エンジニアのためのSoulHacks

SoulHack #4 電車と同じくらいネットの存在を当たり前に受け入れよう

2008年8月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

はじめに

さて今回からは,ビジネス書のベストセラーからSoulHacks的に重要と思われるものを3冊ほど紹介していきたいと思います。

たくさんのビジネス書が出版されていて,ベストセラーとなったものを読むだけでもとても時間が足らないと感じることが多いと思いますが,世の中の動きの本質的な部分に触れている本はそれほど多くありません。ここまでの連載に多少なりとも興味を持たれた方は,ぜひ,これから紹介する本に目を通していただければと思います。

まず最初に紹介するのはトーマス・フリードマンの『フラット化する世界』です。

フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
『フラット化する世界 [増補改訂版] ⁠上⁠⁠』

フラット化する世界 [増補改訂版] (下
『フラット化する世界 [増補改訂版] ⁠下⁠⁠』

電車の存在は全ての「前提」となっている

私なりにこの本のテーマをひとことで言えば「電車と同じくらいにネットがあたりまえになる世界」ということです。

現在,大都市では多くの人が電車で1時間以上かけて通勤しています。そして,そのことを誰もが当然と考えています。

たとえば,マンションを買う時に,⁠ここは勤務先から遠いけど,もし電車が動かなくなったらどうしよう」とか「この路線が廃止になったら会社まで通えるだろうか」などということは考えません。つまり,20年なり30年のローンの期間中,今ある電車の路線がそのままそこに存在し,継続的に電車が運転し続けているということを,当然の前提としています。

企業の方でも,採用の時に1~2時間程度の勤務時間を気にすることないし,社員が郊外に引っ越して,ストや台風等で出勤が困難になってもそれを問題とはしません。

しかし,仮にネットで大半の仕事が可能になったとして,海外在住の人を採用したり,社員が外国に住むことを認めるかどうかと考えると,それはあり得ない気がします。何か特別な事情があってそういったことを無理に行うことになったとしたら,⁠もしネットが通じなくなったらどうするのか?」ということを気にして,トラブル対策やリスクを具体的に検討するでしょう。そして,事前にそういう検討を行っていなかったとしたら,関係者は責任を問われるでしょう。

電車に頼る時にはリスク算定を行う必要がなくて,ネットに頼る場合には,それが必要とされるわけです。つまり,電車はそれが存在することを前提とされているのですが,ネットはそうではないということです。

これは「電車のリスク要因は少なくて,ネットにはまだまだ不確定要素が多い。従って,両者のリスク算定の方法は違ってくる」という話ではありません。電車に頼ることに関してはリスク算定が不要である,それが一般常識となっているのです。

著者プロフィール

中島拓(なかじまたく)

株式会社ブレーン研究部にて,Windows用ソフトウエアルーター 「PROXY-2000シリーズ」を開発する。 オープンソースソフトウエアとしては,Ruby用HTMLテンプレートエンジン Amrita/Amrita2,個人用GTD支援ソフト「レビュアブルマインド」の開発に携わる。

アンカテのブロガーとして,2006年アルファブロガーに選出される。

URLhttp://d.hatena.ne.jp/essa/

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