川:特にRailsを使っているからというのがあると思うけど,最近はフロントとバックの棲み分けがなくなってきてますね。今はJavaScriptとかみんなある程度書けるのが当たり前になってきてるから。数年前はデザインもテーブルやHTMLをきちんと書かなきゃいけなかったけど,Railsがある今はある程度ちゃんとしたHTML書けてて修正できればいいよ,ってなったから。JavaScriptはライブラリも充実しているし。

江島:そうだよね。プログラマでもCSSとかが結構使えるようになってる。そういう意味では2005年に始めたのはすごいよかったよ。時期的にチームを作りやすかった。Voxは?

宮川:Voxも開発が始まったのは2005年,一緒くらいですね。Voxの開発チームは今は小さくて4人くらいなんだけど,マーケティングとかプロダクトマネジメントは結構しっかりしてるんで,そこはまぁよいところもあるし,悪いところも…。

Infoteria USAオフィスにて

Infoteria USAオフィスにて

江島:悪いところもあるんだ?

宮川:スピード感という意味では多少落ちるかもしれないですね。でもこれだけの規模になると現場の判断だけではぽんぽんと行かないんで,やっぱりそれは必要かな。江島さんたちは,新機能を追加したいとか,そういう方向性はどうやって決めているんですか?

江島:えー。思いついた段階でTracにぶち込む!(笑)気が向いたら実装!

宮川:実装する人はどうやって決まるんですか?

江島:なんとなくこいつだよねって,チケット注6切る人がアサインしちゃう。機能をどうしたいっていうのは3人誰となく,自発的に。根本的な議論をするときはメールで流れることが多いかな。それがアイデアになってきたらチケットが切られる。口頭で話すこともあるけど,メールが主。新しいスペックでも結構デカめのやつはだいたい僕が出してます。客みたいなもんだから僕が一番うるさい(笑)。そういう議論は結構あるよ。アクティビティのレコードでいうと,1日に50件から100件くらいかな。コミットしてから追加したり,チケット切ったり。基本のコミュニケーションツールはTracだね。メーリングリストもなくて,IMとLingrと,Tracだけで。

注6)
Tracにおける課題管理の単位。バグや機能拡張などをチケットとして登録する。

Rubyを選んだわけ

宮川:日本でコードは書いてたんですか? Rubyを始めたのはいつから?

江島:インフォテリアに入ってからほとんど書いてなかった。Rubyはこっちへ来てから。はじめてのRuby(笑)。JavaはほとんどなくてCとかそのへんだったけど,プロダクションコードはOracleに所属していたときに書いてたのが若干あるくらい。こっちへ来てずいぶん仕事のやり方が変わったよ。

宮川:それは今のほうがいい?

江島:間違いなく。やっぱりもの作るのは手を動かさないとダメだよね。技術的な限界がわからないと想像力も生まれないというのはすごいある。

宮川:日本だとプロダクトマネージャー注7という職自体が存在しなかったり,あっても技術畑じゃない人がスペックを決めたりしますよね。受注系の仕事ならまだいいけど,自分で運営するサイトとかになると少し無理がある。

江島:無理だよね。自分でも実感していたというか,結構限界を感じてたところがあった。だからもう思い切って,ワークスタイル変えるしかないなって。

宮川:RubyとRailsを選んだのは?

江島:それはもうタイミングだね,流行ってたというのもあるし。昨年末に新プロジェクトをやろうとなって,そのときに中川がどうしてもRubyやりたいって言いだして。Dannyも僕もRailsフレームワークがあるし,Rubyでいいじゃんって。PHPとPerlも候補だったんだけどね。

宮川:結構簡単に慣れましたか?

江島:かなりすっと入ったかな。Rubyでコード書くのが楽しいんだよね。昔プログラムを書いてたころは,楽しむというよりは何か作りたいものがあるから書いてるって感じだったんで。

宮川:Rubyはクリエイティビティが発揮しやすいのかな?

江島:そうかも。パズルを解いているみたいで,本質に集中している感じ。それはすごいよかった。それに他人の書いたコードも結構読みやすくて,勉強になる。上達するとどんどん楽しくなる言語だと思う。Javaとかだともうだめなんだよね,人のコード読む気にならない。しかもあまり個性がない。

宮川:Perlだと個性があり過ぎるかもね。きれいな人が書けばきれいだし,汚い人が書くと激しく読めないし。

江島:そうだね,Perlはあり過ぎるね(笑)。Rubyはそのバランスがちょうどよいくらい。

注7)
開発から販売などのマネジメントまで,製品やサービスのリリースに関するすべてに携わるマネージャー。

著者プロフィール

宮川達彦(みやがわたつひこ)

1977神奈川県生まれ。東京大学理学部卒業後,2000年に(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)入社,執行役員Chief Technology Architectとして開発などに携わる。2005年よりシックスアパート(株)に入社,現在は米Six Apart, Ltd.に勤務。ニュースコンテンツの再配信サービス「Bulknews」やフィードアグリゲータ「Plagger」の作者であり,日本を代表するPerlハッカーの一人。カンファレンスでの発表だけでなくイベントも数多く運営するなど,精力的に活動している。個人ブログはhttp://blog.bulknews.net/mt/など。

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